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こんにちは。
ロゴ作成専門ビズアップ 津久井です。
前回のメルマガは、
非常に個人的なことであったにも関わらず、
結果的に今までで一番多くの感想を
いただくことができました。
感想、励ましの言葉をくださったみなさま、
この場を借りてお礼申しあげます。
共感いただけたこと、
そして親身な言葉をいただけたことは、
私にとって深くて、重くて、とても大切な経験となりました。
本当にありがとうございました。
さて、
今週のお話を始めさせていただきます。
先日、弊社菊池(女性・21歳)が
思いつめた顔で言いました。
「聞きたいことがある」
私は、
「何か悪いことでもしたかな?」と
内心ビクビクしましたが(笑、
そうではありませんでした。
菊池はとある島の出身で、
その島に2軒しかないスーパーのうちの
1軒でアルバイトをしていたそうです。
そのスーパーの2代目社長から、
ビズアップに入る前に
「うちに就職しない?」
と誘われたこともあるそうで
(断ったそうです)。
お盆休み中にそのスーパー(スーパーAとします)に
久しぶりに行ったところ、内装や店員のユニフォームなどが
ガラッと変わっていたそうです。
それを見て、菊池は不安に思ったそうです。
「このスーパー、うまく行っていないんじゃないか」と。
当時のバイト仲間のおばちゃんにいろいろ事情を聞くと、
やはりみな菊池と同じ不安を持っていたそうで。
内装や、ユニフォーム、POPなどに手を入れて、
頑張っている様子はあるけど
なんかズレている気がする、
これが菊池やパートのおばちゃんの
感じていることだったそうです。
で、
「こういう時、津久井さんなら
どういうデザインにしたり、
どこのデザインを変えたりして
打開しますか?」
と質問されました。
我が社員ながら、21歳の女の子が
いちスーパーの経営について
聞いてみようなんて、
なかなかすばらしい、
なんてちょっと思いました
(すんません、社員自慢です)。
詳しく話を聞いてみると、
島民のほとんど(おそらく8割)は
スーパーAと島にもう一つあるスーパーBで
買い物をしているそうです。
で、
菊池の感覚と人に色々聞いたところでは
スーパーBのほうがやや有利というか、
繁盛している様子とのこと
(数字を見たわけではないので定かではありません)。
スーパーAの社長は、
「見た目の力」=「デザイン」と「低価格戦略」で
スーパーBに勝とうとしているようで、
店内の内装を
「また変えるの??」というくらい
頻繁に変えているそうです。
私は実際にその島に行ったわけでも
スーパーAを見たわけでもないので、
憶測と仮説でしかものを言えませんが、
頻繁に内装を変えたり、
ユニフォームを変えたりする、
ということは、
おそらく「問題がどこにあるか」を
把握せずに手当たりしだいに
手を打っているのは間違いなさそう。
これではどこに向かって
弾を打てばいいかわからず、
闇雲に銃をぶっぱなしている状態です。
いつかは弾が当たるかもしれませんが、
その前にこちらが被弾するかもしれません。
私であれば、
まずは利益構造のどこに手を打つのが
もっとも効果的かを探ります
(オーソドックスですが)。
・売上を増やすべきか
→客数を増やすべきか
→客単価を上げるべきか
→リピート率を上げるべきか
・経費を削減すべきか
→固定費を減らすべきか
→変動費を減らすべきか
すごくざっくりですが、
これだけでも多少はわかることがありそうです。
客数を増やすのはおそらく現実的ではありません。
市場のサイズが「島」で決まっていて、
ライバルも1社程度しかないので。
8割がスーパーAとスーパーBで買い物を
していることを考えると、
これ以上の客数増はなかなか厳しそう。
スーパーBから客を奪うことは
不可能ではありませんが、
これがまず最初に打つべき手かというと疑問です
(仁義なき値下げ戦争になりそう)。
客単価を増やすことも、
多少は出来るでしょうが、
島民の経済状況という
コントロールし難い要因があることを考えるとちょっと・・・
さらに詳しく話を聞いてみると、
物流にものすごい大きな問題を抱えているようです。
船を使って本州から商品を運んでいるそうですが、
スーパーにとってもっとも回転率が高い食品類は、
輸送に時間がかかればかかるほど、賞味期限の問題で
廃棄ロスなどの経費がかかります。
パン類(大手製パンメーカーの商品)にいたっては
飛行機で運んでいるそうですが、
飛行機が2日欠航しただけで
賞味期限切れの商品が届くそうです。
でも、スーパーAの社長は
デザインと低価格戦略でなんとか
しようとしているようで。
もうお気づきだと思いますが、
「この問題、デザインで解決できる話じゃない」
これが私の回答です。
POPのデザインを変える、という打ち手は、
先程の分解図でいくと、
「客単価を上げる」
ということにしか効果を発揮しません。
「POPが素敵だからあの店に行こう」
とはまずならないし、変動費や固定費を
POPが下げてくれるわけでもありません。
ユニフォームも同様に、
客数や客単価を上げるものではありません。
「あのお店、ユニフォームが素敵だから
今後も利用しつづけよう」
というケースは、ゼロとは言いませんが、
リピート率を上げたいのであれば
ユニフォームを変えただけでは大きな効果は望めません。
以前からお伝えしているとおり、
デザインというのはマーケティングの一部でしかありません。
・売上を効率的に増やしたい
・自分たちのビジョンやミッションを
人々にわかりやすく伝えたい
・ブランド価値を高めることで、
来てほしい客層に効率的にアプローチしたい
などなど、
「こうしたい、こうしていきたい」
という目標や目的があるときに、
それを達成するのに
デザインが効果的なのであれば
デザインを大いに利用すべきだし、
デザインではそれを達成できないのであれば
他の施策をすべきなのです。
デザインや見た目の力は確かに強力です。
人間の潜在的な部分に訴えかけることができるからです。
でも
「デザインで何でも解決できてしまう」
と思うと危険です。
当然ながらデザインで解決できることが全てではないし、
解決できたとしても、ものすごい時間がかかる場合
(他の打ち手の方が早い)もあります。
で、
また多くの業界人に批判されるかもしれませんが、
デザイン会社の多くは、
「デザインで何でも解決できてしまう」
と思っている場合があります。
「それはね、見た目がダサいからですよ」
「今の最先端のトレンドのデザインに変えれば、
他社と差別化できますよ」
なんて言葉にはだまされないでくださいね。
「見た目」という部分最適しか考えていないと
全体最適が図れずおかしくなることがあります。
デザインというのは、
「あえてダサいほうが良い」
場合すらあるのですから。
あくまで、
全体の中の一部としてのデザインです。
さて、それにしても菊池に
「それはデザインで解決できる問題ではありません」
と答えるだけでは、
なんだか逃げているようにも感じますので
一応、私なりの憶測と仮説を基にした
打ち手のアイディアだけは伝えておきました。
現場を知っているわけではないので
見当はずれかもしれませんが、こんな感じです。
1.客単価を上げる
・島民が、スーパーAでの買い物に
もう一品、二品追加しても問題ない
経済状況になる必要がある
→パート、アルバイトの時給をむしろ上げる
2.変動費を下げる
・島の食品メーカー、一次産業者
(がどのくらいあるかわかりませんが)を使う。
→島内の物流であれば、本州から運ぶよりも
格段にコスト(物流費・廃棄ロス)が落ちるはず。
さらに、
メーカーの従業員や一次産業者の収入を
上げることにいかに貢献できるかがポイント
(スーパーAを使ってもらえるようになる)。
1も2も
「お金の流れが島の中で循環するようにする」
ということが底流にあります。
自分たちの生活がスーパーAとの
相互扶助関係で成り立っている、と考えれば
関わりのある人たちがスーパーAを利用する
可能性は格段にあがると考えます。
さて、これは非常に時間のかかる施策です。
そして、はっきりいって机上の空論であり理想論です。
でも、
机上の空論でも理想論でもないよりマシです。
これがあることで、スーパーAのミッションは、
「島の経済の発展と島民の生活への貢献」と
することができます。
断じて、「スーパーBに勝つこと」ではありません。
企業としてのゴールデンサークルのwhyが
「島の経済の発展と島民の生活への貢献」
「スーパーBに勝つこと」
どちらがお客さまや従業員の方が
気持よく動くでしょうか。
※「why」について知らない方は
過去のメルマガ第44回をご覧ください。
http://bit.ly/9ciJ2l
これを効率的に人々に伝えるということであれば
デザインは大いに役に立ちます。
ミッションに沿った
ユニフォーム変更や内装替えだったら、
デザインで効果を出すことも効率的にできるかもしれません。
これが、菊池にした私なりの回答です。
なんだか、偉そうなことを書きましたが、
これはアイディアの出所は実は単純で、
自動車王フォードから来ています。
彼は、不況で車が売れなくなってきたときに、
あえて従業員の給料を上げたそうです。
そうしたところ、従業員が
フォードの車を購入するようになり、
不況を乗り切った、という話があります。
これと同じことです。
「誰を喜ばせるか」
これもマーケティングの重要な視点のひとつなんですね。
今回はここまでです!
またメールさせていただきます!
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投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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