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2024年02月02日 メールマガジン 法則・ノウハウ 経営 【第706回】中小企業は「正しい」問題解決の方法を知らないと死亡率が上がります

2月に入りました。早くも2024年が1ヶ月経過。今年も残すところあと330日(くらい)。

そういえば、今年はうるう年なんですね。私たちの仕事は比較的現金商売に近いような形でやらせていただいております。なので、営業日数が売上を左右します。

例年2月は営業日数が少ないので、今年は1日でも多いのはありがたいですね。

さて、今週のコロコロニュース。

古舘さんの動画で緊急事態条項の危険性を解説

「まともなほう」のノーベル賞受賞者も「ウソ」だってさ

「医者」と呼ばれる人なら読む責任があるでしょ

特に最後のニュースは、「お注射は危険!」という人間を「反ワク」とレッテルを貼り、日当で何十万ももらってお注射してきた医者は絶対に読んでください。はっきり言って「過失致死」どころか「未必の故意」です。そういうヤツは逮捕されてくれよ。

そういえば年末に昔のバンドのメンバーと忘年会やったんですよね。そのバンドは私以外みんなお注射済み。

私は2020年の忘年会のときから、つまりお注射が出る前から「このコ□ナ騒動はワク◯ソを打たせるためのものだから、気をつけろ!」とめっちゃ警鐘を鳴らしたのに、2021年の忘年会では私は陰謀論者扱いされました。2022年の忘年会も。

ところがですね、ベーシストが私の情報だけでなく某省庁に勤めている大学の同級生からも似たようなお注射情報を聞き、2023年になって急に不安になったようなんです。

ベーシストは3回済みで、うち2回は酷い副反応が出たそう。言われましたよ、昨年の忘年会で。「なんでもっと真剣に止めてくれなかったんだ!」ですって(笑)。

おそらく私や同級生の話だけでなく、Twitter(現X)も見るようになったんじゃないかな(私の助言だけど)。とりあえず毎日納豆食えと言ったら、「納豆は好きでもともと毎日食べている」とのこと。

ちなみにボーカルのやつは「mRNAは最高の技術だよ」とかアホな洗脳されたことを言っていましたが、何回打ったか聞いたら「2回」ですって。8回打てや!(笑)

で、ぜひみなさんTwitter(現X)を見てください。今、日本の中で「もっともマシ」なメディアです。テレビの100倍マシ。

今時点のトレンド(Twitter上で話題が多い言葉)も結構面白い。

さて、本日のお話。

昔、経営者の先輩が言っていたことで印象的だった言葉があります。それは、

  • 「大企業より中小企業のほうが優秀。なぜなら、中小企業はいつでもちょっとしたミスや事故で死んでしまうという状況で経営されているから(気合が違う)」

というものでした。いつも「死と隣り合わせ」。「大企業より中小企業のほうが優秀」かは置いておいて、言わんとしていることは妙な納得感があるというか、言い得て妙です。

中小企業の経営陣って、これは私たちもそうだし他の先輩や後輩経営者に聞いてもそうなのですが、

  • いつも問題解決している感じ

じゃないですか?そしてその問題には怒りや不満、不安というネガティブな感情がつきまとうじゃないですか。

それでも向き合わないと「死んでしまう」からがんばるわけですよね。そんなのの繰り返し。疲れて会社を売ってリタイアする経営者がいるのも気持ちはわかります。

で、問題解決だらけの状況で「正しい問題解決の手法」というものを知らないと、死亡率が上がってしまいます。

本日は、デザインやブランディングのお話とはちょっと違いますが、問題解決のお話をしたいと思います。

「グロービスマネージメントスクール」をご存知でしょうか。

簡単に言えばビジネススクールなのですが、日本ではじめてMBAを取得できるスクールでした。今は他にも大前研一さんの学校とかで取れるようです(さらに他にもあるみたい)。

私は15年くらい前にここで問題解決の手法を学びました。というと、「なんだか難しい鼻につきそうな話か??」と感じられるかもしれませんが、ちょっとしか鼻につきません(笑)。

ここでは「クリティカルシンキング」という講座を受講したのですが、その中で個人的に一番衝撃を受けたのが「問題解決には順番がある」ということを学んだ時でした。

なお、今からお話することは、なるべくわかりやすく、伝わることを意識して噛み砕いてお話したいと思っています。ただ、ですね。。。

私が講義を受けた先生が特別なのかもしれませんが、この講義は2週間の間に予習復習で20時間かけるように言われます(3ヶ月間のコースで、2週間に1回、全6回の講義)。

しかも、講義がない週でも受講生は集まり、みんなで自習していましたので、実質毎回20時間以上勉強している。

私は通っていた期間は本業はほぼスタッフに任せっぱなしでした(汗)。大企業からきた受講生は昼は本業、夜寝ずに課題をやっていたので本当に尊敬でした。

つまり何が言いたいかというと、そんなお話をすんごい噛み砕いて話すことになるので、網羅しきれない部分があったらゴメンナサイ、ということです(汗)。

 

●問題解決で最初に着手すること

問題解決で最初に着手すること、それは「Issue(イシュー)」を設定することです。

「Issue(イシュー)」とは、簡単に言えば「問題」「争点」「論点」です。まさに私が通っていたグロービスのサイトで以下のように解説されています。

イシューとは、一般的な用語としては「論点」「課題」「問題」などと訳されることが多いが、「クリティカル・シンキング」においては、論理を構造化する際に、その場で「何を考え、論じるべきか」を指す。 「イシューを特定する」とは、「何を考えるべきか」「受け手の関心は何か」を熟考し、「考え、論じる目的」を押さえることを指す。

考えるための出発点というのでしょうか。

簡単なように感じますが、けっこうデリケートだと思っています。

この設定を間違えると、そのあとでやることをほとんど間違えることになるからです。

たとえば、以下の2つのイシューは、言葉は似ていても異なるものと捉えなければなりません。

  • 売上が上がらないのはなぜか?
  • 売上が下がったのはなぜか?

ちょっとした日本語の違いです。しかし、ちょっと違いが大違い。

まず、「売上が上がらない」はこの場合は「目標に達成しない」とか「赤字を脱出できるレベルの売上をつくれない」という意味になります。

対して、「売上が下がった」は「以前と比べて下がった」という意味になります。

このあとで出てくる「where」の特定では数字を使用しますが、上記の2つでは比べるべき数字が変わってきてしまいます。

なので、イシューの設定は正しい言葉で行わないといけません。

どんなことでもそうですが、スタートが肝心ですね。

 

●問題解決で2番目に着手すること

問題解決で次に着手することは「where」を特定することです。

つまり、どこに問題を生み出した「結果」があるのかを探す、ということです。

例えば、売上が芳しくないお店があったときに、売上が芳しくないという「結果」を引き起こした要因がどこにあるかを「数字を使用して」探ります。

  • お店の前の通行人が少ないのか?
  • 通行人が来店者になる確率が低いのか?
  • 来店したお客さまが使うお金(客単価)が低いのか?
  • 一度来たお客さまがリピーターにならないのか?
  • その他

などなど、売上を停滞させているのはどの「結果」の中に「要因」がありそうかを探すんですね。

その際、ロジックツリーというものを使って、問題を分解していきます。以下のような図です。

この画像はこちらのページから引用させていただきました。ロジックツリーを理解するのにわかりやすいページかと思います。

例えば、「売上が低い」を分解しロジックツリーにすると、大雑把ですが

  • 客数が少ない
  • 客単価が低い
  • リピート数が少ない

というロジックツリーをつくれます。

ここに実際の数字を当てはめていきます。たとえば「前期と比べて売上が落ちた」などであれば、前期と今期を比較してどこが(where)下がったかを分解して探せばいいのでカンタンです。

「カンタンです」と言いましたが、この例に関わらずどのくらい分解したかはとても重要です。「分ければ解る」とはよく言ったもので、徹底的に分解してみないと、「where」は見つかりません。

というか、見つかった気になってしまいますが、まだまだ解像度が甘い(深く掘りきれていない)場合が多い。

たとえば「経費が重すぎる」という状況があったところで、経費のひとつひとつを見ていった結果、「広告費」に問題があることが分かりました。

しかし、「じゃあ広告費を下げよう!」と単純に考えてしまうのは、「分解が足りない」ということになります。

広告費の中でも、たとえば以下のように

  • テレビ広告
     ┗A代理店
     ┗B代理店
     ┗C代理店
  • ラジオ広告
     ┗A代理店
     ┗B代理店
     ┗C代理店
  • 新聞広告
     ┗◯◯新聞
     ┗△△新聞
     ┗□□新聞
  • ネット広告
     ┗グーグル
     ┗ヤフー
     ┗Facebook
     ┗インスタグラム

などなど、徹底的に分解してそれぞれの数字を出し、効果を検証していきます。

ちなみにネット広告はここから「キャンペーン」という単位にさらに分解できたりします。

このwhereの特定というのはとてもとても大切で、大企業ともなればさまざまな数値を引っ張り出してきて徹底的に分解してwhereを探します。

 

●問題解決で3番目に着手すること

どの要因の「結果」に原因がありそうか(前述の例で言えば、客数の数字、客単価の数字、リピートの数字のどれが問題か)がわかったら、その結果を生み出した「理由」を探ります。

どのように探るかというと「why?(なぜ?)」を何度も繰り返します。トヨタなどでも「なぜ?を5回繰り返せ!」とよく言われていますね。

例えば先の例で

  • 通行人が来店者になる確率が低い

ということがwhereとして特定できたとします。

「なぜ通行人が来店者になる確率が低いの?」を掘り下げていくと(why)、

  • 近くにもっと良い店があるから
  • その店の中がどんなかわからないから
  • 通行人にお店の存在が認知されていないから
  • そもそもそのお店が提供しているものを必要としていないから

などなど、いろいろな「why(理由)」が想定できます。

これをどんどん掘り下げていくと

  • 近くにあるお店の方が良いと思うのはなぜ?
  • お店の中がわからないと入店しないのはなぜ?
  • 通行人に認知されていないのはなぜ?
  • そのお店の商品を必要としないのはなぜ?

などなど、次の「なぜ?」が生まれてきます。これを繰り返して行きます。

これらは複雑な因果関係で成り立っていることが多いのですが、「why?」を繰り返した結果、数ある問題(=おかしな結果)の本当の原因は1〜3つ程度に集約されることが多いと大前研一さんは言っています。

※ただし、「こうだろう」と思い込んで1〜3つに決めつけてはいけません。すべてを出してから、どのように集約されるかを検討します。

 

●問題解決で最後に着手すること

その1〜3つの原因(レバリッジポイントといいます)に対して、「how(打ち手)」を考えます。

話をわかりやすくするために、

  • 近くにあるお店の方が良いと思うのはなぜ?
  • お店の中がわからないと入店しないのはなぜ?
  • そのお店の商品を必要としないのはなぜ?

の「why?」を突き詰めた結果、

  • あなたがどんな人かわからないから入店しない

という深い原因を突き止めたとします。

そうすると、店主がどういう人間かを伝えて信頼を得るための打ち手をとることになります。例えば、

  • 店主の人間性がわかるようなチラシをつくってまく
  • 近隣の活動に積極的に参加して知り合いを作る、信用を得る
  • 地元のテレビなどに出て人間性をアピールする
  • 近隣に顔が利く人を店員としてスカウトする

などなど、いろいろな方法が思いつきます。

あとは、

  • 効果
  • コスト
  • スピード
  • リスク(それをやることの副作用)

などを考慮して、打ち手に優先順位をつけます。

優先順位をつけておけば、最初の打ち手が万が一失敗しても次の打ち手にすぐに移れます。

これは表にするとわかりやすいです。例をお見せします。

こんな感じです。得点付けはしてもしなくてもいいですが、すると優先順位がはっきりしますね。

 

●もしこの手法を用いずに問題解決しようとすると・・・

もしこの手法を用いずに問題を解決しようとすると、解決できるまでとても多くのことを試さなければならなくなります。

例えば、

  • 通行人が来店者になる確率が低い

ことが問題の「where」なのに、

「通行人が少ないからいけないんだ!」
「通行人に認知されていないんだ!」
「商品の価格が高いんだ!デフレだから安くしよう!」

などと決め打ちすると、

  • 通行人が多いところに引越し
  • 近隣に認知してもらうために看板を目立つように作り替える
  • 値下げする

などとなってしまい、十分な効果を得られません(逆効果のことすらあります)。

そして、成功するまで(ヤマカンが当たるまで)こういったことを繰り返さなければならなくなります。中小企業の多くは、成功するまでに体力がなくなります。つまり、死にます。

クリティカルシンキングでは、「答えを急いではいけない」と教わります。「急ぐ」ということは「答えありき」「答えを決めつけている」ということなんですね。

正しい問題設定(Issue)をせず、深い分解(where)をせず、因果関係(why)を深く考えず、打ち手(how)を考える、これがどんなに危険な行為かおわかりいただけたでしょうか?

もちろん、ここまでやっても原因を特定できない、打ち手を決めきれないことはあります。

その時は私は直感に従います。

しかし、ここまでやらずに「直感だ」といって原因や打ち手を決めてはいけません。それは「直感」ではなく「思い込み」です。

元サッカー日本代表の岡田監督(おかちゃん)も以前講演で語っていました。

「最後は直感だ、でも、徹底的に考え抜いて考え抜いて、考え抜いた先に出てくる直感しか信じない」

といったようなことを。。。そういうことなんですよね。サボっちゃダメなんです。サボったら会社は死にますよ。

「グロービスマネージメントスクール」とか「クリティカルシンキング」なんていうと、どうしてもたいそうな、鼻につきそうな堅いイメージがあります。大企業のエリートが通うんでしょ、習うんでしょ、といったように。

でも、本当にこういう「問題解決手法」が必要なのは、体力のある大企業よりも、むしろ中小企業です。

さて、かなり噛み砕いて書いたつもりですが、文章といくつかの図だけで説明するのはやはりなかなか骨が折れますね(小難しくてわけわからん!となってしまったらゴメンナサイ)。

もし興味を持たれた方は、この本(「MBA クリティカルシンキング」)を購入することをおすすめします。

表紙に「MBA」なんてデカデカと入っていて、一瞬「自分には関係ないぜ!」と感じると思います(私は感じました)。でも、中味はとてもわかりやすく書いてあり、比較的とっつきにくくありません!(たぶん)

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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