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2022年12月09日 ターゲティング ブランディング メールマガジン 【第651回】御社の商品、サービスは「誰にとっての価値なのか?」

いやー、ワールドカップ、日本代表惜しかったですね。悔しい!ベスト8に行ける実力はあったと思うだけに悔しい!

ただ、これが日本人の「壁」なのかもしれません。

PKというのは、代表クラスともなれば技術の差はあまりありません。そして、キーパーは決められて当たり前なので思いの外プレッシャーがありません。

なので、キッカーのメンタルタフネス勝負になる、それがPK戦です。

日本のキッカーは枠(ゴールの中)を外したくないばかりに、「置きにいくキック」をしてしまいました。

PK戦でキーパーに3本も止められるということは非常に稀ですが、「枠を外すかもしれないのが怖い」というメンタリティがキーパーのセービングにつながってしまったというわけです。

しかし、当然ながら選手を責めることはできません。ワールドカップの舞台で、日本代表初のベスト8をかける試合でPK戦。想像を絶するプレッシャーでしょう。

実際に、森保監督が「一番に蹴りたいやつ?」と選手に聞いたとき、誰も立候補しなかったようです(少しして南野選手が手を挙げた)。みんな蹴りたくなかった。

このメンタルの壁は、自分も含めた日本人すべてにありそうな気がしています。サッカー日本代表をとおして現れただけで、日本人の根深い「何か」を象徴している気がしてなりません。

いずれにしても、日本代表のみなさん、おつかれさまでした。ドイツとスペインを撃破して死の組1位通過。そんな日が日本のサッカー界に来たのかと思うと勝手に感慨深くなってしまいます。ありがとうございました。

そんな私は月曜日から広島県は尾道市に来ています。日本対クロアチア戦も尾道で見ました。

本当はスポーツバー的なところがあればよかったのですが、なかったためハイボールのロング缶を2本買ってホテルで観戦。

尾道、いいところです。来るのは3回目になりますが、好きな街です。

しかも、水曜日にはなんと尾道市長と対談。そんな貴重な機会をいただけるとは。。。

対談の様子

対談の内容は尾道移住メディア「Ancher(アンカー)」にて掲載されたらお知らせします。

なお、広島県は移住者にけっこうな補助金を出してくれます。

実は今回、移住を検討している人が広島県での暮らしや仕事を経験するための制度、「ちょっと広島県」を使い、旅費や宿泊費、シェアオフィス利用料などの9割を県に補助してもらいました。

しかも、ビズアップでは4人×3週間にわたって計12名が尾道に1週間ずつ滞在しました。9割補助はめちゃめちゃでかい。

社員からも評判がよく、単純に福利厚生としてもよろこんでもらえました。

ちなみに尾道移住メディア「Ancher(アンカー)」を立ち上げたのが、15年近くの付き合いになる後輩。彼も移住者。

で、今日は尾道市長や尾道に暮らす人たちとの会話、尾道の街並みなどをとおして感じた「価値は相対的なもの」というお話をしてみたいと思います。ブランディング的な話です。

と、その前にコロコロニュース。本日は珍しくTwitterからではなく。。。

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「論文出せコノヤロー!!」とか息巻いていた魂を悪魔に売ったような専門家の方々、論文が出てきてしまっているようですよ。相変わらず日本のメディアでは一切報道しませんけれども。。。

では本題です。

 

●それは誰にとっての価値なのか?

ブランディングを考える上では、もとい、商売のどんなことを考える上でも

  • お客さまは誰なのか?

を考えることはものすごく大切なことです。言い換えるならば、自社や自社の商品、サービスは「誰にとっての価値なのか」ということ。

この「誰にとって」は時代の変化により、より細かく細分化されてしまいました。

このコラムで何度か登場する、

モノの時代 → デザインの時代 → 色(バリエーション)の時代

というサイクルの中で、モノの時代にあるときは「誰にとって」は多少あやふやでも商品やサービスは売れていきます。

しかし、モノが行き渡ってしまうと、「誰にとって」が細分化されはじめます。それを補うために、デザインで本質的な価値を表現しようと試みたり付加価値をつけようとするわけです。

たとえば冷蔵庫がない時代は、「誰にとって」をそれほど考えなくてもよく売れました。その「モノ」を大半の人が持っていなかったからです。

しかし、ほとんどの人がそれを持ち、おまけに競合商品も増えてくると、デザインの時代に入ります。デザインは感性なので人によって好みが違います。これが「誰にとって」が細分化された状態というわけです。

そしてそれすらも飽和すると、バリエーションの時代に入ります。

これは言い換えるならば、「誰にとって」がさらに細分化されたということです。それをバリエーションで幅広く網羅しようという動きなわけです。

たとえば、パソコンや携帯電話がさまざまなバリエーションを用意しているのはこのためです。パソコンや携帯電話が普及され切る前はみんな通り一遍の見てくれでした。

この時代の移り変わり(「誰にとって」の細分化)は、社会全体の大きなうねりとして起こることもあれば商品や業界単位で起こることもあり、どちらも絡んでより複雑になることもあります。

価値は相対的なものです。ある人にとっての1万円ははした金でも、ある人にとっては大金です。俗にいうオタク系のグッズやら何やらもそれを宝物と感じる人とゴミだと感じる人に分かれます。

細分化された「誰」、つまりターゲットは

  • 価値だと感じるもの

が多岐にわたります。

こういう時代は、ビジネスも細分化、専門特化されます。もちろん趣味やら何やらも。なので、ターゲットを考えるのはすごく難しくなります。特に定量的(私の言葉で「スペック的」)な面でのターゲティングが難しくなります。

  • 30代女性、独身、OL、彼氏なし

という同じ属性の人でも趣味嗜好、価値観が違うからです。当たり前のように感じますが、これは意外と「今の時代だから」そうなっていると私は考えています。

昔は定量的(スペック的)なターゲティングでも十分でしたが、今は定性的(私の言葉で「イメージ的」)な面でのターゲティングも合わせて考えなければなりません。

モノの時代、つくれば売れる時代は定量的なターゲティングさえできればざっくり売れていきますが、細分化された「バリエーションの時代」はそうはいかないというわけです。

しかしながら、だからこそがら空きのポジションがあり、小さい会社はそのポジションさえわかれば、つまり、自分たちの会社、商品、サービスが「誰にとっての価値なのか?」さえわかればオンリーワン=ナンバーワンをつくることができ、ビジネスを成長させることができます。

以前テレビで「今どきの銭湯」というコーナーをやっていました。今どきの銭湯は、さまざまなバリエーションがあるそうです。たとえば、

  • デザイナーズ銭湯
  • デイサービスとのコラボ銭湯
  • こども用プール付き銭湯
  • 外国人向け銭湯

などをこの番組では紹介していました。

銭湯業界の「モノの時代」は当然ですがとっくに終わっています。

ガスが普及され、電気が普及され、上下水道が整備され、一家にひとつお風呂が当たり前にある時代を迎えてから、銭湯の「モノ」としての役目はほぼ終わりました。

しかし、その後健康ランドやスーパー銭湯などが登場。モノとして以外の価値を付加しました(付加価値)。銭湯業界の大きなフェーズでみると、ここがデザインの時代に相当するのではないかと思います(デザインの時代は付加価値の時代と言える)。

そして、今の銭湯業界はバリエーションの時代。

「誰」の細分化に細かく対応することで、がら空きのポジションを見つけ一部の銭湯が奮闘している状態。

たとえば、デザイナーズ銭湯はデザインの時代ではなくバリエーションの時代において「デザインは価値だ」と思う人(「誰」)をターゲットにしています。

またデイサービスとのコラボ銭湯。デイサービスでは利用者さんで入浴に不満・不便がある人が多いです。かといって家での入浴は困難、こういう人やデイサービスにとって価値なわけです。

こども用プール付き銭湯なら子供とたぶんお父さんとかにとって価値があると思います。

また、外国人向け銭湯はそもそも銭湯どころか、湯船とかの発想もあまりない(シャワー文化)人たちにとっては、イノベーションですらある可能性もあります。

こうやって、ある人にとっては無価値でも価値を感じる人を見つけてアピールしていく、バリエーションの時代のブランディングはこのような構造になっています。

もっとも、銭湯のように古い業界は実は相対的に価値を出しやすくもあります。そうやって価値を出した商品やサービスを、このコラムでは「進化系」としていくつかお伝えしました(コーラやおせんべい、床屋さん、八百屋さんなどの進化系)。

 

●「価値」の見つけ方

では、その「価値」というものはどのように見つければよいのでしょうか。これは非常に深い問題です。簡単に見つかるかといえば、当然そんなことはありません。

自分、自社の「価値」を見つけるのはなぜ難しいのか。。。

それは、人は自分のこと、自社のことにはなかなか気づかない、気づけないからです。言い換えるならば、人から見たら「それはすごい価値なのでは?」と思うことを、自分(自社)ではただのガラクタだと思う人が多いからです。

人はいま手にしているもののありがたみを感じづらい生き物です。補完の原理が働き、ないものに目を向けがちなのが人間です。

他人を羨む日本人は比較的多いのではないかなと思います。しかし、世界的に見れば日本に生まれただけですでに上位3%くらいの裕福さだと聞いたことがあります。それが当たり前だから価値だと感じづらい。

上を目指すことはよいことではありますが、ないものに目を向けたとたん、「価値」は見つかりづらくなるのではないでしょうか。

ビジネスでいえば、やはり「価値」の答えを持っているのはお客さまである可能性が高いです。自社の価値を再確認するにはお客さまに聞くのが一番だということです。

しかし、ここにもなかなか難しい問題があります。その問題とは、以下の2つです。

1.聞いても価値だとわからない
2.表面的なことを深掘って本質を見つける必要がある

「1.聞いても価値だとわからない」は、お客さまからせっかく「価値」を聞いても、自分にとって当たり前過ぎてそれが「価値」だと納得できない、または気づけない(スルーしてしまう)というものです。

なので、できる限り第3者に聞いてもらうことをオススメします。

たとえば私たちのサービスで、「お客さまインタビューブック」というものがあります。これは我々がお客さまのクライアントにインタビューをし、第3者視点で「価値」を言語化するというものです。これをやると、

  • 営業マンのセールストーク
  • パンフレットやホームページの文言

で効果の高いトークや原稿を作成することができます。「お客さまに選ばれる理由」がわかっているわけですから。

以前私たちのこのサービスを受けてくださった外壁塗装のお客さまは、クライアントが「手抜き工事を絶対にしない姿勢(している会社が多いらしいです)」に「価値」を感じてくださっていたことがわかりました。

このように、お客さまにインタビューすることで、なぜお客さまが自社を選んでくれているのか=何を価値だと感じて選んでくれているのかが明確になります。

「2.表面的なことを深掘って本質を見つける必要がある」は、とはいえお客さまは表面的なことを言っている場合もあり、お客さまの言葉から本質的な「価値」を読み解く必要があるということです。

お客さまに言われたそのまんまでは、実際にはターゲットにまったく響かない場合があるわけです。これも例を出してみましょう。

以前、沖縄のあるお弁当、仕出し会社さんの依頼でブランディングについて調査したことがあります。

そのお客さまはリブランディングをしたかった。もっとざっくりといえば、洗練されたおしゃれなイメージにしたかったんです。

イメージを変える前に今のお客さまにインタビューしたほうがいいですよ、ということで、店頭調査とヘビーユーザーの方を集めた座談会を行いました。

座談会では、ご高齢のおばあさん(沖縄でいう「おばあ」)が4名と30代の主婦が1名参加してくれました。

おばあたちは口を揃えて、そのお客さまのお店のお弁当や仕出しが「すばらしい」と絶賛してくれました。接客もすばらしいと。問題点を探りたかったのですが、とにかく褒めるだけでした。

そんな中、30代主婦の方が一言も言葉を発しません。話しづらそうでした。私が「何かありますか?」と水を向けると、とても言いづらそうに次のように言ったのです。

「すみません、私、こちらの仕出しはよく買うのですが、実は私たちは食べていません。おじい、おばあや子どもたち用にいつも買っていて、自分たちの食べる分はおしゃれな居酒屋とかのテイクアウトを利用しています。。。」

これを聞いて社長は腰が砕けそうになっていました。そして堰を切ったようにおばあたちもネガティブなことを言いはじめました(汗)

しかし、30代主婦の方は、価値があると思っているからそのお客さまの仕出しをよく買うわけです。「自分たちで食べる」という価値ではありませんでしたが、おじい、おばあ、子どもたちはそれで満足するという価値です。

もしも4人のおばあたちの褒め殺しを真に受けていたらどうなっていたでしょう。30代主婦の方が来てくれていなかったら、言いづらいことを黙っていたとしたら。

このように、表面的な情報だけが出てきた場合に、さらに本質を探るような質問ができないと、「価値」を探し当てることができないという面があります。

 

●尾道の価値は誰にとっての価値なのか?

昨日の尾道市長との対談では、市長がまさにこれを物語るような話をしてくださいました。尾道の価値を高めているのは「移住者」だと。

尾道には海があります。山もあります。古い街で、古民家なんかもたくさんあります。

市長は、「尾道に長く住んでいると、なんでそれが魅力的なのかわからんのです」と言いました。海も山も古民家もおいしい食べ物も、自分たちにとっては当たり前すぎるから「価値」があると思っていなかったと。

県外からの移住者が来ることで、自分たちにとっては当たり前だと思っていたものにすごい「価値」があるとわかったとのことでした。移住者をとおして価値の再確認が行われたと。

つまり、尾道の価値の「誰にとって」は県外からの移住者だった可能性が高いわけです。実際に尾道は広島県内では移住者の数が一番多いそうです。

また、「移住者」といってもただの移住者ではありません。

尾道にはおしゃれなお店がとても多くあります。私たちが尾道滞在中に利用していたシェアオフィスは、こんな感じのおしゃれなところ。

つくった人はもちろんすべてが県外の人ではないでしょうが、すてきなスペースになっています。ここ、もとは市役所の書庫だったらしいです。リノベーションしてシェアオフィスにしています。

こちらは古民家を譲り受けてDIYでリノベーションをして、コーヒースタンドを開業された移住者の方のお店(AIRSHIP COFFEE STAND)。誰も住んでいない、地元の人からしたらもしかしたらガラクタだと思うようなものも、この人にとっては移住してもいいと思うくらい価値が高かったわけです。

こちらは「ネコノテパン工場」さん。AIRSHIP COFFEE STANDの近くにあります。山手の中腹にあるのに、めちゃめちゃ人気らしいです。写真は撮り忘れまして、グーグル先生から画像をお借りしました。

他にも何枚か写真を撮りましたのでご紹介します。

センスが良さげな尾道ラーメンのお店。ロゴも可愛いです。

お餅屋さん。ロゴとファサード(入り口)のデザインだけで十分成立しますね。

眼鏡屋さん。残念ながらやっていませんでしたが、カンバンのロゴと余白の使い方からハイセンスなのがよくわかります。

こちらは居酒屋さん。赤いトラの入れ方がセンスいい!

こちらはカフェですね。ネーミングとロゴだけでもセンスを感じます。

レトロなお店。ここは居酒屋も経営しているらしく、そちらのお店も良い雰囲気です。

尾道にはこういったお店がいくつもあります。どれもハイセンスです。それはクリエイティビティの高い人の感性に訴える何かがあるからだと考えます。つまり、「移住者」といっても「クリエイティビティの高い移住者」なんです。

ではなぜ他のエリアではダメだったのでしょうか?移住したい、田舎暮らしに憧れる、ということなら、尾道でなくてもよいはずです。

今の地方というのは、ロードサイドに大きな施設ができて、その界隈だけが賑わっていますよね。

やれイオンだとか、やれハードオフだとか、やれ〇〇寿司(廻る寿司屋)だとか、とにかく大きな箱のものがロードサイドにどんと集合して以上、みたいな。

チェーン店だらけで、まるで金太郎飴みたいにどこにいっても「らしさ」をまったく感じない田舎が本当に増えました。

尾道にいくとわかるのですが、尾道はそういう街ではないんですよね。ものすごい「らしさ」を持った街なんです。古いものが古いまま残っていて、「大きなもの」に侵略されていないというか(もちろん「大きなもの」も一部ありますが)。

古いアーケードの商店街、情緒があります

これがクリエイティビティの高い人たちにハマっているのだと思います。つまり、尾道は「クリエイティビティが高く、かつ移住したい人」にとっての「価値」が高い街。

それを、自分たちではなく移住者の人たちが気づかせてくれた、というのが昨日の市長の話の主旨だったというわけです。

「誰にとっての価値なのか?」を再定義することを

  • リブランディング

と私は定義づけています。尾道はリブランディングに成功しつつある街だと、「街の進化系」になる素質を持っていると直感します。

「ないもの」ではなく「今あるもの」に目を向けるということ。「誰にとって」を明確にすること。そしてそれは自分(自社)では気づきづらいということ。こういったことが今回のお話のポイントになってくると思います。

いや〜、それにしても尾道いいな。移住しようかな(笑)

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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