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2022年04月22日 コピーライティング コンセプト メールマガジン 所感 【第621回】抽象度と◯◯の原理で相手の心を揺さぶるコピーライティングを!

4月も下旬に差し掛かり、もうすぐ2022年も3分の1を終えようとしてます。

世界の状況は悪くなるばかりです。もっともこれはロシアのせいだけではありません。もっとウラで高笑いしている人たちがいます。コ□ナも同じですね。

日本は急激な円安で現時点で1ドル128円超。このまま150円までいくと見ている人もいます。

そんな中、弁護士さんが儲かっているという情報も入ってきました。どうやら倒産やら自己破産の手続きが相次いでいるようです。だから2020年の5月くらいから言ってますよね。このままじゃゆでガエルだよと。

世界はだいたい私がお話してきたとおりになってきていますし、これは私だけわかっていたことではなく、ちょっと自分で調べたり考えたりできる人がみんな言っていたことです。

さて、今週のコロコロニュース。今週はあんまりネタがないです。忙しかったし。。。まあ、長くなるよりいっか。。。

元のツイートはこちら

SNSでコ□ナを煽るバイトがありましたので、これも当然あるんでしょうね。

元のツイート

これは有名で、日本テレビでもこれについて取り上げられたことがあります。この少女は被害者を装っていましたが、イラクに行ったことすらないことがあとでバレました。

さて、本題。

本題とは言っても、本日はちょっとくだらない内容です。でも言葉についての造詣を多少深めてもらえるんじゃないかな。

「本日は」と言いましたが、最近はブランディングの情報というよりもわりとくだらない「エッセイ」のような内容が多く恐縮です。

ところで、「エッセイ」って「随筆」のことですよね(文学的には正確には違うみたいですが)。なんで「随筆」じゃなくて「エッセイ」って言うんでしょうね?

他にも「メール」と言ったら日本人のほとんどが「電子メール」のことだと理解するのはなぜでしょう?なぜ「E−メール」「電子メール」と正確に言わないのでしょう?もっといえばなぜ「電子手紙」と言わないのでしょう?単純に「手紙」じゃダメなのはなぜ?

アタリマエのことにすぐに疑問を差し込みたくなる「隠れた前提疑いマニア」の私はこんなことをよく考えてしまいます。

実はこれ、日本人にとってはとても意味のあることだと考えています。

 

●なぜ「電子手紙」と言わないのか?

以前のコラムでもお話しましたが、日本人は「遠まわしの表現」とか「あいまいさ」に奥ゆかしさなどの美学を感じがちです。「婉曲的な表現」というやつですね。

そしてこれはともすれば「抽象度が少し高い(ちょっと抽象的)」とも言いかえられそうです。

私は「コンセプト」の定義を「短い言葉なのに圧倒的な情報量を含む言葉」としています。

たとえば、「料理が上手な人」というよりも「料理の鉄人」といったほうが、人は感じるものが多いです。「男の人っぽいな」「すごい修行を積んでそう」「腕組みしてそうなイメージ」などの情報を内包しているからです。

婉曲的、抽象的な言葉には、このように直接的な表現よりもより多くの情報を含むことがあると考えられます。

私の予想では、これはおそらく日本語が具体的な表現も抽象的な表現もより正確にできる優れた言語だからなのではないかと考えています。言語学を学んだことがあるわけではないので個人的な感想の域を出ませんが、日本語はこういう側面を持っているからこそ、むずかしい言語だと言われるのではないかと考えるのです。

このように、「メール」「エッセイ」という言葉が使われる理由は、「電子手紙」や「随筆」よりも多くの情報を含んでいて、抽象的ではあるがより幅広く、かつ深く理解できるからだと考えます。

なので、よくお年を召した方が「横文字ばっかり使うな!」とおっしゃることがありますが、これは無理な話です。「コミット」とか「コンセンサス」とか言ったほうが現場ではより理解が深まることは往々にしてあるということです。

では、なぜ多少抽象的で婉曲的なほうが広く深い理解を得られるのでしょうか?

先週のコラムでもお伝えしましたが、これは人間の心理効果である「補完の原理」が働くためだと私は考えます。足りない部分を自分の脳内に持っている情報で埋めようとするということです。

たとえば「ロゴマーク」はなぜ、ただの「マーク」と言ったのではダメなのでしょうか?

これは、「マーク」よりも「ロゴマーク」のほうが、「会社やブランドのシンボルになるもの」「理念や信念を象徴したもの」というイメージを多くの人が持っていて、勝手にそれを補ってくれるからです。

もちろんこれはこんなに概念的に言語化されたものとは限りません。多くの人が言葉で理解しているというよりも「そういうイメージ(感覚)」を持っているからこそ成り立つわけです。先ほどの「コンセプト」もまったく同じ原理です。

「メール」と言ったら「IT時代(情報革命)以降の連絡ツール」ということを直感的にせよ顕在的にせよ理解しているからにほかならないわけです。

なので、「横文字を使うな!」と言い出したら、自分自身に「陳腐化(以前のコラムでお話しました)」がはじまってしまっていると考えたほうがいいです。

 

●「補完の原理」と「大喜利」の関係性

私はお笑い芸人がわりと好きです。理由としては、頭の回転が速いことと度胸があることが挙げられます。

それはいいとして、お笑いはこの「補完の原理」によって成立している面が多分にあると思われますが、その中でも特に補完によって面白さが伝わるのが「大喜利」ではないでしょうか。

大喜利は、実はそれなりに「頭の良い人」でないと意味がわからないということがあるかもしれません。これはなぜかというと、知的な笑い(大喜利のすべてが知的かどうかは置いておいて)は、補完の原理をより必要とするからです。

つまり、物事の経験や知識が豊富な人のほうが「補完しやすい」ため、笑いになりやすいわけです。ちなみにここでいう「頭の良い人」というのは、前述のとおり「物事の経験や知識が豊富な人」という意味で、間違っても勉強ができるとか学歴が高いという人ではありません。

勉強ばかりして政治家になったような人だと、大喜利の本当の楽しさはもしかしたらわからないのかも。だから人としての魅力が足りない人が多いというか(毒)。生徒会長とかも面白みのないやつがよくなってましたよね(猛毒)。

たとえば私が天才だと思うお笑い芸人のひとりに、有吉弘行さんがいます。彼は「IPPONグランプリ」などの大喜利ショーレースでも大活躍しています(最近出ていない?)。

彼のあだ名芸は、大喜利でいうところの「写真でひとこと」です。もっといえば、見た目の情報から最適な言葉をつけるという意味において、彼がやっていることは「コンセプトをつけている」と言えると私は考えています。

有吉さん自身も「補完の原理」がとても発達している人だと思います。でないと、あんなあだ名をつけることはできません。

これはIPPONグランプリでの話ではないですが、彼が「1年後のサザエさんの予告」という大喜利で回答した答えが私は大好きです。ご覧ください。

「さ〜て、来週のサザエさんは?」

「来週のサザエさんは、〜〜の3本でお送りします」

意味わかるでしょうか?磯野家のお母さん、フネがボケてしまったんです(笑)。旦那の顔を忘れてしまったり、ご飯の話を2回したり。。。

ここに婉曲的な表現が使われています。これが、もし「フネが認知症になったら」と言ったような前情報(前フリ)があると、笑いが半減してしまいます。「もしもフネが認知症になったら」という「もしも」を「認知症の人の言動」という「あるある」で補完することで笑いが生まれているわけです。

なんか、しょうもないことをすごい仰々しく話している気分になってきましたが、つづけます(汗)

先日、私の大好きな「水曜日のダウンタウン」というお笑い番組で、「2代目関根勤選手権」という企画をやっていました。

関根勤さんは、笑っていいともレギュラー時代の1コーナーで、素人さんに「最適な(?)」コピーをつけるという芸をやっていました。この後継者を探そうという企画が「2代目関根勤選手権」です。

さまざまな素人さんがカーテンの向こうから飛び出してきます。そこで瞬時にその人に合いそうなキャッチコピーをつけるわけです。これも、大喜利で言うところの「写真でひとこと」と本質的にはほとんど一緒です。

ちょっとおもしろい回答をいくつかピックアップして見ます。

関根さんの回答です。これが「わかる〜!」とか「そうかも〜!」と感じるのは、補完の原理が働いているからです。

オードリー春日さんの回答。これは具体的すぎる気もしますが、ある事件を知っている人ならだれもが思いついた回答だと思います(笑)。

笑い飯西田さんの回答。これはめっちゃ笑いました。言葉と画(え)の結び付きが強い!飛び級とかで本当に行きそう(笑)。ちょっと頑固っぽそうなところもハマっている!でもMITを知らないと笑えない。

これも笑い飯西田さんだったかな?ただ、関根さんは「素人を傷つけてはいけない」という信念を持っていて、ちょっとアンダーグラウンドな匂いがする回答をたしなめていました。

そこで、関根さんの回答。たしかに上手です(笑)。

この回答、好きなんですよね。ずんの飯尾さんの回答。見た目が怖いとアンダーグラウンドなほうに補完してしまいそうですが、そこを逆にギャップを利用して笑いにもっていくという。。。

これも飯尾さん。抜け道知ってそう!いや、ぜったい知ってるな(笑)。面白い!

前述のとおり、これらが面白いのは、補完の原理が働いている、つまり「あるある」だと感じるからです。お笑い芸人って本当にすごい。

 

●それっぽく抽象的な言葉にしただけでは伝わらない

このように、人間の心理効果「補完の原理」によって私たちは多くの情報を処理しています(もちろん「思い込み」などその処理が間違えることもあります)。

人は(特に日本人は)、多少抽象度の高いことを好んでいそうです。

しかし、なんでもかんでも抽象的であればいいかと言われると、決してそんなことはありません。ただただ抽象的なだけで本質的ではないということもあると考えます。

たとえば、サッカーを何年もやっている人に対して、「サッカーは選択肢のスポーツだ」というと、これは抽象度も高く本質的です。

サッカーをやっていない人からすると??かもしれませんが、

「サッカーはドリブルができます」
「サッカーはパスができます」
「サッカーはシュートができます」

と個別具体的な説明をするよりも、「ドリブル、パス、シュートから何を選択するかが重要だ」という本質的な部分がはるかに伝わる説明になっています。

ところが「やっぱり焼き鳥は塩ですね」という言葉は本質的でしょうか。素材によってタレや塩、どちらがおいしいか変わる場合もあるし、店ごとのこだわりもあるでしょう。

一見「抽象的っぽくてかっこよさげ」な言葉かもしれませんが、果たして本質的なのか?ちなみに昔これを居酒屋で数名から説教されているときに言った社員がいました。後輩からも「そういう話してんじゃないんですよ!」と突っ込まれていました(笑)。

経営者の呑み会などでも、誰かが言った言葉を「それっぽい抽象度の言葉」に言い換えて相づちを打っているけど、発言者の真意を汲み取れきれていない人がたまにいます。こうなると「浅いな」と感じられてしまいます。

こういった「浅さ」を笑いに昇華したのが、お笑い芸人チョコレートプラネットの「財津チャンネル」というコントです。ビジネスチャンネルの対談という設定で、それこそありそうな横文字をアドリブで適当に言い合います。そこはかとない「浅さ」を我々視聴者の「補完の原理」を利用して笑いに変えます。

You Tubeに飛びます

途中でチョコレートプラネットのふたりが笑いをこらえているのが面白い(笑)。しかもこの動画、どうやら企業広告になっているっぽいです。

「それなりの抽象度」を利用して相手の感じ方を利用する手法は、音楽の歌詞にも出ていることを以前のコラムでもお話しました。すぐれた日本語の歌詞は、「ちょうどいい抽象度」で情緒を生み出し、聴き手の感情を揺さぶります。

「J−POP」と呼ばれる曲やアーティストが出はじめてから、歌詞のサビの部分では英語がよく使われるようになりました。そもそもJ−POPの曲でサビに英語を使うのは、「それなりの抽象度」を出すことで感じるものを多くするためです。

ところが、「財津チャンネル」のようになんでもそれっぽくなればいいというわけではありません。

たとえば、リンドバーグというバンドの「今すぐKiss Me」という曲。

サビの部分の歌詞は、

♪今すぐKiss me(WowWow) Go Away  I Miss You

です。この英語、さすがにメチャメチャですよね。中学生のころ、イギリス人とのハーフの友人にこの歌詞の意味を聞いたところ、「たぶんない」という回答が返ってきましたが、まさにそうだと思う。

直訳したら「今すぐキスして!あっちいけ!さみしい!」となり、強烈なツンデレか人格破綻者の言動です(まあ、言わんとしていることはなんとなくわかるけど笑)。あまりにも安っぽい単語を並べただけで、「それっぽさ」すら出ていないのかも。。。

ちなみに、この「今すぐKiss Me」というタイトル、「今すぐチューして」だと、ロックとはかけ離れたイメージを補完してしまいます。「今すぐ接吻」は補完の原理が他の方向に働いてしまいそうです(笑)。

キテレツ大百科の主題歌だった「はじめてのチュー」はやはり「チュー」じゃないと成立しないですね。「はじめてのKiss」だとオシャレすぎますし、「はじめての接吻」は学生服の男子ともんぺの女子が出てきてしまいます(笑)

英語というそれなりの抽象度がある言葉を、直接表現(日本語)に変えることで笑いを生んでいる人がいます。古いですが、「王様」というミュージシャンです。

王様がコピーしたマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」。彼は曲の中でこのように表現しました。曲のサビの部分を思い出して歌ってみてください。

「♪まるで処女〜(アォッ!)」

最後がシモネタで恐縮ですが、抽象度と補完の原理で、伝え方が最適化されたりとんでもない方向にいくということをご理解いただけましたら幸いです(笑)。

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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