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政治的な話はいつも本当にしたくないんですが。。。
日曜日はいよいよ東京都知事選挙ですね。今回は期日前投票も過去最高の投票数になっているとか?東京だけでなく日本を占う選挙となりますからね。
しかし、前回の都知事選の投票率は55%しかなかったそうですね。これって、東京都の有権者およそ1129万人(前回都知事選時)のうち、620万人しか選挙に行っていないということ。
ひどいですね。およそ500万人は選挙に行っていない。自分の暮らしと政治がどう結びついているかの想像力に欠如した無責任な人たちが500万人。こんなんで「給料が安い」とか文句を言われた日にゃ、払うほうとしてはたまったもんじゃない。
この500万人の無責任な人たちのせいで620万人のまじめな人たちが、そしてその子どもたちが犠牲になるのも民主主義だというのでしょうか。
このコラムでも何回かいってますが、民主主義が成立する条件は、国民一人ひとりが自分で考えられる頭を持つことです。テレビのいうことを鵜呑みにしたり、選挙に行かなかったりした時点で、民主主義はもろくも崩れ去ります。それが今の日本(泣)。バカの集まりの民主主義は最悪なんです。
ちなみに、今回みどりのたぬきこと現職のおばさんは組織票で250万〜280万票も持っているそうです。経団連やら自民党やら某宗教やらで。前回と同じ投票率だとしたら、620万のうちの40〜45%を持っている。これはしんどい。
これを打倒するためには投票率が70%までいかないといけないらしいです。
なので、「権力者」「既得権益者」は投票に行ってほしくないと思っている。茶番候補者を出し、選挙をくだらないもののように見せたりするのもその作戦のひとつでしょうし、テレビを見ない私にはわかりませんが、今回の都知事選のニュースは直前にも関わらずぜんぜん取り上げられていないそうです。
あと不正選挙もあるだろうし、みどりのおばさんを落選させるには一山も二山も越えないといけない。70%の投票率だけでは足りないかもしれない。
ちなみに先日、会社の近くをみどりのババア本人が選挙カーで通りました。誰も見向きもしてなかった。みんな一瞥をくれてやる程度。そんな中、私だけはアツい視線を送り、バチクソ睨みつけてやりました(笑)。2〜3mの距離。本当は中指も立ててやろうかと思ったんですけど止めました(汗)。
というわけでコロコロニュース。
最後の楽しんごくんの投稿について、彼は昔の事務所のときにお隣さん同士でした。
暴力事件で干されてしまった彼ですが、今やテレビをはじめとした大手メディアは信用できないので、本当は何があったかわからないと考えています。
少なくともお隣さん同士だったときの彼は礼儀正しく、とてもすばらしい人柄でした。
それにしても選挙前だからといってちょっとボリューミーになりすぎたな。
もう、本当はコロコロニュースやめたいんです。けっこう大変で時間かかるし。ここだけでコラム作成のうちの1時間近くを割いているかも。
みんながそれぞれ情報を取りに行くようになってくれれば、こんなことしなくていいんですけども。何度もいいますけど、バカと無責任の集まりの民主主義は最悪です。できることからでいいから立ち上がりましょう。
さて、本題。本日は言葉のデザインについて。
●たった6つの単語でできた「世界一短い小説」
世界一短い小説をご存知でしょうか?私もつい最近知りました。
世界一短い小説は、たった6つの単語から構成されています。この小説を書いたのは、誰もが名前くらいは聞いたことがあるであろうあの作家、ヘミングウェイらしいです(「らしい」としたのは、確証がないらしいため)。
その小説が、以下のものです。
意味、わかりますでしょうか?
赤ちゃんの靴が、なぜ未使用で売られているのか?今だと業者がメルカリとかで出品していそうなのでなんともですが、そんなのがなかった時代の話。
靴を売っているのは赤ん坊のお母さんだとしたら。そして、その向こう側に悲しい出来事があるとしたら。だんだんと情景が浮かんできたのではないでしょうか?
これ、すごいなと思うんです。私ははじめて見たときに感動してしまいました。
赤ん坊を亡くしてしまった(であろう)お母さんの悲哀に感動したのではなく、たった6つの単語でストーリーが成立することに感動したのです。
これって、人間のすごい能力のひとつだと思うんですね。
たとえば、以下のものを読んでどんなシーンが連想されるでしょうか?
- 壁にもたれながら
- 伏し目がち
- 目を潤ませて
- 仕草
「壁にもたれながら、伏し目がちなその目を潤ませている、そんな仕草」という文章があるとして、どんなシーンを連想しますか?
これ、「女性が悲しんでいる」と感じませんか?しかもその女性はおそらく10代から20代後半までの比較的若い女性で、40代以降というイメージはないはずです。
不思議ですね。なぜそう感じてしまうのでしょう?
ここにさらに以下のキーワードを加えてみましょう。
- 自分のベッドの上で
- ぬいぐるみを抱えて
急に情景の解像度が上がったと思います。おそらく10代の女の子で、もしかしたら好きな男の子にフラれたのかな?と感じませんでしたか?
でもですね。10代とか20代後半とかひとことも私は書いていないんです。
もちろん、うちのオカン(70オーバー)がぬいぐるみを抱えながらベッドで壁にもたれて目を潤ませていたら戦慄が走りますよ。私が伏し目がちになっちゃいますよ。でも、別にやっちゃダメではないですよね(笑)。
で、さらにいうと「10代とか20代後半とかひとことも書いていない」どころか、私は「女性」ともひとことも書いていないわけです。なのに多くの人が、このシーンで登場する人物を女性だと感じたはず。
なぜでしょう?
身も蓋もないことを言えば、「そう感じてしまうから」ということになります。前述の「人間のすごい能力」とはまさにこれ。
文中にある「仕草」という言葉は日本人なら誰でも知っていると思います。これ、「仕草」という言葉自体に性別を分ける意味合いはないはずですが、なんとなく「仕草」と聞くと女性感を感じたりしますよね。なぜか?「そう感じるから」です。
「伏し目がち」も女性っぽい言葉ですよね。なぜか?「そう感じるから」です。
不思議ですが、同じ状況を説明的な言葉で表すよりも情緒を感じます(情報量が多い)。
- 女性が好きな男性にフラれて悲しんでいる
- 壁にもたれながら、伏し目がちなその目を潤ませている、そんな仕草
後者のほうが圧倒的に「画(え)」が浮かぶのではないでしょうか?これは「言葉と画(え)の結びつきが強い状態」「言葉と画(え)がお互いを補完しあい強力なメッセージとなっている状態」、それにより情報量が多い状態です。
こうやって人はイメージの力でバイアスがかかります。これを上手に利用して、小説や歌の歌詞や映像などがつくられると考えられます。
ちなみに「仕草」っていう単語が入るとサザンオールスターズの曲の歌詞みたいですね。これも「そう感じてしまう」ことの一種です。
●「感じる言葉®」とその定義
私は前述のような
- 画(え)との結びつきが強い言葉
- 聞くと画(え)が自然と浮かんできてしまう言葉
を「感じる言葉®」と定義しています。「®」とあるとおり、商標登録までしています。
「感じる言葉®」というと、「どんな言葉でも人は何かしら感じるんちゃうんかい」というツッコミが入りそうですが、「感じない言葉」もあります。たとえば、
「そこを右に行くと駅です」
という言葉はどうでしょう?何も感じませんよね。駅の位置を確認しただけで、それ以上でもそれ以下でもないです。
極まれに「え?マジで??右に行くと駅なの??めっちゃテンション上がるんですけど〜!!ゾクゾクする〜!!」という駅に病的な興奮を覚える人がいるかもしれませんが(笑)
なので、必ずしも「言葉」だからといって何かを感じるわけではありません。
こういった「感じる言葉®」の宝庫ともいえる文章が、「歌詞」です。阿久悠さんが作詞した沢田研二さんのこの曲を題材にしてみましょう。
壊れたピアノで 想い出の歌
片手で弾いては ため息ついた
時の過ぎゆくままに この身を任せ
男と女 漂いながら
落ちてゆくのも 幸せだよと
ふたり冷たい 体合わせる
(沢田研二 時の過ぎゆくままに 1975年)
沢田研二さんの「時の過ぎゆくままに」という曲です。「古いな!」と感じられるかもしれませんが、私がこの世代だったからこの曲を例に挙げたわけではないですよ(ちなみにこの曲が出たときは私も生まれてません)。
とても優れた曲だと感じるので例に挙げたわけですが、この一節だけをとっても感じる言葉の宝庫ではないでしょうか?
「壊れたピアノ」は、壊れていることで、切なさ、やるせなさなどの情緒を「感じ」ます。
これが「グランドピアノで~♪」だったらビミョーです。「壊れたスマホで」だとしてもスマホのイメージに切なさがないのであまり「感じない」ですよね。「画面がバキバキなのかな?」と思ってしまいます。
「ピアノ」だからいいし、「壊れている」からいい。「壊れている」と「ピアノ」の組み合わせが秀逸なわけで、
- グランド × ピアノ
- 壊れた × スマホ
どちらでも、「切なさ」や「やるせなさ」は出せないわけです。
「片手で弾いては」の部分だって、片手で弾く画(え)が歌詞の文脈、曲調と相まって、寂しさとか切なさとかやるせなさとか、何ならひとつの単語では表せないシーンや心情を感じさせるわけです。
「両手で弾いては」だったら「それ普通の弾き方やん」ということで、わざわざ言う必要すらない(笑)。つまりそれだけ「片手で弾いては」に情報が詰まっているということです。
「男と女 漂いながら」
はどうでしょう?別に漂流しているわけでもプールにいるわけでもない、そんな画(え)は浮かばないと思います。これは男女の「心情の揺れ」を「漂いながら」と表現していると「感じる」ことができますよね。
つづいて、別の曲から。こちらの2つの比較はどうでしょう?
- 電話しようとしたけどためらってやめた
- ダイヤル回して手を止めた
この2つだったらどちらがより「感じ」ますか?つまり、情緒を感じたり画(え)が浮かんできますか?私は圧倒的に後者です。
またまた古い例で恐縮ですが、後者は小林明子の「恋に落ちて(1985年)」という曲の一節です。
なんとなくシーンは夜で、公衆電話ボックス(若い人、知ってますかね?)で、ひとりさみしげな女性がたたずんでいる画(え)が浮かびませんか?女性が歌っているというのもありますが、やはりこの歌詞からも「女性」を感じます。
今の若い方だと「ダイヤルって何?」って感じなんですかね?「スマホの電話ボタン押そうと思って手を止めた」になるんですかね(笑)。「LINEを打ってて手を止めた」とか。。。
今の子たちはダイヤル回して手を止めるよりも、「会いたくて震える(西野カナ)」感じなんですかね?私は「会いたくて震える」と言われたらちょっと恐怖を「感じ」ますけどね(笑)。「震える」ってこえーよ。
●ビジネスにおける機会損失 ー言葉を大切にしない会社ー
ここで重要なポイントがあります。
たとえば、壊れたピアノを片手で弾いたからといって、切ないことややるせないことがあったとは限りません。ダイヤル回して手を止めたからといって、恋しいとは限りません。会いたいからといって震えるとは限りません(爆)。
最後のはいいとして、「切なさ、やるせなさを歌った歌です」とかの前フリがあったわけでもないし、そういう説明が歌の中に出てくるわけでもない。なのに切なさややるせなさはを感じてしまうのはなぜなのでしょう?
それは、人間には「勝手に情報を補完する」というバイアスが働くためです。私は「補完の原理」と言っています(正確にはこの言葉はないらしい)。
占い師が用いる手法に「コールドリーディング」と言われるものがあります。
ざっくり説明すると、「あなた、先月イヤなできごとがあったわね」みたいなことを占い師に言われたときに、「あ、あのことかもしれない」と人は勝手に補ってしまう傾向があり、これをうまく利用して相手を誘導するのが「コールドリーディング」です。
まあ、例のようにこんなカンタンな言葉に引っかかる人は会いたくて震えるような人しかいないと思いますが(しつこい)、これをもっと抽象度を高くして上手にやるわけです。歌詞もそうですが、感じる言葉®にはある一定の抽象度が必要です。
世界一短い小説をもう一度思い出してみましょう。
For sale: baby shoes, never worn(売ります。赤ん坊の靴。未使用。)
「お母さん」「亡くなった」などのシーンを連想させる言葉はひとことも使われていません。私たちの脳みそが勝手に補ったわけです。抽象的な表現、なのに確実にある特定の画(え)を思い浮かべさせることができる。
これをビジネスで使えたらどうなるでしょうか?
社員へのメッセージで、お客さまへのメッセージで、さまざまな場面で言葉は出てきます。言葉を使わない日は一度もないし、言葉を使わないビジネスは存在しない。なのに、みなさんあんまり言葉に気をつけたり、言葉をきちんとつくろうとしない。
これはすごい機会損失を生んでいると思うんですね。
たとえば商品のキャッチコピー。いくつかピックアップして、通常の文章と比べながら実際に見てみましょう。
- とても頑丈です
- 象が踏んでも壊れない
これは昔の筆箱のキャッチコピー。テレビCMで流れていました。どちらも「頑丈で壊れにくい」という同じことを主張したいわけですが、どちらのほうが画(え)が浮かびますか?記憶に残りますか?感じますか?
- 本格的なインドカレーのルーです
- インド人もビックリ(するくらい本格的なカレールーです)
これはどちらのほうが感じますか?後者ですよね。コミカルさ、ユーモアさも感じつつ、コピーの意味がわかります。インド人がビビるくらい、このカレーの精度は高いんだと。
- サッポロの男性向けビールです
- 男は黙ってサッポロビール
これもいうまでもなく後者のほうが感じますよね。このコピーで、キリンビール一強だったビール業界にサッポロビールが風穴を空けたと言われています。
- パートナーのトイレ後の匂いを消臭します
- 好きな人のも、におうから
これ、私がめっちゃ好きなコピーです。TOTOのオゾン脱臭ウォシュレット(トイレ)のコピーで、仲畑貴志さんという有名なコピーライターさんの作品。
キャッチコピーで「感じる」というとき、だいたいが「すごい!」とか「おいしそう」とかポジティブなものを感じさせることが多いです。
しかし、「好きな人のも、におうから」からは、私はちょっとした「気恥ずかしさ」みたいなものを感じるんですよね。なんか、同棲したばかりの男女のおトイレ事情みたいなのを赤裸々に感じさせるというか。
- 仕事で疲れていても元気が出ます
- 24時間戦えますか?
これも有名なコピー。「Regain」という栄養ドリンクのコピーですね。今なら若干コンプラに引っかかりそうですが、ときはバブル真っ盛りで働けば働くだけ儲かった時代。今の真逆です。
- 戦争反対!
- まず、総理から前線へ。
糸井重里氏のコピー。よいコピーをつくる人でした。最近の投稿で都知事選について否定的なことを言ってて(選挙行かなくていい的な)がっかりですが、作品に罪はない。よいコピー。「戦争反対!」より感じますね。
さて、経営理念や商品キャッチコピーなど、ビジネスにおいて重要な「言葉」というのはたくさんあります。それらについて、いつまでほったらかしにしますか?
言葉に強さがない残念な会社のままでいいですか?伝えたいことは本当に伝えたい人に届いていますか?
最近、理念作成の重要性をご理解いただくお客さまが多く、ご依頼が増えていますが、まだまだ足りない。もっともっと多くの企業と経営者が、「自社を表す言葉と画(え)」に真剣に取り組んでほしいなと思います。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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