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2024年10月04日 デザイン パッケージデザイン ブランディング メールマガジン 法則・ノウハウ 【第738回】お土産から考察ー御社が人に「与えてしまっている」印象とは?ー

10月に入りましたね。

さて、毎年恒例のお話をしますと、ここから2024年はあっという間に終わります。もう私の中では10月はほぼ年末。光陰矢の如しどころかミサイルのごとし。忘年会ラッシュに備えて今から体調を管理しないと。。。

ちなみに本日は大阪に出張に来ております。最近、出張がまた増えてきました。営業に同行する時間を増やしているためです。

ビズアップはありがたいことに全国にお客さまがいます。自社の表現にお悩みを抱えているお客さまに代わり、言葉と画(え)をつかってブランディングをしています。それにより、集客や採用で効果を感じていただく、これが私たちのミッションです。

そんな中、9月の頭には青森に出張しておりました。本日は、その帰りにお土産を選んでいるときのお話をテーマにデザインやブランディングについて語りたいと思います。

その前にコロコロニュース。

外国人が日本の運転免許を東横INNの住所で獲得

参政党がよいかはわからないけどキャッチコピーはいい!

札幌大谷大学がワク◯ソについて声明を出した

LAVA!2年くらいいってなかったけどまた行きます!

Yahooニュースの記者の内部告発(youtubeに飛びます)

単純に面白かったので紹介(笑)

最後のは完全にエンタメです(笑)。「進次郎構文」をご存じの方は笑えると思います。

いよいよはじまってしまいました。カプリコーンみたいな名前の新しいお注射(おみそんちゃんねるより)。今度は他人にも伝播させると言われています。

今までは自分や家族が打たなければなんとかなりました。これからはどうなるかわかりません。なにせ、開発したアメリカ、治験を行ったベトナムが導入せず、なぜか日本が世界で初めて、というか世界中で日本だけが導入。

能登の復興を進めなかったり、不良外国人を不起訴にしまくったり、実質負担率50%以上に増税したり、こういったことをしている国が推奨するお注射、みなさんは信じますか?

「言っていることよりやっていることがその人の本性」とはよく言ったものですね。

とはいえ、テレビしか見ない世代からしたらテレビは天声人語ですから、そういう人(主にお年寄り)が打ちまくって世の中を混乱させることになるかもしれません。これは防げない。言われているほど伝播しないことを願うしかありません。

ちなみに私の友人経営者は今回のお注射の前に群馬の山里に古民家を購入しました。いつでも避難できるように。

さて、本題。

青森のお土産売り場でお土産を選んでいるときのことでした。会社用、自宅用、さまざまなお土産を見ていましたが、小3のムスメからは自宅用にリンゴジュースを買ってきてほしいというリクエストがあり、リンゴジュース売り場に。

ここで、非常に見づらくて恐縮ですが、リンゴジュース売り場の動画をご覧ください。動画といっても1秒しかないですが。しかも見づらい(汗)。

この中で、私がどのリンゴジュースを購入したかわかりますでしょうか?(見づらいですよね。。。)

 

●「りんごパイ」と「お漬物」、どちらを買いますか?

答えをお伝えする前に、お土産についてもう少し考察してみましょう。

もしも出張先で会社の人たちや取引先へのお土産を買うとしたら、以下の2つであれば、どちらを選びますか?

多くの人が、左の「りんごパイ」を選ぶのではないでしょうか。もちろん右の漬物だと「社員で分けられない」という問題はありますが、そこはちょっと本質的ではないので今回は議論しません。

で、その理由(お漬物はきれいに分けられない)を除外したとしても、多くの人は「りんごパイ」を選ぶのではないでしょうか。

なぜでしょう?

「りんごパイ」は「無難」だからです。つまり、「失敗しないから」です。りんごパイのパッケージから感じるのは、「めちゃくちゃおいしいかわからないけど、失敗はしない」ではないですか?

「三越や高島屋などのデパ地下スイーツほどの感動は絶対にないが、きちんとしたメーカーでつくられているので、大失敗はしない」ということが直感的に理解できるパッケージ。

では、なぜ「無難」なお土産を選ぶのでしょうか?

会社の人たちへのお土産は、失敗したくないからです。「なんでこんな変なもの買ってきたんだよ」「お土産のセンスねーな」と思われたくないわけです。もらって「困ったな」と感じさせたくないからです。

取引先へお伺いするのに何かしらを持っていくのも同じですよね。「もらって困るな」とは思われたくない。

「これがいい!」ではなく、「これならいいか」で選ばれるわけです。この言葉の微妙な違いは超重要。

よくよく考えたら右のお漬物が「超感動する!」レベルのお漬物である可能性だってあるわけです。でも、「大当たり」を狙うリスクを取るのではなく「合格点」を確実に狙って失敗を避ける。

これがお土産購入の一つの心理(真理)です。

では、次のケースを想像してみてください。

ある晴れた日に奥さんと車でドライブ。山の上の趣のあるドライブインに到着。そこで何か自宅用にお土産を買って帰ろうとなったとします。もしくはとても仲の良い人や自分たちの両親にお土産を買って帰ろうとなったとする。

ドライブインにはお漬物が。どうやら地元の人たちが地元で取れた野菜をつかって、昔から伝わるつくり方でつくったお漬物らしい。

そうなったら、「りんごパイ」と「お漬物」、あなたはどちらを買って帰るでしょう?

けっこうな人が「お漬物」を選ぶと思います。なぜなら、その時の「失敗」とはせいぜい「まずかった」「漬物代が無駄になった」程度だからです。仲良しや両親であれば「漬物、いまいちだったねー」程度。嫌われたり人を困らせたりすることはない。

それよりも「ここでしか手に入らないかも」という希少性のほうが勝ちます。

つまり、お土産として選ばれる(=ブランディング)には、まずは「自宅用」「仲の良い人に渡す」ためのお土産か、会社の人や取引先など「自分の評判を落としたくない相手」「困らせたくない相手」に渡すためのお土産かにより大きく変わるというわけです。

なお、「会社の人」「取引先」など「自分の評判を落としたくない相手」「困らせたくない相手」に渡すためのお土産は、「不安払拭型ブランディング」と私は名付けています。見た目から「当たりもないがハズレもない」と直感的に感じさせるためのブランディングです。

「不安払拭型ブランディング」の代表例は「チェーン店」です。どこにあるファミレスに行っても同じなので、大当たりはないけど失敗はしません。

 

●「見た目」は人に何かしらの印象を与えてしまっている

それにしても、なぜ人はお土産を見ただけで「大当たりはないが失敗はしない」とか、「大外れかもしれないが、大当たりかもしれない」と判断できるのでしょうか?

それは「デザインの無拒否性©」によるものです。

かんたんに説明すると、「デザインの無拒否性©」とは「人は見たものから何かしらの印象を感じてしまう」というものです。「©」とあるとおり、私が考えた言葉です。

たとえば、ちょっと汚い例えで恐縮ですが、電車の中にこんな人がいたらどう感じますか?

  • 40〜50の代男性
  • 太っていて、上着とズボンの間から腰回りや下着が見えている
  • 歯が黄ばんでいる
  • 髪の毛が脂ギッシュでフケも落ちている
  • 靴が汚く、かかとを踏んでいる
  • スマホで萌え系アニメを見ている
  • 呼吸が荒い

どうでしょう?多くの人が、「近寄りたくない」「気持ち悪い」「ろくでもない」と「感じる」と思います。

しかし、ちょっと待ってください。この人がもしかしたら、めちゃくちゃいい人の可能性もあります。ノーベル平和賞の受賞経験があるとか(笑)。または、実は大企業の社長とか、資産数十億の人とか。

つまりは人間的になのか経済的になのかまたはそのどちらもなのかはわかりませんが、とにかく社会的に認められるだけの何かを持っているかもしれない。

それなのに「近寄りたくない」「気持ち悪い」「ろくでもない」と感じてしまうのはなぜですか?

逆もしかりです。めちゃくちゃ見た目もよくて紳士的な人が詐欺師だったなんていうケースは枚挙にいとまがないですよね。

人はその「見た目」から「それなりの何らかの情報」を受け取ってしまっています。これが「デザインの無拒否性©」。

「デザインの無拒否性©」のポイントは

  • 「見た目」は狙う狙わないにかかわらず、また好むと好まないにかかわらず、必ず何かしらの情報を発信してしまっている
  • それ(感じてしまう内容)が事実かどうか(本当にダメ人間かや素晴らしい人かなど)は実は関係ない

という点です。人は見た目を拒否できないのです。

先ほどのお土産の例でお話しましょう。

りんごパイは、きちんとした製菓メーカーが工場で生産したように「感じ」ます。お漬物は、近所のおばあちゃんが手づくりで袋詰めしているように「感じ」ます。

どちらも事実かはわかりません。もしかしたらりんごパイのほうもおばあちゃんが手でこねて手作業で包装しているかもしれません。お漬物は実は機械で超近代的に生産されているかもしれません。

見た目からは事実はわからないのです。しかし、多くの人が「そう」判断します。だから、「りんごパイ」は「大当たりはないが失敗もない」と感じ、「お漬物」は「大当たりかもしれないが大外れかもしれない」と感じるわけです。こうして購買行動が起きている。

こう考えると、会社の見た目や社員の見た目、商品の見た目を整えないことがいかに「愚かな行為」かわかると思います。

特にお土産は、消費者のほとんどが商品を体験したことがないはずです。有名なお土産でもない限り、「食べたことがない」「使ったことがない」というお土産がほとんど。その場合、判断基準は「見た目」しかないわけです。

少しまとめると、

  • お土産は、自分用(自宅や仲の良い人など)か他人用(会社や取引先など)かによって選ばれる基準が違う
  • 選ばれる基準は、見た目で判断するしかない(しかも見た目で感じたことが事実とは限らないのに)

というわけです。

 

●お土産のヒット商品とは?

ところで、こんなお土産があったらどうでしょう?

  • 大当たりの可能性があるが、失敗のリスクはかなり低い

つまり、「りんごパイ」と「お漬物」のいいとこ取りをしたようなお土産です。もしこういうお土産があるなら、ヒットするイメージがありますよね。

ここで、りんごパイとお漬物のメリット・デメリットをまとめてみましょう。

【メリット】
  ┗ りんごパイ:かなりの高確率で失敗しない
  ┗ お 漬 物:大当たりかもしれない

【デメリット】
  ┗ りんごパイ:大当たりはない
  ┗ お 漬 物:大外れかもしれない  

つまり、これらのいいとこ取り(メリットのみ)が、前述した「大当たりの可能性があるが、失敗のリスクはかなり低い」となります。

ということは、理論的には「そういう印象を拒否できない見た目」をつくりあげればよいというわけです。

さて、売り場では、ねぶたのパッケージのリンゴジュースが目立っていました。以下の写真のようなやつです。

Google画像検索より

私が購入したのはこの「ねぶた系」リンゴジュースでしょうか。答えは「ブー!!」です。違います。

このねぶたのリンゴジュースは、「りんごパイ」と同様、失敗はないが大当たりもない、という「見た目」になっていると考えます。

特に問題なのは、「リンゴジュースっぽくない」と感じる点です。「ねぶた」は青森を象徴しますが、「りんご」を象徴しているわけではありません。また、全面にデザインが入っていることで、中身が見えません。

これは「メリコの法則」の「リ」が非常に弱い状態です。ねぶたのパッケージは「メ」は良いのですが、「リ」がとても弱い。

「メリコの法則」をかんたんに説明すると、商品やデザインが優れているかどうかは、「メリコ」の3つで評価できるというフレームワークです。これは私の師匠である伊吹卓先生が考案したもので(もうお亡くなりになられていますが)、「メリコ」は

  • 目立つこと
  • 理解できること
  • 好感が持てること

の頭文字を取っています。

これにより、「大量生産だからまずくはないだろうけど、めちゃくちゃおいしいリンゴジュースではないな(=自宅用ではない)」という無拒否性が私の中に働きました。

私が選んだリンゴジュースは、以下のものです。

自宅で撮ったので写真がちょっと赤いです。。。

このリンゴジュースは、まずは中身が見えている点から、直感的にリンゴジュースだとわかります(当たり前だけど、これは相当重要)。また、写真だと分かりづらいですが、りんごの種類によってジュースの色味が少し違います。

パッケージはシンプルなため、売り場で目立ちます。りんごの種類がパッケージに大きく書いてあり、読みやすくわかりやすいうえに直感的にりんごの種類の分だけ商品ラインナップがあることが理解できます(「リ」が優れている)。

これだけの種類のリンゴジュースを取り揃えているのは青森ならではだろうと感じます(希少性やオリジナリティ)。しかし、その見た目が整えられている(≒ちゃんとした製造元でつくられていると感じる)ことから「大外れはない」と直感的に「感じ」ます。

「りんごパイ」と「お漬物」のいいとこ取りをしたような商品です。実際に売り場ではこの商品がよく売れていました(棚に陳列された商品が一番減っていた)。

実は今回、会社用に買ったお土産もあります。いつも何を買おうかわりと迷いますが、今回はすんなりと決まりました。

なぜなら、「りんごパイ」と「お漬物」のいいとこ取りをしたようなお土産が他にもすぐに見つかったからです。それがこちらの青森りんごまんじゅうです。

これも家で撮ったのでちょっと暗いです

売り場ではサンプルがあることで「リ」がさらにわかりやすい

これはデザイン的には難しくありませんが、かなり考えられた上手なパッケージです。ここまで考えられたパッケージをつくっている時点で「ちゃんとした製造元」感を感じます。

そしてパッケージのアイデアから「特別感」「希少性」みたいなもの、つまりは「当たりの予感」を感じます。渡した相手が「かわいい!」と感じてくれることも期待できます。

何よりも、それらが事実かどうかはわからないのに、そう感じてしまいます。

私はこのりんごのおまんじゅうを会社だけではなく自宅用にも買いました。どちらも兼用できるお土産は相当珍しいです。

ちなみにリンゴジュースも社員数が少なければ会社用に買ったと思います(ひとり1本はさすがに重いし高い)。

りんごのおまんじゅうとリンゴジュースからヒットするお土産の輪郭が見えたというお話でした。

さて、今回はお土産に特化したお話になってしまいましたが、御社に役立てられそうな部分はありましたか?

一番お伝えしたいのは、「デザインの無拒否性©」。これは御社のクライアントに対しても、採用応募に来る社員候補に対しても使えるお話です。

御社はクライアントや社員候補に、または社員に、どんな印象を与えているか、与えてしまっているか。「見た目」から感じる印象は拒否できません。

「見た目」をおろそかにするととんでもないことになりますよ。

ちなみに私はお漬物が食べられません(汗)

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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