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先週の金曜日は祝日ということで、コラムをお休みさせていただきました。
このコラム、くだらない内容も多分に含みますが、結構テマヒマかかっているんですよ。1回書くのに3時間。金曜日は昼過ぎまでこのコラムのために時間をロックしています。なので1週間お休みがあるだけでも実はちょっとありがたいです。
それにしても2009年から書きはじめて13年目。自分でもよく書きつづけているなと感じます。盆と正月、祝日以外は1度もサボることなく書いてきました。具合が悪くても布団の中で書いていました。
なんでそんなにつづけるためにがんばれるのか。
もちろん、書くことがそもそも好きだからということもあります。が、それよりも大きな理由は、そこに「資産価値」があるからだと考えています。
本日は、ビジネスにおける「資産」とはなんぞや、という考察をしてみたいと思います。お付き合いください。
その前に今週のコロコロニュース。今週もサラッと。ツイッターネタばかりで恐縮です。
自社株売っぱらって逃げる、クソのモデルな(モデルのような)社長
それではいきましょう。
●そもそも資産って何?
資産ってそもそも何なんでしょうか?わかりそうでわからない。
「資産といえば?」という質問に、どう答えますか?よくある回答が、
- 家
- 車
- 不動産
- 株
- 金(きん)
などなどかと思います。ではこれが資産??
こういうときは、私はいつも辞書を引きます。ネットは便利ですね。すぐに辞書サイトで調べられますから。さて、資産について辞書ではどんな説明が書かれているのでしょうか?
資産概念の本質に関しては、たとえば、日本の企業会計基準委員会による「討議資料 財務会計の概念フレームワーク」(2006年12月公表)によれば、「資産とは、過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源をいう。」(第3章「財務諸表の構成要素」第4項〔資産〕)と定義され、
日本大百科全書(ニッポニカ)
はい、意味わかんなーい!!!漢字いっぱーい!!!(爆)
ちなみに具体例を交えてもう少しわかりやすく説明すると、以下のようになるようです。
会計上の資産は、貸借対照表上、借方に計上され、企業により支配されている資源のこと。その本質は当該資源から生じると期待される将来の経済的便益である。
具体的には、現金や預金、売掛金や受取手形、貸付金などの金銭債権等のような貨幣性資産と、商品・製品等の棚卸資産、建物や機械などの有形固定資産、特許権や意匠権などの無形固定資産のような一定の方法で損益計算上費用化される費用性資産に分けられる。そのほか、土地や建設仮勘定、子会社・関連会社株式やその他有価証券などの投資勘定のような、貨幣性資産でも費用性資産でもないものもある。
日本大百科全書(ニッポニカ)
もうね、「費用性資産」のところでアウトですわ。どういう意味でしょう?費用なの?資産なの?どっち?セクシーなの?キュートなの?(松浦亜弥)
「費用性資産」って聞いて、昔ヤフーパートナー(今でいう男女のマッチングアプリ的なサイト)で見た、とある50代女性が自分につけた見出し「根っからお気楽、明るい未亡人」をなぜか思い出したわ(笑)。このコピー、今見ても秀逸だな。
ただ、具体例だけつまんでみると、
- 現金
- 預金
- 売掛金
- 受取手形
- 貸付金
- 商品・製品
- 建物
- 機械
- 特許権
- 意匠権
- 土地
- 建設仮勘定
- 子会社・関連会社株式
- その他有価証券
ということらしい。はいはい、なんとなく輪郭を得てきた感じがありますね。
たとえば、先ほどの例でいくと、「家」は「建物」ということになるし、「車」は「機械」なのかな(勘定科目では車両運搬具)?「不動産」は「土地」(正確ではないでしょうけどざっくり)、「株」は有価証券、「金(きん)」はなんだろう??まあ、こんな感じなんでしょう。
世間一般の人からしたら、会社の資産や会計上の資産とかはちょっとどうでもいいかもですね。一般の人は、「資産」と言ったときに「金目のもの」的な意味が強いのではないでしょうか。
と、資産についていろいろ言ってきましたが、実は私の中では資産の定義が明確にあります(さっさと言えと言われそうですが)。
それは、「資産とは、自分のポケットの中のお金を増やしてくれるもの」です。
この定義、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これはロバート・キヨサキという日系アメリカ人が著書「金持ち父さん貧乏父さん」の中で書いていたものです。
ロバート・キヨサキによれば、「家」や「車」は資産ではないといいます。だって、「家」は修繕するお金がかかるし、「車」は駐車場代やガソリン代がかかります。そして、どちらにも「保険」がかかります。
ポケットの中のお金を増やしてくれるどころか、それを持っていることでお金が出ていってしまう。だから資産ではないよ、とロバート・キヨサキはいいます。とてもわかりやすい。
まあ、頭のよい個人投資家的な人なら、車も手放すときに買値と同じかそれ以上で売れるものしか乗らないとか、マンションは東京の山の手線の内側のものしか買わないとかいいますよね(もちろんこれは大げさな話でしょうが)。それなら確かにポケットの中のお金を増やしてくれそう。
●ビジネスにおける資産とはなにか?
では、ビジネスにおける資産とは、先ほどでた会計上のウンタラカンタラみたいなもののことなのでしょうか?
ビジネスにおいても、ロバート・キヨサキ的な資産の解釈の仕方ができないでしょうか?できるとして言い換えるならば
- 会社の利益(内部留保)を増やしてくれるもの
となりそうですが、どうでしょう?
会社の利益を増やしてくれるものって何ですかね?
お客さん?お客さんはたしかに会社に利益をもたらしてくれますね。機械設備などはどうでしょう?製造業であれば、生産が効率化されれば利益をより多く受け取れる可能性が増えますから、資産といって差し支えなさそう。
社員?社員はもたらしてくれる社員とくれない社員がいそうな。。。広告費はどうでしょう?利益をもたらすので資産?ではなぜ経費に計上するのでしょう?社用車は?資産っぽいけど余計なお金もかかります。
もう少し掘り下げてみます。
もしも社員が確実に利益をもたらしてくれるのであれば、その社員は資産といっても良さそうですね(人をモノみたいに扱っているような表現になってしまい恐縮ですが)。もしも打ったら確実にお客さんが商品を買ってくれるなら、その広告(費)は資産?社用車は、社用車がある場合とない場合で利益が多く残るのはどちらかで判断できそうです。
でも、社員は雇ってみないとわからないし、広告も打ってみないとわからないし、社用車ありなしもやってみないとわからない。
ここで思うんですよね。「人」とか「広告(費)」とか「車」とか、モノにフォーカスしちゃうと(人はモノではありませんが)、本質が見えてこないと。。。
おそらく、人であれば「社員」が資産なのではなく、「利益を上げる社員を採用する力やノウハウ」だったり、「どんな人を採用しても一定の利益を上げられる仕組み」のほうがよほど資産価値があるだろうと。
広告であれば「1回打ったら必ず〇〇人以上の問い合わせをもらえる」などがそれに当たるし、車であれば「車にすることでそれ以外の方法よりも利益がより多く残るノウハウや仕組み」が資産ということになります。
で、これって何を言っているかというと、私は「再現性」の話だと思うんですね。
- 何度募集しても良い社員を採用できる
- 誰がやっても一定以上の結果を出せる
- 何度打っても最低◯件の問い合わせが取れる
- どのエリア、どんな営業マンでも車のほうが利益を残せる
1度だけではなく何度でもそれを再現できるかどうか、そこに「これを資産と言ってよいか」「これは資産価値があるのか」というポイントがありそうです。
「ビジネスとは、再現性を見つけるゲーム」
誰が言ったか知らないが、言われてみればたしかにそう思います(空耳アワーより)。
●資産の強さ
車がもし仮に資産だとしましょう。どうしたらお金をもたらしてくれるでしょうか?
はい、簡単です。「売ればいい」のです。
たとえば3,000万で買った高級車を3,500万で売ることができれば、差分500万の利益をもたらしてくれます。
では、マンション投資などはどうでしょうか。
マンション投資は、車のように売り買いにより入ってくるお金だけでなく、家賃収入などがあります。
インカムゲインとキャピタルゲインなんて言ったりしますね。キャピタルゲインは売り買いにより入ってくる収入です。インカムゲインは、その資産を持っていることで入ってくる利益です。家賃収入や株式配当などです。
車とマンション、資産としてはどっちがいいでしょうか?どちらがほしいですか?
これは賛否が分かれるところがあったり、じゃあ家賃収入いくらなんじゃいという設定の問題もありますが、やはりマンションのほうではないでしょうか?
1回あたりの額はもしかしたら車のほうが高いかもしれないけど、長く利益をもたらしてくれる。
こう考えると、資産にも優先順位というか、強さみたいなものがあると思います。
「車のほうがいい。マンションは管理など手間や費用がかかる」
こんな声も聞こえてきそう。なるほど、手間、費用。そのとおりと思います。
たしかに、マンションは仮に毎年100万円の利益をもたらしてくれるとしても、そのマンションを管理するために朝から晩まで働いていたら、普通に就職したほうが実入りは多くなります。そう、資産の強さを測る上で手間と費用は非常に重要なポイント。
ということで、どうでしょう。ビジネスにおける資産の定義(会計上ではない)は、次のようにならないでしょうか?
- ビジネスにおける資産とは、利益をもたらす再現性があるモノ、コトであり、手間と費用がどれくらいかかるか(資産の強さ)でよい資産かどうかを見極めることができる
ちょっと抽象的ですが、こんな感じかと思います。
では、ブランディングやそこで使われるツールなどを資産的に見たらどうなるか、より具体的に考えてみましょう(これが言いたいがために資産の話をしてました)。
たとえば「ブランディング」。ブランディングというとちょっと抽象的なのですが、ブランディングの効果のひとつに「広告費がなくても(または少なくても)お客さんが来る」というものがあります。ブランディングが完成すると、「お客さんが来る」という再現性が出せますから資産といえますし、一度つくってしまえばそこにかかる手間とコストはかなり小さいものになります。なので、非常に優秀な「会社の資産」です。
もう少しドリルダウンして具体的に見てみましょう。
たとえば先ほどから例として出ている「広告(により集客する力)」はどうでしょう。
たとえばビズアップはネット広告で16年営業していますから、広告に再現性があるといって良さそうです。しかし、ネット広告はチューニングに手間がとてもかかりますし、何より広告費がかかります。ビズアップも毎月まあまあな額の広告費を払っていますが、広告だけをいくらつづけてもこの広告費が少なくなっていくことはなく、毎月打ちつづけないと(費用を払いつづけないと)いけません。
つまり、実は資産ではあるけれども、その資産価値は決して高くない可能性があります。強い資産とはいえないかもしれない。まるで車の売買でキャピタルゲインを得ることを毎月やっているような感じかもしれません。蓄積されない。
看板はどうでしょう?もし、お客さんを呼べる看板をつくれたなら、それはかなり資産価値がありそう。
もうかなり昔になりますが、ある自動車修理工場のお客さまがいて、その自動車修理工場の看板をリニューアルしたことがあります。顧客アンケートから入り、見込み客がどんな言葉に反応するかを調べ、キャッチコピーをつくりデザインして看板にした結果、集客はそれまでの2.6倍になりました(母数がお客さまから聞けませんでしたが)。
さて、この自動車修理工場さんはいくらお金を払ったでしょう?額は差し控えますが、少なくとも広告費のように毎月払う必要などなく、一度つくったら毎月お客さんを連れてきてくれるわけです。こうなると資産価値としては相当高いと言えそうです。
ホームページも資産価値がありそうです。必ず問い合わせを取れる(再現性のある)ホームページ。しかし、ホームページは意外と手間がかかったり、数年に一度くらいの割合でリニューアルしないと反応が鈍くなる、などの側面があります。
まるでアパートやマンションのよう。築年数が経ってくると、物件の価値が下がってきますよね。管理やその費用など、手間とコストもそれなりにかかります。
ホームページの中でも、優秀なコンテンツだと資産価値が高いです。たとえば、毎月100,000アクセスしてくれる記事ページなどがあれば、そこからある一定の利益をもたらしてくれます。基本的には一度つくってしまえば手間はかかりません。
このコラムも、書くのに3時間という手間がかかりますが、一度書けばずっと残ってくれて、ハネるコラムが書けると安定的にアクセスを稼いでくれます。そうすることで、SEOで上位表示されやすくなります。
などなど、資産価値の高さはいろいろあれど、ブランディングとそこに関わるツール、アイテム類は、資産である可能性が高いです。
であるならば、なぜそこに投資しないのでしょう?
人がすぐに辞めてしまって、いっつも費用をかけて募集広告を出している会社。何も蓄積していません。蓄積しないから手間とコストがずっとかかります。であれば、自社の理想の人を採用できるCI(理念やビジョンなど)や、それらを掲載した採用ページをつくったほうが、よほど価値が高くないですか?
どうせ社用車が必要なら、広告効果のありそうなデザインで車をラッピングしてしまったほうが、より資産になる可能性は高くなりますよね(もちろん広告効果があればですが)。
自社のお客さまへのインタビュー(アンケート)は、それがあることで他の資産の価値をさらに高めることができる「資産のための資産」です。お客さまの声をパンフレットやホームページに反映させれば、それらはさらに効果が高くなるわけですから。なぜそこに投資しないのかがわからない。。。
ブランディングは資産です。御社の利益を増やしてくれるものです。
そしてなにより、それらの資産のほとんどが固定資産税のような税金がかからないという合法的脱税(?)ができます(笑)
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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