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5月最終金曜日。プレミアムフライデーってどこに行ったんでしょうか(笑)
まあ、私はプレミアムフライデーなんかなくても毎日がスペシャル(竹内まりや)と思って過ごしております。
電車の中でもマスクを外す人が、体感的にはだいぶ増えてきました。
で、やっぱり若い人(20代や30代)が外している率が高い。若くても中高生だと外さない。そして高齢者も。
これって2つのことを物語っていると思います。
ひとつは、高齢者は今もテレビばかり見て、デタラメな報道の影響を受けているということ。もうひとつは、やはり中学生や高校生は親や先生などの影響を受けやすいということです。
自分の子どもにはマスクさせないけど自分がマスクしている人、こういう人はコ□ナが怖いんじゃなくて、まわりの目が怖いだけの勇気のない人です。もしくは自分の子どもすらどうでもいいと思っている、親失格の人。
だって、本当に凶悪なウィルスだったら、そしてマスクが本当に有効だったら、何を持ってしても子どもを守るためにマスクをさせますよね。1枚しかマスクがなければ、自分は着けずに子どもに着けさせますよね。普通の親なら。
自分しかしない、子どもにさせていない、というのはマスクの効果もたいして信用していないし、そもそもウィルスを凶悪だとも思っていない可能性が高い。だから勇気がない人。
そして、この親の姿勢が、子どもの人生にどれだけ大きな影響を与えるかの想像力もない人です。
「大人がバカ」「大人が意気地なし」だと子どもへの影響は計り知れません。大人の何気ない一言や態度というのは、その後の子どもの人生に大きな影響を与えるからです。
たとえば、よくあるのが「そんなことできるわけないよ」とか「ムリに決まってるじゃん」とかいった言葉。何の気なしに悪気なく言っていると思いますが、はっきりいって呪いの言葉です。
私なんかはちょっと変わり者で負けず嫌いでしたから、親に「そんなのムリに決まってるよ」と言われたら「ふざけんな、見返してやる!」と思うタイプでした。バンドでメジャーデビューしかけたのも、この悔しさがあったからかもしれません(まさにムリだと言われていました)。まあ、結局できませんでしたが。
しかし、多くの一般的な子どもは、「そんなのムリに決まってるよ」と大人に、特に親に言われたら、素直に「自分にはできない」と受け取ってしまいます。これらの言葉の積み重ねがチリツモとなり、その子の人生を形づくることは容易に想像ができるはず。これは恐ろしいことです。
子どものころから鎖に繋がれた象は、成長したあとに鎖を外しても、繋がれていたときと同じ範囲でしか行動しなくなると言われています。これと同じことは人間でも起こるというわけです。
逆に、私は少年サッカーチームのコーチをしていますが、コーチがかける声の質で子どもたちのパフォーマンスがいかようにも変わる様も見てきました。
だから私は、自分の子どもたちには「おまえらは今からだったら何にでもなれる」と伝えるようにしています。「そのかわりなりたいなら本気でがんばれ」と。そして、自分も戦っているんだという姿を子どもたちに見せようと努めています。
こう考えると「たかがマスクくらい、いいじゃない」なんてことは口が裂けても言えない。
勇気のない自分をマスクで隠すという行動は、その場では誰からも非難されないかもしれません。よく調べもしないで国や行政のいうことを信じて当たり障りのない人間でいることも、たしかに「いい人」かもしれません。しかし本当にそれでいいんでしょうか?
「小善は大悪に似たり。大善は非情に似たり。」
京セラの稲盛さんの言葉らしいですが、私はこの言葉が好きです。なんとなく意味がわかると思いますが、京セラフィロソフィーでは次のように解説されています。
人間関係の基本は、愛情をもって接することにあります。しかし、それは盲目の愛であったり、溺愛であってはなりません。
上司と部下の関係でも、信念もなく部下に迎合する上司は、一見愛情深いように見えますが、結果として部下をダメにしていきます。これを小善といいます。「小善は大悪に似たり」と言われますが、表面的な愛情は相手を不幸にします。逆に信念をもって厳しく指導する上司は、けむたいかもしれませんが、長い目で見れば部下を大きく成長させることになります。これが大善です。
真の愛情とは、どうあることが相手にとって本当に良いのかを厳しく見極めることなのです。
引用:仕組み経営
話がマスクやら子どもの教育やらと散らかってしまいましたが、何が言いたいかというと、今の日本人、自分にも人にも「小善」の人が多くないですか?それでいいんですか?ということです。
「本当の意味で相手のこと(自分のこと)を考えること」と「甘やかすこと」はまったく違うということです。
というわけでコロコロニュース。
ちなみにコロコロニュースはじめ書き出しだけで30分〜1時間近くかかっていることがわかりました。ちょっと時間かけすぎ。なので来週からはもっとライトにしたいと思っております。ご了承ください。
さて、今日のお話です。
親の言葉や態度が子どもにどれだけ影響を与えるかというお話をさせていただきましたが、これって言い換えると、子どもの「生活環境」ですよね。
今日は「環境」が人にどれだけ影響を与えるかのお話をしてみたいと思います。
●環境が人に与える影響
環境が人に影響を与えることは、誰もが周知のことかと思います。
では、環境が人に影響を与えた事例というと、冒頭の「親の言葉や態度」の他に、どんなものがあるでしょうか?
たとえば、「人間関係」というのは、人に影響を与える環境としてとても考えやすいかもしれません。
ネガティブな人がまわりに多ければ、その人はネガティブである可能性が高いですし、逆もまた然りです。
ある人の価値観や思考は、その人が最も多くの時間を過ごす5人の平均的思考により決定されると言われていることからも、これはほぼほぼ真実と言って間違いなさそうです(例外はあれど)。
ちなみに年収も、もっとも頻繁に接している5人の平均になると言われます。これも人間関係という環境が人に影響を与えている事例でしょう。強烈な事例です。
私自身も、過去に自分が頻繁に在籍する経営者コミュニティを大きく変えた経験が2回あります。2回とも、それにより会社が大きく成長することとなりました。
このように、「人間関係」は人の思考や行動に影響を与える「環境」といって良いでしょう。
他にも、「人に影響を与える環境」として「ルール」を挙げてみたいと思います。
日本のみならず、世界中の国々ではさまざまな法律などの「ルール」という環境があります。「ルール」という環境は、人々にどんな影響を与えているでしょうか?
義務教育というルールは、日本人の学力を一定水準上げるという影響力を有していると言えそうです。
一方で、日本の場合は暗記や記憶していることを良しとする学習体系により、「自分で答えを見つけようとする思考力」が致命的に欠落した人間を大量に生産しているという影響を及ぼしているとも言えます(毒)。その結果、世界で一番わくわくする注射を打った国になってしまいました。すごい影響力。
まあそれはいいとして、終身雇用制度なども日本人に影響を与えていますね。安定した環境で長く勤めるのが、ある意味「正しい人生」だと思い、そうする。悪い言い方をすれば「いい会社に入っちゃえばこっちのもの」みたいなところが日本人にはあると思います。
アメリカなどでは経営者が従業員のクビをかんたんに切れます。これにより、クビにされないようにビジネスの勉強をしたり、より結果にコミットしよう、成長しようという意識が従業員側に生まれます。
日本式もアメリカ式も一長一短あるのは間違いないでしょうが、ルールにより人の思考と行動に影響を与えているのは、どちらも間違いないですね。
ビズアップの「ルールという環境」の例も挙げておきましょう。
ビズアップでは、社内ルールの言語化、マニュアル化を非常に重要視しています。何か決まっていないルールがあれば、言語化してマニュアルにします。ルールに変更があれば、マニュアルを更新します。
これ、膨大な量になるんですね。なので、社長や幹部だけではマニュアルの作成や更新はとても追いつかない。社員のみんなに手伝ってもらわないとならない。
でもまあ面倒なんです。やらないですむならばやりたくないという人が多いでしょう。
そこで、「マニュアルを作成したり更新したら、評価のポイントに加点する」というルールにしました。これにより、社員の行動が変わりました。つまり、このルールにしたことでマニュアルをつくる、更新するようになったというわけです。
これも「ルール」が人の行動に影響を与える環境をつくった事例です。
では、「人の思考や行動に影響を与える環境」のひとつとして、「デザイン」「視覚情報」などはどうでしょう?これもけっこう強烈に影響するんです。
●デザインで行動を導く
だいぶ古い情報ですが、「過去25年間で最も影響力のあるニューヨーカー100人(2013年度)」のうちのひとりが日本人の、しかもデザイナーだということをご存知でしょうか?
その人の名は、宇田川信学(うだがわまさみち)さん。工業デザイナーの方です。
宇田川さんがやったことは、ニューヨークの地下鉄の車両の内装デザインです。それがなぜ、「最も影響力のあるニューヨーカー100人」に選ばれるほどすごいことだったのか。。。
ニューヨーク、特に地下鉄は当時とても治安が悪く、車両の中も「グラフィティ」という落書きで荒らされていたり、暴行、ひったくりなんてことが当たり前の状態でした。
グラフィティは日本でも都市部で見られることがありますよね。たとえばこんなやつです。
Google画像検索より
もちろん無断で公共物に描くことは禁止されています。基本的には素行の悪い(?)若者たちが自己主張でこういったことをします。ただ、今ではグラフィティは立派な文化になっています。良し悪しの問題はあれど、文化ってこうやて生まれるんだなと思うと面白いです。
話は地下鉄に戻りますが、車両は落書きだけではなく、シートやステンレスの柱をナイフなどで傷つけたりといった行為も多かったそうです。
そんな状況の中、宇田川さんが地下鉄車両の内装デザインをすることになりました。
宇田川さんがやったことは主に以下の3つだそうです(他にもきっとあると思いますが)。
1.ドア横の座席の仕切りに斜めの柵を設置
座席シートの端の仕切りとしてステンレス製の斜めの柵を設置し、降車時にバッグを盗まれ(ひったくられ)にくくした。柵が斜めになっているのは、子供たちがハシゴのように登って遊ばないため。
2.座席シートを汚れにくい素材にした
汚れにくい素材の座席シートにした。これによりグラフィティ(落書き)が激減。
3.車両の床を黒く、壁は白くした
床は黒色の天然ゴム素材を使用したことで汚れが目立たなくなり、壁は白の樹脂素材を使用し明るい色になったことで、広さも感じられるようになった。
さて、この結果、地下鉄の治安は大幅に回復したそうです。それどころか、宇田川さんがデザインした車両はその後、6路線以上で約4,000台走るまでに(2013年の話です)。
最終的にはニューヨークを走る地下鉄車両約6,000台すべてが宇田川さんの車両になる予定なんだそうな(もうなってそうですね)。さらにさらに、ワシントンD.C.の地下鉄にも宇田川さんのデザインした車両が登場することになるそう。
宇田川さんはデザインの力によって、
- 「してほしい行動」に人々を導いたり、「してほしくない行動」を防ぐこともできる
と語りました。
意識的にさせることも、させなくすることも、無意識に訴えかけてさせること、させなくすることも、デザインを上手く使えばどちらもできるようになります。
車両にステンレスが使われる前までは、とにかく落書きがひどかった。そこで、その落書きをさせないために1980年にステンレスを導入したそう(落書きできない)。
これは「意識的」に「させない」ための施策ですね。
しかし、ステンレスが導入されてからは落書きのかわりにナイフなどによる引っかき傷があとを絶たなくなってしまった。
そこで、ステンレスは同じ量の照明でも暗く感じさせてしまう効果があることに宇田川さんは着目します。
つまり、ステンレスのせいで車両内が暗く感じる。もし車両内が明るくなれば引っかき傷をつける行為も減るだろうと仮説を立て、社内の壁を白くして広さと明るさを感じられるデザインにしたということなんです。
これは、「無意識に訴えて」「させない」施策です。
これに似た例は他にもあります。
東京の下北沢という街の老舗のおせんべい屋さんが、シャッターに落書きをされて困っていたことがあります。シャッターを何度塗り替えてキレイにしても、「落書き禁止」の張り紙をしても一向に落書きはなくなりませんでした。
そんな時思いついた方法が、シャッターにあらかじめ絵を描いてしまうというものでした。美大生をアルバイトで雇い、シャッターに絵を描いてもらいました。
その結果、落書きはなくなったそうです。
●地下鉄の話からわかる、もうひとつの気づき
デザインは「意識」にも「無意識」にも何かしらを訴える(デザインの無拒否性)ということは、このコラムでもよくお話しています。
この記事からわかるもうひとつのことがあります。
それは、汚れは人を凶悪にする、ということです。逆に凶悪な心は汚れを生む、ということも言えます。
以前のニューヨークの地下鉄は、すさんだ心が車内を傷つけ汚す行為を生み出し、その傷や汚れを見た人がまたすさみ、新たな傷や汚れを生み出すという負のスパイラルに陥っていたのでしょう。
逆に、きれいなもの、明るいものを見ていると、これとは逆のことが起こるだろうと想像できます。それが、宇田川さんの実績でも証明されていますね。
このように、見た目やそれに伴う環境というのは、知らず知らずのうちに人間に大きな影響を与えているということがわかると思います。
先ほど、下北沢のおせんべい屋さんの例も出しましたが、他にもいくつかご紹介しましょう。
製造業の場合、工場の照明の量を多くした時と少なくした時では、工員の生産性に違いが出たという実験があります。当然明るいほうが生産性があがりました。
「人間は一面赤に塗られた窓のない部屋に閉じ込められると気が狂ってしまう」と言われていますし、逆に、ある街で街灯の明かりの色を青白くしたところ犯罪率が下がったというデータもあります。青は無意識的に人をクールダウンさせる効果があるからです。
高い天井には抽象的思考や創造性を活性化させる効果があります。逆に、低い天井には細部に向かう思考を活性化させる効果があります。
会社の未来や今後の方向性などは広くて天井が高い場所で考えたほうがよく、検品作業や細かい手作業など集中力が必要なものはこじんまりとして天井が低いところでやるとミスが減ったりする、ということです。
天井の高さが与える影響力の例をもうひとつ。
お客さんに長く滞在してほしい場所に適しているのは高い天井で、お客さんの回転を早くしたい場所に適しているのは低い天井です。カジノなどは天井が高いです。ファーストフード店などは天井を低くするといいでしょう。
繰り返しますが、デザインには無拒否性があり、人は見たものから何らかを感じてしまいます。
感じたものがネガティブなイメージのものかポジティブなイメージのものかによって、心までもがネガティブにもポジティブにもなってしまうわけです。
「デザインの無拒否性」を意識し、
★きれいなもので視界をなるべく埋める
ということがとても大切なことだということがわかります。
仕事に置き換えれば、掃除や整理整頓はやはり大切なんだな、ということですね。
また、デザインを活用した社内の雰囲気づくりや、ロゴや名刺、その他のアイテムにきちんとしたデザインを施すことも大切ということです。
経営者であれば社員のためにこういった仕事の「環境」を考えることがとても大切だし、投資効果はきっと十分にあるはずです。
今回はここまでです。
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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