ロゴコラムLogo column
9月になりました。ビズアップは新しい期がはじまりました。創業から丸っと17年、株式会社にしてからは16年が経ちました。
早い。このままじゃあっという間に死ぬ。もっともっと早く会社を成長させたい。
丸17年ということは、生まれたての子どもが高校2年生になったということです。実際にうちの長男は会社とほぼ同い年で、今高校2年生。身長も私(176cm)を追い抜いてしまいましたし、足のサイズも追い抜かれました。先日は長男が履けなくなったナイキのスニーカーをお下がりでもらったくらいです。
子どもが成長しているんだから、会社ももっと成長しないとと感じさせられます。
ここで、弊社のロゴチームマネージャー板橋が作成したポスターをご覧ください。弊社のロゴディレクター陣のポスターです。こういうことができるのも、デザイン会社ならではです。クオリティ高いな(笑)。
というわけで、18年目のビズアップを今後ともよろしくお願いします。
さて、コロコロニュース。
ちなみに「戦争反対」っていうと左翼だと思われがちですが、これはれっきとした印象操作です。私はどちらかというと自分のことを中道右派くらいだと思ってますし(というか右でも左でもなく「上」でいたい)。
今、汚染水だか処理水だかの問題でいろいろ言われてますね。中国が日本の海産物を輸入禁止にしたことについて、「中国のほうが放射能ばらまいとるやんけ!」みたいな。
はっきりいって、どっちのほうがばらまいているかなんてどうでもいい。バカが「あいつのほうがバカだ!」と言っているのと同じレベル。どっちもだめだろ。
そもそも、ワクワクする注射を「安全です!」とか「打って打って打ちまくれ!」とか言っていたやつらが「汚染水じゃなくて処理水です!安全です!」とか言って何の信頼性があるのでしょう?
あ、ちなみに私は原発反対派ではないです。原子力というのは必要な技術だと思っています。
「Winny」の問題もそうでしたが、結局「技術」が悪いのではなく「それを使う人間」が悪いだけです。「技術」が悪ならば、人間は包丁を開発してはいけなかったはず。
さてさて、日本人が中国人や韓国人と仲が悪くなることで得するヤツらは誰でしょうね?そういう視点でみないと本質は見えないと思う。
というか、もはや「国」という枠で見ると物事を見失い、その先は一般市民がお互いに殺し合う世界が待っているだけでしょう。国という枠を超えて、一般市民同士は団結しないと。
今「敵」だと思わされているものは「本当の敵」ではないということですね。
では本日のお話です。本日は「言葉」についてお話したいと思います。
●「言葉=考える」、「画(え)=感じる」は本当か?
クリエイティブはデザインだけでは成立しません。言葉も重要です。たとえばネーミングもそうだし、キャッチコピーやセールスコピーなどもそう。
これを私はこのコラムで「言葉と画(え)」と表現しています。
たとえば、次の写真を見てください。
はい、りんごです。これを見ただけでは、「りんごですよね?で、何?」となりますね。
これに次のような言葉がついたらどうでしょう?
- とっても甘〜い
- 特売品!
- おひとり様3個まで
どの言葉がついても、あることがわかります。それは、「このりんごは売り物だ」ということです。りんごの写真だけでは売っているかどうかまではわかりませんが、言葉がつくと、「なぜりんごの写真を見せるのか」がすぐにわかるわけです。
人間の理解は
- 心像的記憶システム:主に色や形に反応
- 概念的記憶システム:主に言葉に反応
の2つを使って行われると言われています。この2つが相互に働くことによって、より理解が進んだり記憶に残ったりするというわけです。
なので、画(え)だけでなく言葉も大切というわけです。
ところで、「言葉と画(え)」といったときに次のように感じませんか?
- 言 葉=考える
- 画(え)=感じる
さて、これは本当でしょうか?つまり、「感じる言葉」や「考える画(え)」というものは存在しないのでしょうか?
たとえば、以下の文章を読んで何かを感じませんか?
- 壊れたピアノで 想い出の歌 片手で弾いては ため息ついた
沢田研二さんの「時の過ぎゆくままに」という曲です。1975年の歌なので私も生まれてませんが、名曲ですね。
この一節を読んで、何かを「考え」ましたか?どちらかというと「感じた」のではないでしょうか。
たとえば「寂しげだな」とか。でも、この一文に「寂しいです」という説明は当然ながら一切ないです。寂しいとは一言も言っていないのに寂しげだとわかるということは、「感じた」ということです。
ちなみに、「壊れたピアノ」とありますが、壊れていることで情緒を「感じ」ますよね。これが「グランドピアノで〜♪」だったらはかない情緒のほうが壊れますよね(笑)
「壊れたスマホで」だとしても、スマホのイメージに切なさがないのであまり「感じない」ですよね。「画面がバキバキなのかな?」と思ってしまいます。
「片手で弾いては」だって、両手でなく片手というところがポイントです。「両手で弾いては」だと、ただの演奏だと感じます。
このように、実際には「言葉で感じる」ということはたくさんあります。「壊れたピアノ」、「片手で弾いては」、「ため息ついた」にはそれだけ多くの情報が詰まっているということです。
●「言葉と画(え)」のマトリックス
ちょっとこれをマトリックスにまとめてみました。以下のようになると思われます。
まず、イメージしやすいのが「考える言葉」と「感じる画(え)」ですね。これは普通に考えるとわかると思います。
「そこの角を右に曲がると駅です」は、感じるのではなく考えて理解しています。
まれに、「え?マジで?右に曲がると駅なの?超興奮するんですけど〜!」という変わった人もいるかもしれませんが、普通の人の感覚ではこれは説明文なので何も感じません(笑)。なのでこれは「考える言葉」。
「感じる画(え)」は、これもこのコラムではよくお話していますが、人は見たものから何かを感じることを拒否することはできません(デザインの無拒否性©)。
太っていて歯が黄ばんでいてズボンがずり落ちているおじさんがいたら「近づきたくない」と感じますし、無造作にゴミ箱に放り込まれた料理を見たら、たとえそれが一流シェフがつくった料理でも「残飯だ」とか「食べられない」と感じてしまいます。
で、「考える画(え)」というものがあるかというと、マトリックスにあるとおりその代表格が「現代アート」かな、と私は考えます。一見何の意味があるのかわからない、わからないから「何だろう?」と考えるわけですから。
以前現代アートのギャラリーをやられている方の話をお聞きしましたが、現代アートは「問題提起」をするものだと聞きました。まさに「考える」ですよね。
他にもマトリックスに載せ忘れましたが、「図」なども「考える画(え)」ですね。たとえば「路線図」とか。家具の「組立図」とかもそうでしょう。もちろんこれも、「家具の組立図」に異常に興奮する人がいないとも限らないですけどね(笑)。
で、今回のテーマでもある「感じる言葉®」。「®」とつけたとおり、実はこの「感じる言葉」はビズアップで商標とをっています。
「感じる言葉®」は先ほどの沢田研二さんの曲のように「歌詞」が代表的なものかもしれません。いや、「歌」の「詞」でなくてもいいですね。たとえば「詩」とかも「感じる言葉®」ですよね。「咳をしてもひとり」とか(さっきから寂しげな例ばかり挙げてるな笑)。
そして、マトリックスにあるように「コンセント」や「キャッチコピー」も「感じる言葉®」です。
●有名な「感じる」キャッチコピーの事例
ちょっと有名なキャッチコピーを挙げてみましょう。
- やめられない止まらない(カルビーかっぱえびせん)
- 男は黙ってサッポロビール(サッポロビール)
- プール、冷えてます(としまえん)
- まず、総理から前線へ。(糸井重里)
- ファイト一発!(リポビタンD)
- きれいなお姉さんは、好きですか?(パナソニック)
- 象が踏んでも壊れない(アーム筆入れ)
- インド人もビックリ(ヱスビー印度カレー)
- 好きな人のも、におうから(TOTO)
キャッチコピーの名作はいろいろありますが、今回はより「感じる」にフォーカスして集めてみました。どれも有名ですよね。
かっぱえびせんを食べたことがある人であれば、あの「ついつい食べちゃう感」を知っていると思います。それをよく表したのが「やめられない止まらない」ですね。
「男は黙ってサッポロビール」は、今の時代だといまいちピンと来ないかもしれませんが、私の師匠の故伊吹卓先生に昔お聞きした話では、このコピーによりキリンビール一強だったビール業界に相当な風穴を開けたということらしいです。
「多様性」の時代に「男」がどうのこうのというのは、今の時代っぽくないのでしょうけれど、当時は三船敏郎さんがめっちゃかっこよかったらしいですね。
ちなみに余談ですが、かっこいい男の定義は、1986年の段階(私、10歳でした)でまだこれでした(笑)。そして今、私は当時の千葉真一と同い年です。。。
「プール、冷えてます」は、夏の暑い日に今すぐ飛び込みたいと感じさせますし、「まず、総理から前線へ。」も「そうだそうだ!」と感じる人が多いでしょう。
「ファイト一発!」は、よくわからないけど気合が入ると「感じ」ますよね。感じる人が多いからいまだにこのコピーが使われているのでしょう(テレビを見ないのでわからないですが、まだ使われてますよね?)。
「きれいなお姉さんは、好きですか?」は、何も考えずに元気に「はい!」と返事してしまいますよね(私だけ?)。このコピー、女性はどう感じるのかを聞いてみたい。
「象が踏んでも壊れない」は、「頑丈だ」ということが理解できるだけでなく、「すげー!!!」と感じてしまいます。「インド人もビックリ」は、「本格的なインドカレーのルーだ」と感じるというよりもコミカルさを「感じ」ますよね。
そして私が大好きなコピーが「好きな人のも、におうから」です。仲畑貴志さんという有名なコピーライターさんの作品です。
実は同じTOTOのウォシュレットトイレのコピーで「おしりだって、洗ってほしい(1982年のコピー)」のほうがどうやら有名のようですが、私は「好きな人のも、におうから」のほうが圧倒的に記憶に残っています。
キャッチコピーで「感じる」というとき、だいたいが「すごい!」とか「おいしそう」とかポジティブなものを感じさせることが多いです。
しかし、「好きな人のも、におうから」からは、私はちょっとした「気恥ずかしさ」みたいなものを感じるんですよね。なんか、同棲したばかりの男女のおトイレ事情みたいなのを赤裸々に感じさせるというか。
ちなみにこのコピーは1990年代のコピーだと思われます。TOTOが出した「オゾン脱臭ウォシュレット」のCMだったはず。
●「感じる」と「考える」は対義語ではない?
さて、「感じる」と「考える」はややもすれば「対義語」のように感じるかもしれません。「感じる」の反対語が「考える」のように。
でもこれは本当でしょうか?
たとえば、以下のキャッチコピーを見てどう感じますか?
- 地図に残る仕事(大成建設)
このコピー、私、大好きです。でも前述したコピーのように、瞬時に何かを感じるというよりも、「一瞬考える間」がありませんか?
- 地図に残る仕事?(考える)
- そうか!建設会社だからか!(考える)
- いやー、おれもそういう何かに残る仕事がしたい!(感じる)
こんな流れがあると思うんですよね。
つまり、「感じる」と「考える」は反対語ではないわけです。「考える」とは、何かを「感じる」までのプロセスであり、そのプロセスが短ければ短いほど「感じやすい」となるわけですね。
ビジネスにおいては、この「感じさせるまでの時間(考える)」は短ければ短いほど有利と言えます。
たとえば、夕方の忙しい時間帯にスーパーで買い物をする主婦は、ひとつの売り場に数秒から数十秒しかいません。なので、「感じさせるまでの時間(考える)」をたくさん取りたくないわけです。
交通広告を考えましょう。駅の壁に貼ってあるポスターなど。歩きながらこれを見るとしたら、通り過ぎるのは1秒もないかもしれません。その間に「感じ」させないといけない。
テレビCMであれば15秒程度で何かを感じさせないといけないでしょうし、雑誌広告であれば、読者が本当に見たいのは広告ではないので、すぐ飛ばされてしまいそうなその瞬間に何かを感じさせないといけません。
「感じる」と「考える」は反対語ではなく、「考える」は「感じるまでの時間」だということ、そしてビジネスシーンでは「感じるまでの時間」が短いほうが有利だ、この章はまとめるとこんなお話でした。
御社ではどんなプロモーションを行っていますか?それは「感じさせる」ということをどのくらい考えてつくられていますか?
今回はここまでです!
投稿者プロフィール
-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
最新の投稿
カテゴリ一覧
関連記事
ご依頼・ご相談・
各種お問い合わせは
こちらです
インターネットの手軽さを最大限に活用しつつ、インターネットのデメリットである「顔が見えない・声が聞こえないやり取り」を極力排除した「出会いはデジタル、やり取りはアナログ」が私たちの目指すサービスです。ご依頼やお問い合わせは以下のフォーム、またはお電話で可能です。
-
フォームからのご依頼・
お問い合わせ24時間受付中