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2023年06月23日 デザイン ブランディング メールマガジン 【第677回】「付加価値」って何かわかりますか?具体例をいくつかご紹介

なんだかまた円安がジリジリと来ていますね。今日はざっくり1ドル143円。

それに対して日経平均は今日でこそ500円以上落としていますが(前場)、ここ最近異常な上がり具合を見せていました。自国の通貨の価値が下がっているのに株価が上がるって、なんだか気持ち悪くないですか?

もちろん輸出で儲けている大企業があるので、というのはわかるのですが、不穏さを感じてしまうのは私だけでしょうか。気持ち悪いなぁ。

というわけでコロコロニュース。もはやコ□ナ関係なくなってきていますが、2つほど。

 You Tubeに飛びます

これ、タイムリーな話で、うちの小2のムスメが昨日、学校でトマトときゅうりをつくってみんなで食べるとか話していてゾッとしました。本当に子どもが狙われてますよ。

あのエリザベスさんの動画

国会成立1週間で施行という、異例の早さ。なぜそんなに急ぐ必要があるのか、一般市民からしたら理由がないです。これも子どもたちが狙われるので戦々恐々としています。

女性のみなさんもいいんですか?「自称:女」がガンガン女子トイレに入ってきますよ?公衆トイレとか施設のトイレとか怖くて使えなくなりますよ?アメリカではそれで事件が何件も起きています。

日本は(というか西側諸国のほとんどは)、伝統とモラルの破壊を仕掛けられています。移民政策も伝統の破壊とモラルの低下を狙っていると考えています。

混乱を起こせば、犯罪が増えれば、市民が取り締まりを求めます。これにより、警察などの権力が堂々と強権化できるというわけです。監視社会にも持っていきやすい。

以前から言っていますが、人間というのは、本当は選ばされているのに「自分で選んだと思っている」状態が一番騙されます。手品とかもそうですよね。

これを防ぐのに本当に必要なのは、私は冗談でもなんでもなく「ご近所づきあい」だと考えています。

日本は伝統的に「子どもはその地区の人みんなで育てるもの」という風習が、私が小さいころまではありました。近所の人はみんな顔なじみの状態。だからその近隣に見かけない変な人がいるとすぐにみんな気づきます。監視カメラなんていらなかった。

困ったことや手伝ってほしいこともお互い様というふうにみんなが考えていて、「私だけ損している」とか言い出す人は少なかったはずです。

権力の力など借りなくても、みんなが協力して困りごとや危険を解消していた良い時代でした。

今ではマンションの隣の部屋の人とも挨拶しないような時代になってしまいました。これは残念であるとともに、とても危険なことだと私は考えます。

ご近所づきあい、見直してみませんか?

さて、本日のお話。

本日は「付加価値」というものについて考えてみたいと思います。

ビジネスにおいてはよく「付加価値をつけろ!」などと言われますが、この「付加価値」とはいったいどういうものなのでしょうか?また、なぜ必要なのでしょうか?

 

●「付加価値」を具体的に説明できますか?

「付加価値」とはいったい何でしょうか?

私はこういう考察をする場合は、いつもまず辞書を見ます。goo辞書にはこうあります。

ふか‐かち【付加価値】 の解説
1 生産過程で新たに加えられた価値。一定期間の総生産額から原材料費・燃料費などと減価償却費を差し引いたもので、人件費・利子・利潤の合計になる。
2 ある商品やサービスなどに付け加えられた、他にはない独自の価値。「―を付けて売る」

どうやら「付加価値」には2種類あるようですね。

1のほうはちょっとむずかしいことを言っている感じですが、これは「労働によって付与された価値」と言い換えられるようです。

つまり、材料など外部から購入した価値に、労働によってどれだけ価値を上乗せしているか、という話です。これは計算によって求めることが可能で、控除法(中小企業庁方式)や加算法(日銀方式)という計算方法があるらしいです。あまり馴染みがないですね。

私たちが「付加価値」と言ったときは、だいたいが2の意味になるのではないでしょうか?

では、2にある「他にはない独自の価値」って何でしょうか?ここの抽象的な表現を解像度を上げて具体的にわかるようにしないと応用が効きません。

付加価値を考える上で、では「付加のない価値」って何なんだ?ということを考えてみたいと思います。

「付加のない価値」というのは、「機能そのもの」を指すと考えられます。「機能そのもの」とは何か。

これは「カバン」を例に考えてみましょう。「カバン」の機能は、さらに「カバンが存在しない状況」を考えてみるとわかりやすいです。通勤のとき、もしもカバンがなければどうなるでしょう?書類や本、財布などをバラバラの状態で両手に抱えなければなりません。ポケットを使うのもいいですが限界があるでしょう。女性はさらに化粧品などもあります。

こう考えると、カバンの「機能そのもの」は「ものを1ヶ所にまとめてしまって楽に運べる」というものだと考えられます。

そしてこれが「付加のない価値」なわけですから、それ以外の価値は「付加価値」となります。たとえば「デザインがよい」とか、「良い皮を使っている」とか、もしかしたら「スリーブやポケットがたくさんある」なども機能的ではありますが実は付加価値かもしれません。

つまり「付加価値」とは、「機能そのもの」以外の価値、ということになります。

ただ、注意点があります。「付加価値だと思っていたものが機能そのものに変化している」というケースがあるのです。

たとえば、電話の機能は「離れたところでも会話ができる」です。これに「持ち運べる」という付加価値がついたのが携帯電話でした。

ところが、今はどうでしょう。家の電話はほとんどの家庭でなくなってしまいました。さらにはスマホの登場で、通話だけではなくインターネットができるという状態はもはや多くの人にとって付加価値ではなく当たり前の価値となってしまいました(使わない余計な「付加価値」もまだまだありますが)。

このように「付加価値」がいつのまにか「機能そのもの」に昇華してしまうというケースがあるので注意が必要です。

「付加価値」が「機能そのもの」に昇華してしまったかどうかを知るには、「もとに戻れるかどうか」を考えるとわかりやすいでしょう。

現代では、もはや多くの人が「洗濯板」には戻れないし、「ほうきとちりとり」にも戻れないでしょう。

しかし、洗濯機のプリミティブな「機能そのもの」は、洗濯板と同じで「衣類をキレイに洗う」だったはずです。これに「自動で」という「付加価値」がついたのが「洗濯機」だったわけです。

これがいつのまにか昇華して「自動で衣類をキレイに洗う」が「機能そのもの」になったと。

前述の「スマホ」も、もはやただの携帯電話(ガラケー)には戻れない人が多いでしょうし、ましてや携帯電話なしの家電(いえでん)のみで生きていくのは現代社会ではなかなかにハードルが高いでしょう。つまり元には戻れない=昇華したということ。

だから、今ではニーズ商品といって差し支えのない洗濯機や掃除機は、ではじめたとき(モノの時代)は実はウォンツ商品だったはずです。

スマホもそうです。ではじめたころのiPhoneは必要だったからではなく「かっこよかったから(付加価値)」買われていたことからもわかりますね。

このことから、以下のことも言えそうです。

  • ニーズ商品:機能そのもの(付加のない価値)を売っている
  • ウォンツ商品:付加価値がついた状態で売っている

 

●付加価値にはどんなものがあるか?

では、「付加価値」にはどんなものがあるのでしょうか?考えてみましょう。

わかりやすいところでいけば、「デザイン」。

このコラムで何度も登場していますが、モノ、デザイン、色の3つの時代の「モノの時代」では、洗濯板でゴシゴシしなくても洗える機械や、食べ物を腐らせずに保存できる箱がなかったため、デザインが施されていなくても飛ぶように売れました。

商品が市場に普及し競合商品が登場すると、差別化の必要が出てきます。差別化は、ほとんどが「デザイン」で行われました。

そうです。デザインの役割のひとつ(しかも大きなひとつ)は、「付加価値をつける」ということなのです。

また「デザインの時代」は「付加価値の時代」と言い換えることもできます。デザインだけでなく「使うかわからないけどなんとなく便利そうな機能」をつけるのも、デザインの時代が付加価値をつけることで差別化する時代だったためです。

つづいて、「特典をつける」も代表的な付加価値のひとつではないでしょうか。包丁を買うとまな板がついてくるとか、肘サポーターを1セット買うともう1セットついてくるとか(それはそもそも2つでその値段ちゃうんかといつも突っ込みたくなる)。

「機能そのもの」だけでは足りないと思われないように、おまけをつけているわけですね。CDを買うとアイドルと握手できるのもまったく同じ構図です。

「無料提案」などのマーケティング用語で「オファー」と呼ばれるものも付加価値と言って良さそうです。

「アフターサービス」も付加価値ですね。商品の機能ではなく、故障したときのサービスですからね。

変わったところだと「スタッフの対応がいい」も「付加価値」と言って良さそうです。

たとえば旅行代理店のお仕事で考えてみましょう。「機能そのもの」は「お客さまの要望の旅行プランを考える」ですから、ぶっちゃけていえば態度や対応が悪くても納品されるプランに問題がなければよいということになります。なので、本来的には「スタッフの対応がいい」も付加価値のはず。

ただ、現代社会では「対応がいい」は業種にもよりますがもはや「機能そのもの」かもしれませんね。

「ネームバリュー」も付加価値の代表格でしょう。たとえば有名なデザイナーがデザインした◯◯とか、有名パティシエが考案したスイーツとか。「芸能人がプロデュースした◯◯」とかもネームバリューという付加価値をつけるための作戦ですね。

そして「ブランド」も付加価値の代表でしょう。カバンの「機能そのもの」がほしければルイヴィトンでなくてもいいわけですから。

「付加価値」は他にもまだたくさんあると思います。

で、「付加価値」ばかりに気を取られて「機能そのもの(付加ではない価値)」が弱いパターンというのがあります。これは注意が必要です。

ラーメン屋さんを例に考えてみましょう。

店員さんの対応(という付加価値)、ものすごくいいです。内装デザインからくるお店の雰囲気(という付加価値)、とてもいいです。提供されるお水(という付加価値)、超こだわっています。ライス無料のおまけ(という付加価値)もあります。ラーメン(という機能そのもの)、すごいマズいです。

これ、最悪のパターンです。たぶん、付加価値が高すぎてお客さんも「ラーメンをもう少し美味しくしたほうがいいと思う」という本音を言えない恐れがあります(よくしてもらって申し訳なくなってしまう)。

逆に「付加価値を削ぎ落として機能そのもの(付加のない価値)を高める方法」というのもあります。

これもラーメン屋さんで考えてみましょう。

店長の愛想(という付加価値)、めちゃくちゃ悪い。提供されるお水(という付加価値)、セルフサービスの水道水。何時間も並ぶ(というマイナスの付加価値)。メニューはひとつで選べない(というマイナスの付加価値)。けどラーメン(という機能そのもの)がめちゃめちゃ美味い。

これ、バリバリの職人系店主のラーメン屋さんとかを思い浮かべてもらうとイメージしやすいと思います。もう亡くなられてしまいましたが、「ラーメンの鬼 佐野実さん」のような人です。

不思議なもので、付加価値を削ぎ落としまくると、「機能そのもの(付加のない価値)」が高まるというケースもこの例のようにあります。

「付加価値をつける必要がないほど自信があるんだろう」というように消費者に「補完の原理」が働くためです。

 

●なぜ付加価値をつけるべきなのか?ー価格と付加価値の関係ー

では、なぜ「付加価値」をつけるべきなのでしょうか?

それは、「付加価値の機能」を考えてみるとわかります。「付加価値の機能」は次の2つだと考えられます。

  • 1.商品を売りやすくする
  • 2.商品をより高い価格で売る

「1.商品を売りやすくする」は、特典(おまけ)やオファーをイメージするとわかりやすいと思います。これらがあることで、購買の背中を押してくれるというわけです。

「ネームバリュー」や「ブランド」も商品を売りやすくしてくれますが、これらはそれだけではなく、「2.商品をより高い価格で売る」という機能も持っています。

ただの化粧水よりも、美のカリスマと言われる人がプロデュースした化粧水のほうが高く売っているのはイメージがつきますよね。

男の私にはわかりませんが、IKKOさんがプロデュースした化粧品とか売れてるわけですよね?IKKOさんって落ち着いて考えたら「美容に詳しいおじさん」ですからね。どんだけって話ですよ(笑)。でも高く売れる。

つまり、付加価値というのは商品をより売りやすく、またより高い価格で売るためにつけるべき、ということになります。

そもそも価格は価値を数値化したものであるはず。ということは、付加価値がつけばつくほど高くなるのは当たり前ですよね。なので、商品を高く売りたければ付加価値をつけていくことは当然であり重要です。

なお、「価格が高い」ということ自体が「付加価値」である場合もあります。この場合、「ステータスを与える」という付加価値になります。

たとえばホテルのスイートルームを考えてみましょう。通常の部屋の何倍もする部屋です。もちろん、部屋が広いとか、ベッドが最高級とか、さまざまな付加価値がついているからその値段になるわけですが、「高いから泊まる」という理由で部屋をチョイスする人たちが一定層います。

この場合、スイートルームについている付加価値に反応しているというよりも、「お金を払える自分」や「特別扱いされる自分」というステータスを手に入れていることとなります。なので、こういう人たちは同じ部屋でも安ければ泊まりません。価格が高いことそのものが付加価値である場合もあるのです。

さて、逆に「付加価値を落として価格を下げる方法」というのもあります。先ほどのラーメン店の例に近いお話です。

代表的な例が「驚安の殿堂ドン・キホーテ」の家電です。ドン・キホーテの家電には「その程度の機能ならドンキで十分だ!」というキャッチコピーがつけれられいます。

出典はこちら

これは、使いそうもない機能や家電を長持ちさせるための部品などを使わず、つまりそういった付加価値をつけず、価格を安くするという作戦です。

この作戦は、「2.商品をより高い価格で売る」ことはできませんが、「1.商品を売りやすくする」ということにおいては付加価値をつけたときと同じかそれ以上の効果があったでしょう。

他にも「付加価値を削ぎ落として価格を下げる」ことに成功しているのが、何を隠そう私たちビズアップです。

たとえば、有名デザイナー佐藤可士和氏を例に挙げてみましょう。

彼は、一説には企業にロゴを提案する際は400案くらい考えるそうです(基本的にはアシスタントにやらせていると思われます)。そして、提案する案をそこから100案ぐらいに絞る。価格(デザイン料)はTポイントカードのロゴで4000万円と言われています。

しかし、ロゴのデザインをするサービスの「機能そのもの」を考えたとき、答えは「自社に最適なロゴを1案納品する」となります。400案あろうが、3案だろうが、納品は1案。

つまり、400案つくるというプロセスは「付加価値」だと言い換えられるわけです。

私たちは「たくさん提案する」という付加価値を削ぎ落とし、3案の提案でも満足してもらえるようにしています。そして「たくさん提案する」プロセスを削ぎ落とすことで価格をリーズナブルにし、「1.商品を売りやすくする」ことに成功しているというわけです。

さてさて、最後にちょっと補足ですが、「(付加)価値と価格」というお話でいくと、「お金の払い方」も付加価値のひとつでしょう。

たとえば「分割払いにする」などです。「1.商品を売りやすくする」ことに寄与していますね。

御社の商品にはどのような付加価値がありますか?それによって売りやすく、または高く売ることに成功していますか?ぜひ一度、御社の付加価値を見直してみてください。

 

今回はここまでです。

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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