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本日は次男の小学校卒業式でした。
そんな次男、昨年秋ころにサッカーの試合で手首を骨折しました。その後も手首を痛める選手がチーム内でつづいたことから、ヘッドコーチが手首をつかないように柔道の前回り受身を教えたんですよね。
今週の水曜日、小学校最後のサッカーチームの練習でのこと。次男はひとりでつまずき、前回り受身を取ろうとしたのか肩から落ちて鎖骨を骨折(爆)。
年に2回の骨折、しかも最後の練習、卒業式の直前。次男は何らかの期待(?)に応えようとしている模様。私のネタづくりのためでしょうか(笑)。
それにしても子どもが育つのは早いですね。「ヨソの子とヘチマは育つのが早い(博多華丸大吉)」と言いますが、自分の子も本当にあっという間。
そんな子どもたちが戦争に駆り出されるようになるかもしれないというのが昨今の情勢ですね。というわけでコロコロニュース。
ファ●ザーとFDAが75年も隠そうとしたワクワク情報が開示された(動画)
別に肩を持つわけじゃないけど、私もまったく同じ認識
怒りの矛先は本当にロシアでいいのだろうか?(動画)
前からお伝えしているとおり、メジャーなメディアでは伝えなさそうな情報をかいつまんでお届けしています。解釈はみなさんにおまかせしますが、「知らない」ということは正しい判断ができないということですので。
それにしても長いので、来週からは本当に減らしていくかも。。。
では本題。本日は「差別化」についてお話してみたいと思います。
「差別化」と聞いてみなさんはどう思うでしょうか?この言葉、漠然とイメージはあれど、きちんと定義づけできている人は少ないのではないでしょうか?
私の定義では、本当の「差別化」は、「差ではなく違いで勝負する」となります。このお話は今までもこのコラムでよくお話してきました。
本日はこのあたりの理論的なお話だけでなく、ではどういう商品やサービスが「真の差別化」をしているものと言えそうなのか、その事例をたくさん挙げてお伝えしてみたいと思います。
●「差別化」の間違った考え方
「差別化」って言葉が悪いと私は思っています。
多くの方は、「差別化」といった時に「差」にその答えを求めます。だって「差」別化ですから。。。つまり、
「あそこよりも美味しい」
「あそこよりも安い」
「あそこよりもこだわっている」
といった具合です。
しかし、これは真の差別化ではありません。
人間は「差」を正確に判別できるほど優れた認知機能をもっているとは私は思えません。
- 5−1=4
- 12−3=9
といった正確な差の判別ができればいいのですが、残念ながら「品質」のような定性的な(人によって感じ方が違う)ものについては算数のように正確に把握できるものではないため、個人の好みやその時の環境などに大きく影響を受けてしまいます。
しかし、漢字で書くと「差別化」。「差」という文字を使ってしまっているという。。。
「圧倒的な差」というものは確かにあります。そこまでの大差を付けられれば差別化といっても良さそうですが、これだけ様々な技術が進歩し、ライバルも努力する中で圧倒的だと感じられるほどの差を出すことは今の時代では容易ではありません。
では、どうすれば本当の意味で差別化ができるのでしょうか。
数年前のことですが、新橋にある、とあるBARのマスターが同じビル内で居抜き物件が出たということでしゃぶしゃぶ屋さんをはじめるということがありました。
古い友人とそのBARに行った際、マスターに相談されました。
「しゃぶしゃぶ屋さんがうまくいっていない。食材にもこだわっているし内装もそれなりに(居抜きから)手をかけたのに。。。」
深夜一時、私と古い友人は、マスターの案内のもと閉店したそのしゃぶしゃぶ屋さんを見学しました。マスターはいろいろと説明をしてくれましたが、ある質問を私が投げかけたときに、マスターは思考停止してしまいました。
マスターがこだわりなどをいろいろと教えてくれたあとで私が投げかけた質問は次のものでした。
「他の店との違いは何?」
これは「差別化」を考える上でかなりクリティカルな質問となります。真の差別化とは「差」ではなく「違い」に着目しなければならないのです。
誤解がないように言いますが「差」が大事ではないという意味ではありません。それはすでに前提条件だということです。やって当たり前ということです。その上で、どう「違い」を出すかを考えなければいけません。
※結局、その後しゃぶしゃぶ屋さんは店を畳んでしまったようです。それどころか、コ□ナの煽りを受けてBARのほうも潰れてしまったようです。いつまでこんなバカげた対策とやらと雰囲気をつづけるのでしょうか?
●「差」ではなく「違い」で勝負した商品やサービスの事例
では、どうやって違いを出していけばよいのでしょうか。
手法はいろいろとありますが、今回はいくつかの事例をもってしてお伝えしてみたいと思います。
- 午後の紅茶
このコラムでもよく例として挙げていますが、キリンビバレッジの「午後の紅茶」は「差」ではなく「違い」で勝負した商品でした。
当時の缶紅茶の市場はほとんどがリプトンの独壇場で、40代以上であれば黄色いリプトンのスチール缶を覚えている方も多いと思います。
味は覚えていますか?私ははっきり覚えています。とにかく「甘い」。でもそれしかないから、誰もが「缶の紅茶はそんなもんだ」と思っていたことと思います。
そんな中、「リプトンの紅茶よりおいしいですよ」ではなく、「甘さ控えめの紅茶ですよ」というメッセージとともに売り出されたのが、「午後の紅茶」です。
午後の紅茶はまたたく間に大ヒットしました。ジュース類をめったに飲まない、飲ませない家庭だった我が家(体にあまり良くないから)でも、午後の紅茶だけは1.5リットルのペットボトルでよく買っていました(当時は2リットルではなく1.5リットルのペットボトルが主流、500mlもほとんどなかった)。
「午後の紅茶」というネーミングもいいですよね。よくよく考えると「アフタヌーンティー」を直訳しただけっぽいにも関わらず(笑)
- 生茶
こちらもキリンビバレッジの商品です。このコラムをよく読んでくださっている方ならば、「生茶」も例としてよく挙がっていることをご存知と思います。
生茶の手法は午後の紅茶とほとんど同じものでした。伊藤園の「おーいお茶」よりもおいしいお茶、というメッセージではなく、「あえて苦味を活かしたお茶です」という明確な違いで勝負をしかけたのが生茶でした。こちらも大ヒット商品かつロングセラー商品となりました。
- とんこつラーメン
これは特定の商品というよりも「商品ジャンル」となってしまいますが、「とんこつラーメン」も「差」ではなく「違い」により定番化したということはどんな人でも体感的に腑に落ちるのではないでしょうか。
とんこつラーメンは醤油ラーメンよりもおいしいというメッセージを発しているとは思いませんよね。それどころか、だいたいの人がどちらかしか口にしないわけではなく、今日は醤油ラーメンの気分、今日はとんこつラーメンの気分、と食べるものを分けていると思います。
- カップヌードル
日清食品のカップヌードル、今では定番過ぎてそこになにかの違いを感じることはないかもしれません。しかし、誕生当時の話を紐解くと違いが見えてきます。
NHKの朝の連続テレビ小説で、日清食品創業者の安藤百福さんとその奥さんを題材としたドラマを放送していた時が以前ありました。
ドラマの中ではどのようにしてインスタント麺、つまりチキンラーメンが開発されるかが取り上げられていました。チキンラーメンも「差」ではなく「違い」で勝負した商品ですよね。ラーメン屋さんのラーメンと味比べの勝負をしたのではなく、その価格と利便性で勝負したわけですから。
その後、カップヌードルの開発の話へとストーリーは流れていきますが、そこで語られていたセリフが興味深いです。
「ラーメンじゃない!ヌードルだ!」
これは何を表現しているかというと、若者がフォークを使って歩きながら食べるのにふさわしいのは「ラーメン」じゃなくて「ヌードル」だという「スタイル」の話なわけです。「スタイル」で違いを出してきたわけです。
そして今、改めて結果論的に見てみると、もうひとつ「違い」を生んでいるものがあります。それは「食べる場所」です。ラーメン屋さんは店でしか食べられません。それを家でも楽しめるようにしたのがチキンラーメン、そして最終的に「どんな場所でも」食べられるという違いに昇華されたのがカップヌードルというわけです。
- ウォークマン
「ウォークマン」もカップヌードルと近いものがあります。「音楽を聴ける機械」はすでにあり、「録音できる」、「カセットテープを2つ入れられる」、「ラジオも聴ける」などさまざまな機能が付随されていきましたが、それはまるで「ハウルの動く城」のような、見事なまでの「足し算思考」でした。
ここまでさまざまな機能が追加されてしまうと、人の認識としては「違い」ではなく「差」となってしまいます。つまり、「こんな機能がついている」ではなく「いくつ機能がついている」となってしまい、結局は「うちのラジカセのほうが機能が多い」という「差の勝負」となってしまうというわけです。
しかも録音などの標準的な機能はもはやどのラジカセにもついていて、機能ではより差別化しづらい市場環境になっていました。
そんな中、「引き算思考」で「音楽を聴くしかできない機械」としてウォークマンは登場します。「機能の数」ではなく、「どこでも聴ける」という、音楽を聴くシーンにスポットを当てて「違い」を生みました。
ソニーのほとんどの社員が「こんな商品は売れるわけない!」と開発に反対する中、当時のソニーのトップ盛田昭夫氏がトップダウンで開発をさせた話はあまりにも有名ですが、どうやら「録音もできない機械なんて!」という声もあったそうで、「差ではなく違いで勝負する」という見方をする社員は当時のソニーにはいなかったのではないかと個人的に感じています。
- ドトールコーヒー
これももはや定番過ぎてピンとこないかもしれません。私自身もピンとこないところがあります。
ドトールコーヒーが「違い」で勝負した喫茶店だという解釈をするには、当時の喫茶店事情がわからないといけません。
どうやら、ドトールコーヒーが出る以前までの喫茶店というのは、いわゆる「ファスト化(ファストフードやファストファッションなどに代表される)」されていなかったようなんですね。
つまり、喫茶店というのは「それなりの価格でコーヒーを楽しみに行く、コーヒー好きのためのお店」だったということです。
今はどうでしょう?お客さんはコーヒー好きに限らず、コーヒー以外の飲み物やフードまであります。もちろん「飲食店」ではあるのですが、どちらかというと「時間を潰せる場」「仕事場」「休憩場所」という「なんらかのための居場所」というイメージのほうが強くないですか?
実はこれはドトールコーヒーがハシリのようで、当時は十分な違いがあったようなんですね。
- スターバックス
スターバックスも「差」ではなく「違い」で勝負したブランドです。どんな違いを出したか?
私の考えでは2つあります。ひとつは「デザイン性」です。これも「スタイル」につながってくる話です。
スターバックスが流行りはじめた当初、1999年か2000年のころですが、私はちょっとオシャレすぎて敷居が高くて入れなかった覚えがあります。若者があのロゴが入ったカップを持って歩きながらコーヒーを飲むのは、一種のステータスだったわけです。カップヌードル同様。
もうひとつが「価格」です。安いほうではなく高いほう。安いほう(安売り)は「差」しか生みません。しかも違いと呼べるほどの圧倒的な差(安さ)を単価200〜300円のコーヒー(当時は170円とかだったかな?)でつくることはほぼ不可能です。
しかし、「高いほう」は「あそこより高い」というよりも違うところに作用します。高いことによって、人は自然と「品質が高い」と認知してしまうのです。その裏付けというか、高い理由になりそうな「何か(スタバの場合デザイン性)」を感じさせられれば。。。
つまり、スターバックスは他の喫茶店(ほぼほぼターゲットはドトールコーヒーだったでしょう)との「違い」を「デザイン性(スタイル)」と「高価格」で消費者に「感じさせ」ました。これはかなりの高等テクニックでしょう(遺伝子組み換えコーヒー豆を使っているというウワサなので私は今は行きませんが)。
- AQUOS(アクオス)
いまだに「液晶テレビと言えば?」という質問に「AQUOS」と答える人は多いと思います。たとえ、自宅のテレビがAQUOSでなくても。。。
これってある意味すごいことですよね。自宅は薄型液晶テレビだけど、メーカー名はわかってもブランド名までは覚えていない、でもAQUOSは覚えている、みたいなことがけっこう起こっていると思われます。
これも今までのテレビの延長線上ではなく、まったく違う形(薄型)というところに差別化ポイントがあるわけです。
さて、ここで閑話休題です。
なんでもかんでも「違えばいい」のかという問題。たとえば先ほどのAQUOSでいえば「薄型液晶テレビ」の「液晶」は今までのテレビとの違いではありますが、この「違い」というのは必要でしょうか?
以前、ちょっとお高いお寿司屋さんに行ったことがあります。予約がなかなか取れないそのお寿司屋さんに先輩経営者やその他数名の友人経営者と行ったんですね。
そのお寿司屋さん、ヨソとは違いました。何が違うか。
- 大将含む店員さんが全員スキンヘッド
- 大将がハイブランド好きらしく、ヴィトンのフェイスガードをつけていた
- ネタケースがヴィトンのモノグラムスーツケースでマグロのブロックとかそこから出てくる
すごいお寿司屋さんでした。もちろん予約が取れないほどの人気なのでうまくいっているお店だと思います。しかし、この「他店との違い」は果たして必要なのか。
ある程度の口コミを起こすには有効でしょう。なにせ私が今ここで話していますから(笑)
しかし、これは「差別化に必要な違い」とは少し違うものと考えます。「差別化に必要な違い」は、「その違いがお客さんのメリットや商品の魅力になっていることが望ましい」という前提があります。
ヴィトン大好きな人からしたら「魅力」と言えなくもなかもしれませんが、それ以外ではお客さんのメリットや商品の魅力にはなっていないです。つまり、「このお寿司屋さんが人気な理由としての違い」にはなっていないと考えます。
これに似た事例が、テスラモーターズだと考えます。電気自動車で高級車。たしかに今までの高級車とは違います。しかし、それは何かユーザーのメリットになっているでしょうか。
では、なぜテスラモーターズの車が売れているか。これは私は「希少性」と、それによる「ステータス」だと考えます。まあ、これは「商品の魅力」と言えなくもないけど、それが「電気自動車だから」かと言われると微妙でしょう。イーロン・マスクが社長だったら普通の自動車でも良かったかもです(笑)
もちろんこれ(希少性を出す)がブランディングの手法として間違いだとはまったく思いません。「差別化」もブランディングの手法のひとつでしかありませんから。
では話を戻しましょう。
- iPhone
言わずとしれたスマホの世界NO1ブランド「iPhone」。発売当初はその圧倒的な存在感に一気に引き込まれました。
iPhoneは、見たことない(けれど直感的にかっこいいと感じる)デザイン性とタッチパネル操作という先進性で、「今までの携帯電話とは明らかに違う」ものとして世に登場しました。
実は「スマートフォン」と呼ばれるものはiPhone発売よりも前から存在していました。覚えている方もいるかもしれませんが、BlackBerry(ブラックベリー)というブランドのケータイ電話が多機能であり「スマートフォン」でした。
また、電話はできないけど今のスマホに少し近い「PDA(Personal Digital Assistant)」というツールもありました。
プロモーションのうまさなどもあったかもしれませんが、iPhoneはおそらく使用感、使いやすさも、それらとは圧倒的に「違う」ものだったと考えます(特にBlackBerryは使いづらそうだった)。
結果、「世界初のスマホはiPhone」という認識を多くの人がしています。
- デパ地下惣菜 アール・エフ・ワン
デパ地下惣菜ブームの火付け役と言っても良いブランド、アール・エフ・ワン。この会社の差別化ポイントも明らかに他社とは違いました。
惣菜に限らず、食べ物であれば「おいしい」というのはもはや前提条件であり、高級な料理店を除いてはほとんど競争力をもつことはありません。アール・エフ・ワンは美味しいだけではありませんでした。
以前、こちらの社長がテレビに出ていたときにはっきりと言っていました。「料理はデザイン」と。店構えだけではなく、料理そのものの見た目に力を入れることで違いを生んだのがアール・エフ・ワンです。
ユーザーメリットは美味しいだけでなく、きれい、かわいい、美しいを感じることと手抜き感が出ないことと考えます。「惣菜買ってきた」というと料理をサボったと思われがちですが、きれいで華やか、豪華でしかも家庭で作るのには手間がかかるものであれば手を抜いたと思われづらいですからね。
- 伊良コーラ
以前、このコラムで「コーラの進化系」としてご紹介した「伊良コーラ」。これも他のコーラとは違います。どう違うか。
「手作りオリジナルコーラ」という点です。手作りされていなさそうなものが手作りされていると、そのギャップから目立ちます。「コーラが手作り?」となります。
しかも手作りコーラだと直感的に「試しに飲んでみたい!」と感じます。他にも「体に良いかも」などなど。このように「コーラが手作り」というだけで、既存のコーラと違うだろうということが圧倒的な情報量を持って感じられるため、非常にこの商品は秀逸だと考えます。
問題は、真似っ子する人たちがたくさん出てこないか、出てくるまでに圧倒的ブランドを構築できるかですね。
- Baluko Laundry Place(バルコランドリープレイス)
これも以前のコラムで進化系として紹介したブランドです。何屋さんかというと「コインランドリー」です。
コインランドリーといえば、薄暗くて汚くて狭くて、古い漫画雑誌やゴシップ誌が置かれていて、なんとなくここには長居したくないなと思わせるものが今までの主流ではありませんでしたか?(私の偏見?)
「Baluko Laundry Place」は、カフェやクリーニング店を併設したり、オリジナルグッズを展開したりという既存のコインランドリーとの違いを出しました。入っている機械の洗浄力だとかそういう「差」ではなく、「長居したくない場所」から「居心地がいい場所」へ転換したことで見事に違いを生み出しました。
- 株式会社農業総合研究所
株式会社農業総合研究所は、文字通り農業系の会社です。
以前、こちらの及川社長のセミナーを聞いたときのお話。多くの人が農業に参入したときに考えるのが、「どんな農作物をつくるか」。これは個人だろうと大企業の参入だろうと同じだと及川社長は言っていました。
では株式会社農業総合研究所はどうなのかというと、農業の「物流」に勝負のポイントを置いた。明らかに「違い」ます。それにより上場まで果たしています。
- 小学生向け美容室
ちょっと店名は忘れてしましましたが、以前、お知り合いの方が小学生の女の子向けに特化した美容室をオープンしました。
これは「専門特化」という方法であり、ターゲットや商材、エリアなどをあえて絞ることでメッセージを尖らせるという手法です。
専門特化は「違いを生みやすい」という特徴があります。この美容室の場合は、他の美容室がターゲットにしない層をあえてターゲット化するという違いを生みました。
ではなぜ「専門特化」は違いを生みやすいのか。ひとつは、専門特化するということは「引き算思考」であるため、ウォークマンのように本質的な機能に絞ったほうが他と違う特徴になりうるという点があります。
もうひとつは身も蓋もない話かもしれませんが、「わざわざ専門特化しているということは、ヨソとは違うんだろう」とお客さん側が「感じてくれる」という点があります。
- おニャン子クラブ
もはや知っている人がどれくらいいるか不安になりますが、古ーいアイドルグループです。私が小学校にあがったくらいのころですから、流行ったのは今から40年近く前。
メンバーはたくさんいて、今でも有名な方であれば工藤静香さんや国生さゆりさんなどが所属していました。
おニャン子クラブが他のアイドルとどう違ったかというと、実は当時はアイドルと言えばまだまだピン(ひとり)が主流だったのです。松田聖子さん、中森明菜さん、松本伊代さんなどなど。そんな中、団体芸(?)で売り出されたのがおニャン子クラブです。
違いは歴然で、ひとりではなく多数という点であり、それが魅力にもつながっていました。
時代が一周したときに、進化系として現れたのが「AKB48」です。正確には「モーニング娘。」などもいましたが、このあたりは芸能界のパワーバランス的なことがあったと勝手に推測。今はAKB48ですね。この間には深田恭子さん、広末涼子さん、安室奈美恵さん、内田有紀さんなどまた個人アイドルの時代がありました。
ご存知かと思いますが、おニャン子クラブとAKB48はプロデューサーが同じ。つまりどちらも秋元康さんです。私の見立てでは、秋元康さんは徳川家康みたいなもので、時流を読むのがすごい上手い人なのではないかと思います。
ご自身的には団体芸(?)のプロデュースが得意。なので、団体芸(?)が他との違いとして魅力を発揮するタイミングを見計らってAKB48を世に出したのだと考えています。
さて、いかがでしょうか。ひたすら事例を思い出して分析してみました。
ちなみにビズアップも同様に違いで勝負しています。「専門特化により本質(とにかくロゴがほしいんだ)的なニーズにストレートに応える(引き算思考)」「他のデザイン会社が絶対にやらない無料提案を導入する」という2点で業界に殴り込みをかけました。
我々はロゴデザインのクオリティの高さに言及することはあっても、クオリティの差をメインのメッセージとしてブランディングしたことは一度もありません。もうおわかりだと思いますが、それは「差」でしかないからですね。
さて、ビジネスにおいてヒット商品やヒットブランドを出そうと思ったら、必ず「違い」を生まなければいけないのかというと、そうではありません。違いを生みづらい業態もあります。たとえばコンビニとか。
でも、こういうビジネスでヒットを生もうと思ったら、莫大な資金が必要になります。「違い」を生むことは、莫大な金額を必ずしも必要としません。むしろアイデアだけでそれが達成できる場合もあります。
ぜひ、御社も「違い」を生み出すことができないか考えてみてくださいね。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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