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先週はお盆でコラムをお休みしました。
お盆休み、あっという間でした。毎年恒例の「ヨメの実家でダラダラする」も、現在お酒が呑めない身体(ボディメイク中)なのでイマイチでした。
唐突ですが、「ナルシスト」ってすごいですね。
ボディメイクのトレーニングをはじめてから、日に日に良くなっていく自分の身体を鏡で見ると「うーん、いいカラダ♥」と思ってしまい、その後すぐに「ハッ!」として自分の「おナル」な一面を知って恥ずかしくなるのですが、でもやっぱり気分は上がるんですよね。
ただ、「ナルシスト」の正確な意味はちょっと違うようです。「オレすごいでしょ」というのはナルシストの一部分でしかなく、ほんとうの意味は「自分のことばかり考えている人」のことを言うらしいです。
つまり、ポジティブだろうがネガティブだろうが、人より自分のことに興味関心がいってしまう人を指すらしい。それが意識的でも無意識レベルでも。こういうのってだいたい無意識でやってますよね。私も無意識でやってしまうので、気づいたいときに「ハッ!」とするわけです。
マーケティング用語では最近流行りの「インサイト」というやつですね。意識していない感情というか。
さて、今週のコロコロニュースです。
今週はSNSでとてもわかりやすいと人気のエリザベスさんという方の動画を何本か紹介します。コ□ナが茶番だとか、その茶番がなんで行われているかとか、マスクの害とかについてとてもよくまとまっています。
わかりやすく伝えることができる人は天才だと思う。動画1本あたりはとても短い(1分程度)ので見やすいです。
2018年から2022年にタイムリープして遊びに行った人の話
twitterでいろいろな人が拡散しているリンクを貼りましたが、エリザベスさん自身はインスタでこれらをあげているっぽいですね。
ちなみに私はマスクする人には3種類いると思っています。
- お金のためにマスクをしている、他人にも強要している人
- 子どもにはさせていないのに自分はしている人
- マスクで本当に病気が防げると思っている人
「お金のためにマスクをしている、他人にも強要している人」は、たとえばトレーニングジムのスタッフとかヨガスクールの講師とかです。
彼ら(特にスポーツジム)はコ□ナで真っ先に槍玉に挙がった人たちです。このとき、おそらく仕事はなくなり給与も下がったり、もしくは会社が倒産するなどの経験をしたのではないでしょうか。同僚がそうなったとかかもしれません。いずれにせよ恐怖を感じた。
つまり、「もうそんなことはゴメンだ」とか、「これからそうなったらどうしよう」という人が「自分の生活」を守るために言ってきているということです。たしかにジムやヨガのインストラクターさんは気の毒ではありますが、これって自分本位ですよね。
もちろん生活できなくなったらたいへんだけど、そのために他人に強要するわけです。で、自分を正当化するために会社のせい、世論のせいにしているわけです。
まず、実は自分本位だということに気づけるか、客観視できるか。感染対策とか社会のためとか、本当はウソっぱちなのにそのウソに気づかないふりをして感情を隠しているという「インサイト」が見え隠れするわけです。
呼吸が命のヨガで「マスクしろ」とか、もはや落語みたいな世界ですよ(笑)。ラジオ体操で身体を伸ばすなみたいな話。
ジムやヨガに限らず、他にも会社の方針だからと言ってくる人もこれです。飲食店とかも。他人にマスクさせないと自分の生活がどうなるかわからない人。
なので、自分本位だということをわかっている人ほど、下から丁重にお願いする態度にはなります。強く言ってくる人は自分本位だということを意識できていない人ですね。
ちなみに逆に「みんながマスクをしてくれていたほうが儲かる」という人も「お金のためにマスクをしている、他人にも強要している人」に入ります。一部の病院やPCR検査の会社とかですね。
「子どもにはさせていないのに自分はしている人」は、マスクの効果はない、または害があるから子どもにはマスクをさせたくないと思っている人です。そこまではわかっている、けど自分はする。これはどういう人かというと、単純に勇気がない人です。今の日本人の大多数がこれかな。
「本当は違うんだろうけど、自分が我慢すればいい」という上っ面の美学みたいなもので、勇気がない自分を隠している人。そしてこれも気づかないふりをしている。これも「インサイト」というヤツです。
最後の「マスクで本当に病気が防げると思っている人」はただの情弱です。学校の勉強がまったく意味がなかった人か、逆に学校や親の言うことに何も疑いを持たなかった人。いずれにしても思考するという能力の欠如した人です。本当の情弱は「得ている情報が少ない」だけではなく、「得た情報から深い思考ができない」ので。
電車の中でマスクしているクセに濡れた傘をガンガンぶつけてくるようなヤツが社会のためとか、思いやりとかでマスクしたり注射打ったりしているとは到底思えません。
もうマスクするのやめませんか?「自分はなぜマスクをしているのか」を一度しっかり考えてみませんか?そのときに起こる感情はなんですか?イヤな感情?怒り?恐怖?モヤモヤ?この「インサイト」に向き合ってみませんか?
ということで、今日は私も勉強中の「インサイト」についてお話してみたいと思います。
●「インサイト」とはなんぞや?
まず、「インサイト」をネットで調べてみました。
インサイトとは、消費者の行動や思惑、それらの背景にある意識構造を見ぬいたことによって得られる「購買意欲の核心やツボ」のことを指す。「顧客インサイト」や「消費者インサイト」など、対象による消費活動や購買意欲を促す潜在的な欲求のスイッチ。AIDMAのDesire(欲求)をAction(行動)へと変化させる要因を確定させることで、消費活動や購買意欲を促進させる商品の開発や効果的なサービスを実施することができる。つまり、消費者が置かれている生活環境を理解し、共感し、それによって考えられる消費者が欲しているもの、行動を理解すること。
「インサイト」という言葉は、直訳すると、「洞察」や「直感」、「発見」といった意味合いを持ち、このことからも、消費者の気持ちを洞察し、それに必要なもの、ことなどを発見するといったことを示す。消費者の思惑や行動を洞察することで、ときには、消費者本人も意識していない心の核心部分を見抜くこともある。このことから、消費者たちの「インサイト」を発見し、それらを商品開発・販売促進し、その宣伝広告などに取り入れることで、彼らの心を動かし、「購買意欲」に繋げることができるとされている。
ということですが、こういう説明って一般化するので抽象度が高くてイマイチわかりづらいですよね。
もう少し平たくいうと「消費者も意識できていない購買のスイッチ」という感じでしょうか。
よく比較されるのが「ニーズ」です。「ニーズ」と「インサイト」の違いは、「ニーズ」は消費者が意識しているもの、顕在化されたものであることに対して、「インサイト」は消費者自身も気づいていないもの、となります。
ダイレクトレスポンスマーケティングの世界では、消費者や顧客の「感情」にフォーカスするのが重要だと言われてきました。なので、心理学的なアプローチも多用されてきました。そういう意味では「インサイト」と言われるものに馴染みがある人も多いと思います。
また、「マーケットイン」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?かれこれ20年以上も前からある言葉です。「マーケットイン」とは、消費者が欲しているものを起点として開発するという発想の商品開発手法です。対になる言葉が「プロダクトアウト」です。つくりたいものをつくっていかに売るか。
このように、消費者を起点とした商品開発やプロモーションというのは古くからありましたが、ポイントは消費者の深層心理、消費者自身も気づいていない心のスイッチに迫って考えるのが「インサイト」だという点です。
「インサイト」という言葉が「生まれた」ことにより、存在が明確化されたというか新しいジャンルが生まれたと言っていいかもしれません。これはネーミングの重要性をお話したコラムで何度もお伝えしてきたことですが、言葉が生まれたことにより新しい潮流として広く認識されたと言って良さそうです。
消費者も気づいていない深層心理ですからね。ツンデレみたいなものでしょうか。「あんたなんか大っ嫌い!だけど。。。あれ?なにこの感情?」みたいな(笑)。
●「インサイト」の事例
ちょっと抽象的、概念的なお話をしてしまいましたので、ここからは事例を挙げてみたいと思います。事例はネットを叩くといくつか出てくるのですが、「いや、それはインサイトだろうか??」と感じる事例もあったり、思ったより事例の数が多くなかったりします。
一番有名と思われるのが、マクドナルドの事例です。
マクドナルドは、2006年当時にお客さまにリサーチを行い、それをもとに商品開発をしたことがあります。
お客さまに「どんな商品が欲しいですか」とアンケート調査をすると必ず「低カロリー」とか「オーガニック」とか「ヘルシー」とか、健康重視のメニューが挙がります。ところが、4枚のパティが入ったメガマックを発売しても、クォーターパウンダーを発売しても、若い女性が平気でメガマックやダブルクォーターパウンダーを食べているわけです。お客さまのおっしゃることと実際の行動はまったく違うということです。
マクドナルドはアンケート調査の結果をもとに「サラダマック」を2006年に導入しますが、実際には売上が伸びなかったそうです。ほどなく商品は撤退。お客さんが求めていたのは「メガマック」や「クォーターパウンダー」のような「ヘルシー」とは正反対の商品だったわけです。
この本では、実はマクドナルドの顧客のインサイトは「分厚い食べ応えのあるハンバーガーを見せられると、ガブッとかぶりつきたくなる」だったと解説しています。
ポイントは、「お客さんはウソをつく」ということ。もちろんお客さんはウソをついている意識はありません。しかし、結果が物語っています。
お客さんが意識できていることが必ずしも正解とは限らないわけです。これは我々の仕事でも同じで、お客さまにロゴの要望を聞いても「これを求めていた!」とならないことは往々にしてあります。実は何を欲しているかわかっているようでわかっていないのが人間ということですね。
定食で人気の大戸屋の事例もあります。
女性でも入りやすい定食屋、大戸屋。店内のデザインやメニューも女性が選びやすいように工夫されています。それで実際に女性客を集客できたかというと、成功のポイントはそこではないと考えられています。
それは店舗の立地に答えがありました。大戸屋は2階以上の空中階にあることが多いです。通常、飲食店というのは路面店のほうが圧倒的に有利と言われています。そのため、物件も路面店と空中階の店舗ではテナント料が違います。
ではなぜ大戸屋は空中階に出店するのか。
「定食」というと「若い兄ちゃんがガッツリ食う」みたいなイメージがあります。大戸屋ができる以前の定食屋は男性客がほとんどだったのではないでしょうか。つまり、女性からすると定食屋に入ると「食いしん坊」と思われそうでイヤだ、というインサイトがあったわけです。
空中階であれば、店に入るところを人に見られたり、食べているところを通行人に見られることが減ります。メニューの工夫ももちろん重要な成功要因でしょうが、それだけではおそらくここまでヒットしなかったのではないでしょうか?
他にもAKB48のヒットに見るインサイトの事例やチョコレート菓子のキットカットに見るインサイトの事例など、ネットや本には事例として出てきますが、ポイントは前述のとおりこういったことは直接お客さんに聞いても出てくるとは限らないという点です。
また、これはネットや本にはない事例ですが、車、特に高級車や外車を検索している人はゴルフの教材を買う確率が高い、というのをゴルフ教材を販売していた人に昔聞いたことがあります。
当時、ディスプレイネットワークと言われるGoogleの広告がリリースされたころでしたが、その広告はざっくり言えば「こういう検索傾向のある人に広告を出す」という設定ができるものでした。なので、高級車について調べている人に対してだしたゴルフ教材の広告がヒットしたというわけです。
このときの顧客のインサイトは明確にはわかりませんが、なぜ高級車について調べている人がゴルフ教材を買うかという答えが何らかのインサイトであろうことは想像に難くありません。
最後に私の事例で恐縮ですが、ネットや本で出てくる事例のほとんどがBtoCなのに対し、BtoBでうまくインサイトをつかめたと感じるものをご紹介します。
2002〜3年当時サラリーマンだった私は、日清食品に営業に行っていました。月10万円程度しかなかった取引額が毎月数百万、多いと1000万となった成功事例なのですが(ちなみにこの会社を辞める直前に置き土産で獲得した仕事では単発で2000万の案件でした)、そこにはやはりインサイトがあったと思います。
日清食品という会社が求めるインサイトではなく、日清食品の担当者が求めるインサイトです。
日清食品は当時、マーケティング部に1〜7までのグループがありました(今はもっとあるっぽい)。1グループはカップヌードル、2グループはどん兵衛、3グループはチキンラーメンと焼きそばUFOといった具合に、グループごとに担当商品がありました。
マーケティング部の仕事は商品開発、既存商品のリニューアル、それらのパッケージデザイン、プロモーション、など多岐にわたり、芸能人を起用したCMなどにも立ち会ったりといった、いわば花形の部署と言えました。
しかし実際は、4年の任期が終わり異動となると「出所する」と言われていました。それほどのハードワークを強いられる部署で、意外にも「花形」とは言えないくらい疲れている担当者がいたりしました。
また、日清食品は社内での競争をあえて起こすような仕組みを取っていました。たとえば同じ焼きそばカテゴリの商品でも、日清焼きそば、日清焼きそばUFO、ラ王焼きそば(というのがたしか昔あったと記憶する)など、近しい商品を出してあえてカニバらせる(「共食い」から派生した「自社競合」の意)ことで切磋琢磨させるような仕組みです。
このような状況から、マーケティング部の担当の方々は
- 非常に疲れている、激務、やることが細かくて多い
- 常に社内のライバルに勝とうとしている、手柄がほしいと思っている
という状況がありました。つまり、インサイトは「もっと楽に、かつ社内のライバルに勝ちたい」でした。
私はまず、私に仕事をくれるとどれだけ楽かを感じてもらえるようにしました。毎日訪問し、御用聞きをします。何かあればすぐに駆けつけてくれる、わざわざ呼ばなくてもだいたい来ている、という安心感や呼び出す負い目みたいなのを感じない環境を提供しました。
また、全国の支店に発送しなければいけない販促物(しかも部数は支店ごとにバラバラ)の業務を仕組み化し、電話やメール一本で担当者が指示を終えられる(その後に余計なやり取りがない)状況をつくりました。
仕事の単価も、大手広告代理店(電通、博報堂、ADK)や大日本印刷、凸版印刷などに比べればはるかに安い価格で対応できますから、担当者からしたら自分の手柄になります。
このような対応をした結果、マーケティング部内で「あの津久井ってやつは何者だ!」とウワサになったらしく、どんどん仕事が舞い込んできました。結果、大日本印刷と凸版印刷の販促担当者が左遷されたそうです(ごめんなさい汗)。また、大手広告代理店や大凸の営業マンからは毎日受け付けロビーでにらまれる始末でした。
私がやったことはそれほど難しくなく、けどビジネスマンとしてあまり声に出して言えない、ついついフタをしがちな感情「楽をしたいし出世したい」に寄り添っただけでした。
●なぜ今「インサイト」なのか?
ではなぜ今、「インサイト」が重要なのでしょうか。これについての考察は、インサイトについて情報提供している本やWebサイトなどでばらつくことはほとんどなく、どれもほぼ同じ見解を示しています。
ひとことで言えば「時代だから」となるのですが、ではどんな時代か。
現代は技術が進み、モノの種類も技術も十分に行き渡っています。すべての人が「それ」が欲しいと思えば、すべての人に「それ」を提供することができる商品がゴマンとあります。
つまり、質、量ともに差をつけることが非常に難しい時代。消費者はお金を払えばどれをとってもそれなりに納得することを体験的にわかっています。
消費者が意識できるニーズに関しては、それを満たせないものはほとんどないということです。その上で、だからこそ欲求が深くなった、または複雑化したということです。
働き方ひとつとってもそうでしょう。我々の親世代は、とにかくお金が重要でした。戦後で貧乏な時代でしたから、お金が正義と言っても言い過ぎではなかったのではないでしょうか。
現に、お金を稼げば自分たちの生活がみるみる良くなっていく時代でした。自分も家族もそれで幸せになりました。もちろん個別具体的にはお金による問題もあったのでしょうが、マクロの視点で見ればお金を稼げばみんなハッピーでした。
今はどうでしょう。まず、現代において餓死することはほとんどありません(これからくる可能性がありますが)。お金はほしいけど、お金のために何でもするという働き方は大半の人が敬遠しており、お金以外の理由を働くことに求めています。
だから理念やビジョンが必要だったり、その仕事が好きか、会社の居心地がいいかなどが求められるわけです。
これに近い話で、時代が進むにつれて人の感情が消費に関しても変わりました。欲しいモノが変わったというより、欲しがり方が変わったと言えるのかもしれません。
この世の中のたいていの小〜中程度の困りごとは、ある程度のお金があれば解消できることを人々は体験的に知ってしまっています。その結果、人々は自分が何を欲しているかわからなくなりました。「何が欲しいかわからないけど何か欲しい」と無意識的に思っているのではないでしょうか。
ちなみに余談ですが、小〜中程度の困りごとのだいたいは解決できてしまっていますから、わざと困りごとを起こす奴らが出てきます。じゃないと儲からないわけです。食品添加物大国の日本の医療費(税金)が膨大だということの相関関係がひとつの例です。
この世のすべての人々が健康であることが、本来お医者さんが見るべき理想の世界(ビジョン)であるべきなのに、病人がいないと生活できないという利益相反がそこにあるわけですね。
話をもとに戻しますが、「インサイト」が今なぜ必要なのかをまとめると、今までわかりやすかった消費のスイッチが、現代ではより高度に抽象化されたから、ということになるかと思います。
私もヨメの「インサイト」を深く考察し理解することで、家族円満を保っていきたいと思います(笑)
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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