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8月中旬。明日からお盆休みという方も多いのではないでしょうか。
それにしても暑いですね。
昨日、会食で「昔はこんなに暑くなかったよね」という話が出ました。で、30年前くらいの夏の平均気温を調べた人もいました。たしかに今ほど暑くない。
私も気になって、今調べてみました。48歳の私が8歳のころ、1984年の気温です。
東京都の8月の最高気温は、平均32.4℃でした。2024年は34.3℃。やはり2℃くらい上がっているようですね。
でも、特筆すべきは1984年の9月の気温です。
最高気温の平均が27.1℃ですから、9月に入ったら当時は涼しさを感じられたのではないか。今は9月でも8月と大差ないように感じますよね。。。
私が小学生、中学生の時は、サッカー部や野球部は練習中に水を飲ませてもらえませんでした。これ、昭和の武勇伝チックに語る人も多いですが、今それやったらマジで死にます。
いやはや、恐ろしい時代になったもんだ。一番恐ろしいのは、8歳がもはや「40年前」という「自分」ですけども(笑)。
ちなみに、私は地球温暖化を信じていません(陰謀論者なんで笑)。東京の暑さは、ちょっと前までメディアでよく聞いた「ヒートアイランド現象」のせいだと考えています。
縄文時代の平均気温は、今よりも4〜5℃高かったという研究結果があります。たしかに雪深い青森市に三内丸山遺跡などの縄文の遺跡があることを考えると、十分ありえます。平安時代でも2〜3℃高かったらしいです。
じゃあ、なんで暑いのか。ヒートアイランドと樹木の伐採です。実際に、東京よりも南のほうに出張に行っても、東京のほうが暑いということがほとんどです。天気予報では出張先のほうが気温が高いと出ていても、体感温度は東京のほうがはるかに高い。
なぜ「ヒートアイランド現象」と言わなくなったのか。地球温暖化防止の「利権」にとって都合が悪いからです。
ヒートアイランドの原因はビルやアスファルトということになっていましたから、それだと地球温暖化的に都合が悪いわけです。
地球温暖化を唱える人たちにとっては地球そのものが熱くなっていないといけないわけですが、「ヒートアイランド」だと地球そのものが熱いわけではありません。緑を増やしてアスファルトやビルを減らせば防げてしまいます。
これが「ヒートアイランド現象」という言葉がメディアから消えた理由だと考えます。というわけでこの流れで、コロコロニュース。
昨日の地震で被災された方、お見舞い申し上げます。
それとは別に、「南海トラフ巨大地震の注意喚起」は、政府のやろうとしていることが透けて見えてて、本当にイヤになります。能登半島地震の被災地をいまだに放っておいているヤツラがいう憲法改正って、信用できるわけがない。
「いやいや、憲法改正してないから能登の復旧が遅れているんだよ」というアホな反論には、「じゃあ東日本大震災のときは何だったんだ」といいたい。あのとき批判殺到だった民主党ですら、災害復旧着手はもっと圧倒的に早かったです。
以上、コロコロニュース終わり。
さて、本日のお話です。面白い会社を見つけました。紹介します。
「マッスル介護」をご存知ですか?
●「マッスル介護」とは?
「マッスル介護」。これを聞いただけで、それがどんなものか一発で想像できる秀逸なコンセプトワード。
どんな人でも少し考えれば、「あ、マッチョの人は力持ちだから介護の仕事に向いているんだ!なるほど!」と理解できると思います。
まさにそのとおりで、しかしながらそれだけにとどまらない、美しいビジネスモデルがそこには潜んでいました。
「マッスル介護」を展開するのは、名古屋市にある株式会社ビジョナリー。放課後等デイサービスなども含む21事業所を展開する会社で、社員も120名以上という規模の会社です。
「美しいビジネスモデル」といいましたが、どんなものかというと、こちらのショート動画をご覧いただくのが一番わかりやすいです。
もはや、このショート動画を見れば今日のコラムはいらないんじゃないかというくらいです(笑)。
こんなに美しいビジネスモデル、なんで今まで誰も気づかなかったのか。まるで家のすぐ裏の山から財宝がわんさか出てきたような、それを他の人に最初に見つけられてしまったような感覚。
ブランディング的にいえば、こういうのは1番にやったもん勝ちですからね。
さて、マッスル介護について、詳しくはこちらの記事をお読みいただくのがよいと思います。
→マッチョ×介護がいまアツイ!業界のイメージが変わる新時代の働き方とは?
ここからは、私の視点で「マッスル介護」が優れている理由を語ってみたいと思います。
●本業とは違う価値
マッスル介護には「本業とは違う価値」、いわゆる付加価値がついています。
「付加価値」について語る前に、このコラムでよく登場する
- モノの時代
- デザインの時代
- 色の時代
の3つの時代のお話を少ししましょう。
ざっくり説明すると、時代は「モノ」→「デザイン」→「色」と移り変わっていく、というもので、私の師匠である伊吹卓先生の提唱した理論です。
「モノ」の時代は、圧倒的に「機能」が不足しています。
「食べ物を腐らせずに保管する機能」や、「洗濯板でゴシゴシしなくても衣類をきれいにしてくれる機能」などがない時代に冷蔵庫や洗濯機が現れるとどうなるか。かんたんに言えば飛ぶように売れるわけです。
このとき、人は「機能」がほしくて買います。これが「モノの時代」です。人々は商品の見てくれが悪くてもお構いなしです。「機能」がほしいわけですから。
しかし、その機能が売れるとわかると真似する企業が現れはじめ、競合商品が出回ります。そうすると「モノ」が飽和します。消費者は同じ機能の商品のいくつかから「選択」することになります。
このときに選ばれるために活躍したのが「デザイン」です。多くの企業は同じ機能の商品をデザインで差別化しはじめました。
他にも本来の機能以外のちょっとしたオマケ機能をつけるなどで差別化する商品もありました。
たとえば、今はもう知らない人もいるかもしれませんが「ラジカセ」などがわかりやすい例です。ラジカセは飽和してきたときにデザインでの差別化のみならず、「ダブルカセット」と称してカセットテープを2つ入れられるようにしました。
これもオマケ機能のひとつ。本来の「カセットテープを再生する」とか「何かを録音する」というメインの機能の延長線にあるものです。倍速録音とかもそう。ノイズキャンセリングとかも。
このように「デザインの時代」は、本来の機能だけでは買ってもらえないため付加価値をつけはじめた時代ということになります。「付加価値の時代」とも言い換えられるわけです。
そこから「色の時代」にいくとどうなるか。
デザインの時代が終わると、いわゆる「イロチ(色違い)」の商品が出回るようになります。これが「色の時代」です。
しかし、ただのカラー展開の話ではありません。「色の時代」は私の追加の解釈では「バリエーションの時代」と言い換えられます。
「人とまったく違うのはイヤ、怖い。だけど、人とちょっとした違いを表現したい!」、こんなニーズに答えるのが「色の時代」です。
スマホのデコレーションなどもその一環です。
これら「3つの時代」の変遷は、大きな経済のひとつの流れとしても起こるし、業界や商品単位でも起こります。
マッスル介護も、まさに「本来の機能」である「介護」だけではなく、付加価値をつけることで成功しています。
筋肉隆々の男たちが介護をしてくれる安心感や、マッチョ好きにはたまらない筋肉美などの付加価値があるわけですから。
では、介護業界は「付加価値の時代」、つまり「デザインの時代」にあるのかというと、私はそうではないと思います。マッチョ好きの人は決してマジョリティ(多数派)ではないからです。
なので、介護業界は「色の時代(バリエーションの時代)」にあるのではないかと私は考えています。
こういう事例は他にもあります。
たとえば、鉄道オタクの床屋さんとか。お店の主人が鉄道オタクのため、鉄道コンセプトの床屋さんを開業した例です。
お店は駅舎に見立てているし、店長は「店長」ではなく「駅長」だし、お客さんを呼び出すときは車内アナウンスのように呼び出すなど、徹底しています。
本来の「髪を切る」という機能ではない理由でお客さんが集まります。決してマジョリティではありませんが、十分に利益が出るくらいコアなファンを集められます。
プロレス好きの床屋さん、というのもあります(床屋さんばっかりだな笑)。そこに来店するのはプロレスファンのお客さんばかりで、一緒に試合を観戦しに行くこともあるそう。お客さん同士がプロレスで繋がり、さらに口コミでお客さんを集めてくれます。
●ブランディングの視点でも優れている
「マッスル介護」は「マッチョが介護してくれるサービス」です。つまり、「マッスル介護」そのものは「商品」です。
この商品をどのように見せ、どのように認知させていくかというのが「ブランディングの視点」となるわけですが、マッスル介護はこれも優れています。
そもそもブランディングとは何をするかというと、大きく分けると次の2つになります。
- 表現を磨き、その価値を高める
- 高めた価値を広く拡散させる
となります。あるハンバーガーがあったとしたら、そのハンバーガーの魅力を「言葉と画(え)」を使って徹底的に磨きます。その磨き上げた魅力を、今の時代ならSNSなどで広く拡散させ、知ってもらいます。
さらにここからファン化させるなどもあるのですが、大きく分けるとこの2つの活動がブランディングです。
我々は「表現を磨き、その価値を高める」仕事をしています。言葉と画(え)を使って行うものです。
「高めた価値を広く拡散させる」というのは、我々の得意分野ではありません。
これは今だとSNSを活用したマーケティングなどが該当します。「インフルエンサー」の役割は価値を広く拡散させることです。
ブランディングの大家アル・ライズは、「ブランディングはメディアに登場することで完成する」といっていますが、もっとも強力な拡散効果を発揮するのが、いまだにテレビです。
私はコ□ナ以降、テレビが嫌いになってほとんど見なくなってしまいましたが、なんだかんだいっていまだに強力な「洗脳装置」がテレビです。
テレビに出ると、人は自分で考えることなく、無条件にその商品が「おいしいものだ」「すばらしいものだ」「信頼できるものだ」「正しいものだ」と思い込んでしまいます。企業側にとっては大金を払う価値があるというわけです。
では、どうすればテレビをはじめとした大手メディアに登場することができるでしょうか。私は以下の4つのポイントに分けられると考えています。
- 【独自性があるか】
- 【社会性や公共性があるか】
- 【時代性があるか】
- 【事件性があるか】
かんたんに説明しましょう。
【独自性があるか】 |
★NO1をうたえるか ★Only1をうたえるか |
今まさにオリンピックが開催されていますが、例えば陸上100mのボルト選手はいまだに世界記録保持者であり、「★NO1をうたえる」×「最も 速い 人」なわけですね。
Only1の「その人しかできない」などは伝統技術をもった職人さんや特許技術でその会社しかつくれない商品などが当てはまります。
【社会性や公共性があるか】 |
・世の中の役に立つか ・倫理的に求められているか ・広く知ってもらうべきことか |
これは、読んだままですね。本当であれば、メディアの基本理念といってもよさそうです。今はその欠片もないですけども。。。
【時代性があるか、タイミングが合っているか】 |
・<その時代にあっているか>×<人・もの・出来事> ・<今の時代とのギャップが大きいか>×<人・もの・出来事> ・<その時にしか見られない、知れないか>×<人・もの・出来事> ・<タイミングにあっているか>×<人・もの・出来事> |
「その時代にあっているか」はそのままなのでわかりやすいと思います。
「今の時代とギャップが大きい」とは、簡単に言えば「今時そんなことしているの!?」とか「今の時代だからこそ!」などなど、今どきらしくないからこそ取り上げられる人、もの、できごとなどです。
【事件性があるか】 |
・犯罪をしているか ・天災などがおきたか ・人災などがおきたか ・事故がおきたか ・ハプニングが起きたか |
これは読んでそのままですが、ものによっては、この内容でメディアには出たくないですね。。。
この4つのポイントのうち、どれかひとつが突出しているか、いくつかがバランスよく備わっているかでメディアに出られると考えられます。
私がよくメディアに取り上げられた「東京オリンピックロゴパクリ問題」は、「時代性」と「事件性」を兼ね備えた案件でした。
さて、「マッスル介護」の場合はというと、「独自性」はもう申し分ないです。絵面的にもマッチョが集まるとばえる。「社会性」は「介護」そのものにも「介護業界が人手不足」ということにも十分あります。「時代性」は高齢化時代ですから、これも十分ある。メディアに取り上げられる要素満載です。
つまり、ブランディング的には「高めた価値を広く拡散させる」ことにおいて、超ポテンシャルがあるというわけです。
●社員が大切にしているものを大切にする
「マッスル介護」が優れている3つめは、採用面です。
ショート動画でもあるとおり、マッチョからの応募が殺到し、ウワサを聞きつけたマッチョ好き女性からの面接も多数入るという、完璧すぎる採用活動がそこにあります。
これ、ここの社長さんはこの結果をはじめから狙ってたのかな?もし狙いどおりだったら恐ろしいまでの戦略家だと思います。天才すぎて尊敬する。
- 6時間仕事で2時間筋トレ
- 福利厚生でトレーニングジム利用無料
- プロテイン代の補助(プロテイン手当)
筋肉を愛してやまない人たちにとって、自分の愛するものが会社や社会の役に立ち、それにより給料がもらえ、さらにそれをもっと大切にする活動をサポートしてもらえるわけです。
もし私が筋トレ好きで介護職についていたら、引っ越ししてでもこの会社に入りますね。
人は、自分が大切に想っていること、ものを、同じように人にも大切だと想ってほしいし、それを想ってくれない人とは仲良くなれません(揉めることもあります)。
たとえば、私は「ロゴマーク」というものを大切に想っています。自分の仕事が天職だと本気で思っています。「ロゴなんかいらねーよ」とか「ロゴなんかあればいいから適当につくってよ」という人とは仲良くなれません。
私の心の師匠であるサイモン・シネック氏の言葉に、
という言葉があります。今の時代は給料だけで働く人はほとんどいないでしょう。だからこそ、サイモン・シネックの言葉はものすごく含蓄を感じます。
人にはみんなそれなりに大切なものがあると思いますが、当然ながらそれはバラバラであることがほとんど。
ところが、社員のターゲットを絞ると、それが「具体的な共通の何か」となって現れるケースがあるんだというのが「マッスル介護」をとおして学べることです。やはり絞るのが大事。本当に秀逸です。
さて、こんなに美しいビジネスモデルに出会ったのは、本当に久しぶりです。
介護業界であれば「人材不足」と言われるように、どんな業界でもそれぞれ言い訳したくなるような厳しい状況がありますが、やはりアイデア次第ではまだまだできることがいくらでもあるんだなと痛感します。
みなさんの業界で、こういった視点でできる何かはありそうですか?
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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