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12月24日、クリスマスイブ。雨が夜更け過ぎに雪へと変わるころ、多くのお父さんはお父さんからサンタさんに変わります。ほんの一瞬ですが。
我が家は3人子どもがおりまして、一番下の子はまだ6歳の女の子です。まさかサンタさんがお父さんだとは思っていないわけです。さすがに長男(中3)と次男(小6)はサンタさんの正体を知っていますが。
我が家の場合、サンタさんの正体は意外な形で長男と次男に知られることとなりました。まずは次男(当時小3)が正体を知り、兄(当時小6)に教えるという逆噴射的な形で認知されたのでした。
小6でもまだサンタさんの正体を知らなかった変わった長男。弟に正体を聞いてうろたえる長男。そんな長男は今年のクリスマスプレゼントは「電動歯ブラシがほしい」という変わった要求をしてきました。センスがおかしい。
ちなみにお父さんはクリスマスにはサンタさんに変身しますが、節分には鬼に変身しますね。我が家は節分を「父親に豆を思い切りぶつける会」だと勘違いしているようです。もっとも張り切るのはヨメです。鬼のお面で隠れない側頭部あたりを狙って豆の剛速球を投げつけてきます。
というわけでしょうもないお話からスタートした今回のコラム、実は年内は今日がラスト。みなさん、2021年はどんな年だったでしょうか?
世の中は相変わらずコ□ナ一色ですが、昨年よりはマシだったかな。マシというのは、2020年よりは思い出ができた、ということです。
人間の記憶は感情に紐づいていることが多いです。「楽しかった」とか「辛かった」とか。2020年はイベントが少なすぎて感情の起伏が少なかった。なので思い出せることも少なかった。それに比べて2021年は多少マシだった、というのが私の感覚です。みなさんはいかがでしょうか。
今週のコ□コ□ニュースは、一次情報(ネットの情報ではない)です。
水曜日にラジオ仲間である経営者の先輩2名と忘年会をしました。「お注射打った?」という会話になり、4人(私と弊社芳村、先輩2名)全員が打っていませんでした。
ところが話はここで終わらず。。。実は、先輩経営者のうち1名はお母さんがお注射を打ってしまい、全身に副作用がでてしまい、いまだに苦しんでいるそうです。そしてもう1名の先輩のお母さんも打ってしまい、そのお母さんはなんと2週間後に亡くなられたと。。。
先輩おふたりはとても気の毒でしたが、実はこれと同じ事例報告は枚挙にいとまがありません。世の中は今、何が起こっているのでしょうか。
ちなみに先々週、昔組んでいたバンドの忘年会をやったのですが、そのバンドは私以外全員打ってまして、ボーカルに至っては「陰謀論とか信じないほうがいいよ」と私に言ってきました。
なんでも彼がTwitterを見たところ、英語の論文をまったく逆に翻訳して広めていた(効果があるのに有害だと拡散していた)アカウントがあったから、ということでした。「英語もわからないバカがこういうふうに風評被害を出しているんだ」と。
私は思いましたね。「あ、こいつ騙すのちょろいわ」と。ボーカルは頭がいいですし英語も話せます。ある広告代理店でアジア最優秀プランナーにもなった経験があります。有名な案件も手掛けています。
そういった人を騙そうと思ったら、わざとこういう間違った情報を流すアカウントをつくればいい。まさかアジア最優秀プランナーが「JUST ONE CASE(そのたったひとつの事例のみ)」で物事を判断するとは思いませんでしたが。。。
かの諸葛孔明は言いました。謀略、策略は相手の知的レベルに合わせないとうまくいかないと。頭のいい人には頭のいい人にあった騙し方が、頭があまり良くない人にはそれにあわせた騙し方があると。レベルの低い騙し方は頭のいい人には通じないが、実はレベルの高い騙し方だからといって頭のあまりよろしくない人に通じるかというと、それも失敗するわけです。マーケティングにも通づるところがありますね。
出だしからちょっと毒はいちゃいましたが、本日は年内最後ということで「ゴールデンサークル」というものについてお話してみたいと思います。
●「ゴールデンサークル」とは?
このコラムでももうバレていると思いますが、私は都市伝説がけっこう好きでして、それはもうコ□ナがはじまるずっと前からいろいろと調べたり考えたりしてきたわけです。
そんな人間が「ゴールデンサークル」というと、「ミステリーサークル的なやつ?」と誤解されそうですが、都市伝説の話ではまったくありませんのでご安心ください(笑)。
「ゴールデンサークル」は、今やかなり有名になったと思いますが、サイモン・シネックという人が考えた理論です。わかりやすい動画があるのでコラムの最後にリンクを貼っておきますが(超絶オススメです)、かんたんに説明すると「ビジネスでも政治でもなんでも、人を動かすにはどうすればよいか」ということを体系立てたものです。
図解したこちらをご覧いただくのが一番わかりやすいと思いますので、まずはご覧ください。
同心円状になっていて、
- Why
- How
- What
と書いてありますね。
Whatは、
- コーヒー
- スマホ
- ロゴ
- 御社の商品
だったりします。まあ、モノそのものというか。
ビジネスに置き換えたとき、多くの企業が、Whatを売り込もうとします。「こういうものつくりました。こんな機能があります」とか。昔(モノの時代)はそれでよかった。売れました。しかし、今はそういう時代ではないです。
ではどうするか。サイモン・シネックは「Whyからはじめなければいけない」と言っています。
たとえばどういうことか?
動画の中にはAppleの例が出てきます。Appleは、
- わたしたちのやることは、世界を変えられると信じている(Why)
- 世界を変える方法は、美しいデザインで、かつ直感的に使える、今までにないデバイスだ(How)
- その結果、このような製品ができあがった(What)
このような順番でメッセージを発信しつづけているからこそ、コアなファンがいて、多くのユーザーがいる、とサイモンは主張しています。
実際にAppleはパソコン屋さんではありません。たとえば「iTunesストア」などがそれにあたりますが、iPodとiTunesストアで、音楽の聴き方、楽曲の購入の仕方という「世界」を「変えて」しまいました。
「Why」からはじめるのは、モノの時代ではない今、より一層必要性が出てきました。しかし、昔から本質的には変わらないともサイモンは言っています。
動画の中には、
- ライト兄弟
- マーチン・ルーサー・キング
など、歴史上の偉人も出てきますが、そういった人たちはすべからく強い「Why」を持っていた、というのです。
たしかに、昔=モノの時代はモノそのものに「Why」がありました。モノが圧倒的にありませんでしたから、「モノの向こう側」を説明しなくても消費者が勝手に「Why」を理解してくれます。たとえば、たべものが腐りづらい箱を買うことで自分たちの暮らしがどうなるか(Why)、ということは説明するまでもなかったわけです。
「良い商品をつくっている!」という自信がある人ほど、「Why」をおろそかにしてしまう傾向があります。理解力の高い消費者であれば「こだわり抜いたモノをつくっている人の想い」という「Why」を自ら感じてくれますから。
でも、やはり消費者が見ているのは「What」そのものではなく「What」を通した「Why」なわけです。モノそのものがほしいのですが、モノをとおして「なぜ私はこの商品を買うべきなのか?」「なぜ私はこの人から買うべきなのか?」という「Why」を見極めているわけです。
そこに気づかないと「What」にばかりフォーカスしてしまう。そして何も言わなくても「Why」を感じてくれる人たちのほうが実際は少ないですから、きちんとそれを伝えなければ今の時代はモノが売れません。
この「ゴールデンサークル」という考え方、実はブランディング(選ばれるための施策)に密接に関係していると私は考えています。本物のUSP(ユニークセリングプロポジション)は「why」にあると思うわけです。
ちなみに私は、「ゴールデンサークル」を考案したサイモン・シネック氏を「心の師匠」と勝手に言っています(笑)
●「コンプレックス」と「原動力」
ここで急ですが、私の昔話をさせてください。少年期、青年期の話です。
実はビズアップの「why」は、私の少年期、青年期の経験が大きく影響しています。いまだに私の行動の源泉は「普通コンプレックス」というものです。どういうことか。
小中学生のころ、私は自分が友人や先輩後輩、先生や親などから「重要な存在ではない」と思われていると感じていました。
人によってはくだらないと感じることかもしれませんが、
- 普通
- どこにでもいる
- 取替がきく
こう思われることがすごくイヤだったわけです。周りの人が実際にそう思っていたかは知りませんが、自分はそう思われていると感じていました。自分を重要な人だと思ってほしい、承認してほしい、という思いが人一倍強かったわけです。
自己愛性人格障害みたいな話ですが、「普通の人」だと思われるくらいなら「変人」だと思われたほうがマシ。「変わっている」はほめ言葉だと本気で思っていたくらいです。
その結果、へんな髪型になってしまいましたし(お会いしたことがある方はわかるかと思います笑)、クリスマスプレゼントに電動歯ブラシをほしがる長男を、実は「なかなかやるやんけ」という思いで見ている自分がいます(汗)。
自分の中には常に、「オレにだって価値がある!」「なんでみんなオレの価値に気づいてくれないんだ!」という思いがありました。
ところが、それを表現できていたかというとそうではありませんでした。
実際の言動は至って普通(汗)。そりゃ、あると思っている自分の価値が伝わるわけがありません。こういった一連の葛藤が「普通コンプレックス」です。
ところが、中学終わりころから高校生くらいになってくると、だんだんと自分の表現ができるようになってきました。
一番のきっかけは高校受験です。好きな子を追いかけて、自分の偏差値より15ほど低いおバカ高校に入学しました。直接的な理由は「好きな子を追いかけて」ですが、「好きな子を追いかけて偏差値を15下げるやつなんて俺くらいしかいないだろう」と、そういう選択をする自分をどこかで「やるやん」と思っている自分がいたとぼんやりと感じています。
これにより、自分の環境が変わりはじめます。高校では勉強が学年で1番になり、中学時代補欠にもなれずコンプレックスを感じていたサッカー部では1年生でいきなりベンチ入り、クラスでも人気者になり(自分で言っちゃいますが笑)、バンドでラジオに出演、推薦で国立大学に合格し、高校の朝礼で「数十年ぶりの快挙」と発表されるなど。
これらの経験を通してどうすれば目立てるのか、どうすれば価値があると思われるのか、ということをつかみはじめました。これは当然、こんなに明確に言語化できるくらいはっきりと気づいたのではなく、体験を通して無意識的に気づいたことです。
そしてビズアップをはじめて気づいたのが、少年期を通して自分は「表現」という力を手に入れていた、ということでした。自分がやってきた活動は、すべて自分の価値を知ってもらい価値が高いと思ってもらうための表現活動だったわけです。ちなみに「好きな子を追いかけておバカ高校に行く」という「選択」すらも表現活動のひとつでした。
文章を書くのが好きなのも、バンドでデビューしかけたのも、バカ高校から現役で国立大学に受かったのも、新卒社員のときにいきなり社長の直部下に大抜擢されたのも、ディレクションのスキルを身につけられたのも、そして何より起業したのも、すべて自分にとって必要な表現活動がもたらした結果だったわけです。
この表現活動は「How」です。自分の価値を知ってほしいと願ってやまない少年が身につけたスキル(How)であり、これを「コアスキル(人生を生きしのいできた力)」といいます。
そして、その結果手に入れた
- 勉強学年1位
- サッカー部1年生ベンチ入り
- 現役でバカ高校から国立大学合格
- バンドで大手レコード会社からアルバムリリース
- 新卒社員で社長の仕事を引き継いで営業成績が(半自動的に)全社1位
- ロゴデザイン専門会社として受注件数日本一
など、これらのものはすべて「what」だというわけです。
あ、ちなみに追いかけていった「好きな子」は手に入りませんでした(爆)。
●ビズアップの例で「ゴールデンサークル」を見てみる
では、ビズアップを例にして「ゴールデンサークル」を見てみたいと思います。私たちはなぜブランディングの会社をやっているのか、どんな価値を提供しているのか、ということに直結しています。
ビズアップの「why」は、良い会社、良い商品なのにその価値を認められていないという会社、人に対して、たまらなくもったいない、悔しいと感じるところにあります。
なぜこんな良い会社がなかなか仕事を請けられないのか、採用に困っているのか、なぜこんなに良い商品がなかなか売れないのか。こういうことを目の当たりにすると居ても立ってもいられないわけです。
なぜなら、それは「普通コンプレックス」で苦しんだ自分が重なりあうからにほかなりません。表現の仕方がわからずもがいていた自分とダブるわけです。
これはお客さまに対してだけではありません。弊社の協力デザイナーに対しても同様で、なぜこんなに腕が良いデザイナーがチャンスに恵まれないのかと感じるわけです。
ここがゴールデンサークルの中心にあるわけです。
なので、私たちの本当の商品というのは、「表現」そのものという「How」なわけです。さらに噛み砕くのであれば「言葉と画(え)」となり、そのお客さまが、商品がもっとも輝ける「言葉と画(え)」こそが私たちが本当に提供したい価値(=商品)です。「選ばれる力」とも言い換えられます。
その結果として、ロゴやパンフレット、ホームページ、タグライン(キャッチコピー)、ネーミングなどの「what」をおつくりしているということです。
図にするとこうなります。
「価値があるのにないと思っている、思われている状態」はいまだに「たまらなくイヤ」です。それが誰であろうと、何であろうと。
そして自分が身につけた「人生を生きしのいできた力」を使って今度は周りの人を救いたいのです。その想いを象徴する言葉が「ブランディング」なのです。
この「why」にこそ、先ほどもお話しましたが本物の「USP」があると考えています。なぜなら「生き様だけはパクれない(by津久井)」からです。
さて、御社の「Why」は何ですか?御社の商品やサービスの「向こう側(「what」の奥の奥)は何ですか?それは言語化できていますか?
今年の最後に、私の座右の銘をお伝えいたします。
私の心の師匠、サイモン・シネック氏の動画をぜひご覧ください。
→ 優れたリーダーはどうやって行動を促すか
2021年はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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