失敗しないロゴ作成30のポイント【第1章】30 points of Logo Design -Chapter1-
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第1章 良いロゴマークとは?
【Point1】そもそもロゴマークとは?
「ロゴマーク」は、実は和製英語です。「シンボルマーク」と「ロゴタイプ」の2つを合わせて「ロゴマーク」といいます。
シンボルマークは、象徴化・抽象化された図形の部分を指し、ロゴタイプは、装飾(デザイン)された社名やブランド名の文字部分のことを指します。
しかしながら、弊社ではわかりやすさを第一優先するために、図形の部分を「ロゴマーク」社名文字の部分を「ロゴタイプ」と呼んでいます。
【Point2】ロゴマークの歴史
ロゴマークの歴史は正確には確認されていませんが、一般的には古代ローマ帝国時代の盾に入った図形が起源ではないかと考えられています。
古代ローマ帝国の戦士たちは、戦闘時の顔を覆うような兜をしていました。
そのため視界は悪く、かつ皆が顔を隠しているため、誰が味方かわかりませんでした。
そこで、盾にマークを入れることで誰が味方かを識別したといいます。
時をほぼ同じくして、世界で最も歴史があり有名なロゴマークだと私が個人的に考えている、キリスト教の「十字架(クロス)」が現れます。西暦300年頃と考えられています。
その他、イスラエルの国旗に入っている六芒星も、ユダヤ教の歴史から考えて古くから使われいていた可能性があり、ユダヤのシンボルとして使われ始めたのは西暦1700年代と考えられています。
日本でも家紋がありますよね。戦国武将も旗に自分の家紋を入れていました。
昔から、ロゴマークは「自分が何者か」を表すためのシンボルだったわけです。
【Point3】ロゴマークの役割は4つに分けられる
のべ1万社以上のお客さまとのお付き合いから、私がひねり出した結論として、ロゴマークの役割は4つあると考えます。
まず大分類として次の2つがあります。
【信念の象徴】 理念やパッションといった「想い」を表す
【ビジュアルコンパス】 信頼感や統一感を出すなど「ビジュアル」の方向づけをする
※「ビジュアルコンパス」はビズアップ代表津久井が造った造語です。
さらに、これらはそれぞれに「対社内」「対社外」に分けることができます。
図にすると、以下のようになります。
【Point4】ロゴマークの役割<A>
「経営者やスタッフのモチベーションや帰属意識を高める」
国旗やプロスポーツチームのロゴのように、ロゴマークがあることでモチベーションを高めたり、スタッフの帰属意識を高めることが可能だと考えられます。
ビズアップのお客さまにも、辛い時や苦しい時に、創業当社に作ったロゴを見て初心にかえられたり、やる気を出してくださった方がたくさんいらっしゃいます。
創業してまもなく、あの東日本大震災により仕事がなくなるという事態に見まわれた株式会社リライブの竹本さまは、次のようなメッセージをくださいました。
われわれがこのロゴマークを見るたびに、設立したての苦しい時期を乗り越えた事を思い出し、あの忌まわしき大震災を思い出し「生き返る、再生、終わりがない成長や挑戦」を忘れないためのすばらしいシンボルになりました。 ロゴマークを見るたびに原点に戻れる、モチベーションがあがる、それこそがロゴマークデザインの使命だと思います。本当にありがとうございました。 ※一部抜粋。ホームページで全文をご覧いただけます。「お客様からいただいたメール―ロゴの使命―」より |
【Point5】ロゴマークの役割<B>
「会社・商品・サービスへの想いをお客さまや取引先などに知ってもらう」
ロゴをデザインする際に、しっかりとしたコンセプトをディレクターやデザイナーに伝えていただくと、次のようなメリットがあります。
どのような思いで会社を運営したり、商品、サービスを提供しているかを、お客さまや取引先などに知ってもらうことができる。また、それを社内で統一することができる。
ロゴマーク完成後は、どのようにしてそのロゴマークができあがったのか、どんな想いからできあがったのかなどを、ぜひスタッフの方々と共有してください。
そうすることで、今まで社外へバラバラに伝えていたことが、ひとつの軸を持ちはじめます。
ビズアップでロゴを作成させていただいた大妻中学高等学校さまは、以下のようなコメントを下さっています。
今までは「あなたの学校はどんなところ?」と聞かれても職員によって言うことがバラバラだったり、その時々で言うことが微妙に違ったりしました。 でも、このロゴマークはそもそも「理念を作り上げること」からスタートし、それを図形化したものから出来上がったロゴですから、ロゴマークの説明はこのコンセプトシートを見せながらするだけで良くなったんです。 ※一部抜粋。ホームページで全文をご覧いただけます。「ロゴを作成されたお客さまの事例」より |
【Point6】ロゴマークの役割<C>
「ビジュアル面でどのように統一感を出していけばよいかわかる」
ビジネス上必要なもので、デザインをしなければならないものはたくさんあります。
たとえば、名刺、封筒、パンフレット、ホームページ、看板などです。
また、店舗系のビジネスあれば、店舗の内外装のデザインも重要です。
その際に、ロゴマークとビズアップからお渡しするロゴカルテ(コンセプトシート)があることにより、ビジュアルに統一感を持たせることが可能です。
「ホームページのイメージはこのロゴと配色に合う基調にしてほしい」
「ロゴはこういうコンセプトを元にこんなデザインにしたから、店舗の内外装も同じイメージにしてほしい」といった依頼ができるようになるからです。
また、きちんとした経験とセンスを持ち合わせたデザイナーであれば、ロゴのデザインを見ただけで「どのようなデザインのツールをつくれば良いか」「どんなデザインにしてはいけないか」などを汲み取ることができます。
弊社でロゴ制作をさせていただいたしらゆり整骨院さまは、次のようなコメントをくださっています。
店というか、この接骨院を作っていくうえでの中心的存在「核」ですね。「院の運営はこうしていこう」とか、内装や調度品選びはロゴに合わせてこうしよう。ということが、とても決めやすくなっています。 ※一部抜粋。ホームページで全文をご覧いただけます。「ロゴを作成されたお客さまの事例」より |
【Point7】ロゴマークの役割<D>
「企業、店舗、商材の信頼度を高める」
一般的にはロゴをつくる上でお客さまが最も期待されていることが、この「信頼度を高める」です。
創業当初、私たちが独自に行ったロゴの調査があります。創業当初のものなので、質問の甘さ、サンプルの数や質などから、調査結果に若干の甘さがあると思いますが、傾向は掴んでいただけると考えます。(下図)
また、次のような文献がありますので、ご紹介させていただきます。
チェスキンが行ったテストでは、円形のロゴが入った商品は三角形のロゴよりもよく売れ、紋章のロゴの入った商品は円形のロゴよりも良く売れたという。 それほど重要とは思えないロゴの選び方一つをとっても、売上げが増えたり減ったりする。今まで気にしたことがなかったかもしれないが、看板やロゴ、名刺の書体は、売上に大きな影響力を持っているのである。だからこそ、事業モデルを作る段階では、慎重な検討が行われなければならない。 ※マイケル・m・ガーバー著 The E-Myth Revisited:Why Most Small Businesses Don‘t Work and What to Do About It |
【Point8】良いロゴマークとは?
良いロゴとは、Point4~7のA・B・C・Dをより満たしているものだとビズアップでは考えてます。
しかしながら、これにはとても難しい側面があります。ポイントは「対社内」と「対社外」です。この2つは二律背反を引き起こしやすいのです。
たとえば、A社の「こうしたい!」という希望と、そのロゴを目にするA社のお客さまや取引先がイメージする「好印象」にズレが生じるこがあります。
簡単に言えば、A社の「こうしたい!」というイメージが、A社のお客さまにとっては「う~ん…。」と感じてしまうことがあるのです。
ロゴを使う方と、ロゴを目にする方とでイメージがずれてしまうということです。
このような場合に、ロゴディレクターがよくお聞きしている質問があります。
「ロゴを使われる御社と、ロゴを見る御社のお客さま、どちらを意識したデザインにしますか?その比率はだいたい何対何くらいですか?」
ビズアップでは、ロゴマークは「あなたの会社やお店のものでもあり、あなたの会社やお店のお客さまの為のものでもある」と考えています。そして、ご自身とお客さまのどちらに重点を置くか。このバランスは、お客様が自由に決めて良いものだと考えています。
たとえば、比率が「自社7対お客さま3」であれば、お客さまのご要望を引き出し、それを再現することに長けたデザイナーを調整し担当にします。
「自社2対お客さま8」であれば、お客さまの業界について詳しいデザイナーや、こちらからさまざまな切り口で提案できるデザイナーを選定します。
このように、仮でも良いので優先順位をつけ軸を持つことで、スムーズに「良いロゴ」を目指すことが可能です。
「自社のお客様を意識するあまり、自分たちが使いたいロゴにならなかった」
「自分たちの要望はかなったけど、お客さまからの評判がものすごく悪い」
こうなってしまうと、良いロゴとは言えません。
第1章 良いロゴマークとは?
第2章 ロゴを依頼するときのポイント
第3章 ロゴの作成の費用や相場とその考え方
第4章 ロゴの決定、採用、デザイン修正について
第5章 著作権や商標権など、権利関係のこと