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  • 【第603回】「KJ法」を使って「ブランディング」をもう少しわかりやすく噛み砕きました

2021年12月03日 ブランディング メールマガジン 法則・ノウハウ 【第603回】「KJ法」を使って「ブランディング」をもう少しわかりやすく噛み砕きました

いよいよはじまりました。何がって?

アマゾンプライムビデオ「バチェラージャパン シーズン4」です!ご存じないでしょうか?

「バチェラー」はアマゾンプライムビデオのオリジナルの番組で、世界中で大人気の番組です。カンタンに概要を説明しますと、ひとりのイケメン金持ち超ハイスペック男性を20人の女性が奪い合うという、これだけ聞くと下品で仕方ない番組です(笑)。

ところがですね、見てもらうとわかると思いますが、これが思った以上に面白い!私はシーズン1から、そしてスピンオフの「バチェロレッテ(男女入れ替わった版)」もすべて見ています。今回のシーズン4はシーズン3から2年経っています(間にバチェロレッテがあった)。

さまざまな人間模様が見て取れます。それこそドロドロな面や女性のウラと表の顔、あざとさなどなど。

これらを見て「面白い」というと相当歪んだ人間だと思われるかもしれませんが、いや、これ多分人間の本能に直結しているんじゃないかなと本当に思います。騙されたと思って見てほしい(シーズン1から見ることをおすすめします)。

私なんかバチェラーにはなれませんが「ローズセレモニーごっこ」をやりたいくらいです(見ていない人からはなんのこっちゃという感じでしょうが)。ちょっとでもバチェラーに近づけるように、体づくりのためにワタクシ最近ヨガに通いはじめました。

まあ「バチェラーになりたい」というのは冗談で、本当は睡眠時無呼吸症候群を治すために通いはじめました。痩せ型なのに寝ているときに息が止まっているようです。。。

通っているヨガは会社の近くにある「ホットヨガLAVA」です。他のヨガスクールも検討しましたが、ポイントは通いつづけられるか(1年間はつづけたい)。「立地」と「講座の時間帯」の2つがポイントでLAVAを選びました。

LAVAの講座は1時間のものが何コマもあって、それぞれにさまざまなタイトルがついています。その中から、自分のスケジュールに合わせて行ける講座、行きたい講座を選ぶ形になっています。

ただ、通いはじめてみないとわからないことというのもやはりあって、自分が行ける時間帯の講座名が「愛と癒やしのクリスマスヨガ」とかだとめっちゃ申し込みづらい(汗)。

考えても見てください。バチェラーのような超ハイスペック男性がそういう講座でヨガをやるなら「黄色い声」のひとつも飛んできそうですが、変な髪型した45歳のキモいおっさんが恥ずかしいくらいの汗をかいて「愛と癒やしのクリスマスヨガ」をやっていたら「キモい声」しか飛んできません(泣)。くそー、バチェラーめー(逆恨み)。

さて、今月もどうでも良い話からはじまってしまいましたが、コロコロニュースは軽めに。。。


実際のツイートはこちら

では本題に行きましょう。本日はブランディングについて。

ビズアップではブランディングの定義を「選ばれるための施策全般」としていますが、これは汎用性を高くするために抽象度(後述)マックスくらいの定義にしています。

「選ばれるための施策全般」とだけ聞いて自らブランディング活動をできる、バチェラーのようなハイスペックな人もいるでしょうし、やはりもう少し具体性がないとイメージが湧かないという人もいると思います。

なので、本日はもう少し噛み砕いたお話をしたい。

加えて、本日はちょっとした「思考法」みたいなものも合わせて紹介します。今回、「ブランディング」についてもう少し具体性を持たせるためにやったのが「KJ法」という思考法。

ちょっと話があっちに行ったりこっちに行ったりするかもしれませんので、以下に本日の目次を書きます。

●「KJ法」とは?
●具体と抽象の話
●KJ法を活用した理由
●どんな答えがでたか
●選ばれるための施策(ブランディング)にはどんなものがあるか

では張り切っていきましょう。

 

●「KJ法」とは?

「KJ法」は、ひとことでいえば「発想法」です。設定したテーマを集団で思考し、そこから何かしらの答えを発想する、というような。

抽象度が高くてわかりづらいかもですが、方法をお伝えするとイメージがわくと思います。

  • テーマを設定する
  • そのテーマに沿って、各人が自由に思い浮かべ、カードなどにひとつずつ書き留めていく
  • 思いつく限りカードを出して良い
  • それらのカードをグルーピングする
  • 何かしらの結論を導き出す

「KJ法」のプロからするともっと正確で細かいやり方があるようなのですが、私がグロービスという経営学校で教わったのは超ざっくりですがこんな感じです。

たとえば先日ビズアップで行ったのは「ブランディングといえば?」というテーマ。切り口や抽象度は自由で、ひたすら書き出します。ビズアップではカードではなく少し大きめのポストイットを使いました。

書き出したポストイットはグルーピングしながらホワイトボードに貼っていきます。当然同じような回答もでてきますが、同じグループとしてまとめていきます。

まとめた結果、以下のような感じになりました。

ちなみに「KJ法」は川喜田二郎さん(文化人類学者/東京工業大学名誉教授)という方が考えたから「KJ法」らしいです。そこのネーミングはもっといいの思いつかなかったんかい。。。

 

●具体と抽象の話

グルーピングにはちょっとしたコツというかが必要です。それは、ちょっとむずかしい言い方をすると「抽象度を見極める」ということです。

「抽象度」って何か?この言葉自体が抽象的でとっつきにくいですよね。でも実際はそれほど難しいものではありません。

例を挙げましょう。猫の「みいちゃん」がいるとします。みいちゃんは三毛猫です。で、猫ってネコ科の哺乳類ですよね。そして哺乳類は動物です。動物は生物です。これを順番に並べましょう。

  • 生物
  • 動物
  • 哺乳類
  • ネコ科
  • 三毛猫
  • みいちゃん

という順番で並べられます(本当はほかにも「食肉目」とかありますが)。三毛猫はみいちゃん以外にもたくさんいます。そして三毛猫意外にも茶トラとかキジトラとかいっぱいいます。そして茶トラのトラちゃんとかキジトラのきーちゃんとかそれぞれいるわけです。

つまりは下に行けば行くほど個別具体的で、上に行けば行くほどカテゴライズされていきます。この場合、上に行けばいくほど「抽象度が高い」といい、下に行けば行くほど「抽象度が低い(具体的)」ということになります。

小学生の時の算数から、中学にいくと数学に変わって、「x」とか「a」とか「b」とか文字が出てきて、高校に行くとさらに変な文字がでてきて、大学までいくともはや暗号。

これって何をやっているかというと、抽象度を高めていっている、となります。抽象度が高ければ高いほど汎用性があり、何にでも当てはまりやすいです。

奇数は1.3.5.7.9・・・といった具合ですが、抽象度が高い状態だと「2n-1」と表せます。これですべての奇数(nは整数)を表していますので、汎用性が高く、そのかわり少し抽象的になる、というわけです。

昔、大学の友人が家庭教師をやっていたときの教え子は、はじめて解いた方程式の答えがx=3だったがためにxはすべて3だと思い込み、学校のテストの方程式の問題の答えを全部3にしたというツワモノがおりましたが(笑)。バチェラーのような男になっていてほしい。

話はだいぶそれましたが、「KJ法」では、さまざまな抽象度の事柄を挙げていきます。

たとえば先ほどの「ブランディング」をテーマにした例では、「ブランディングといえば?」の質問に、「差別化する」という答えもあれば「ルイヴィトン」という答えもでてきます。「哺乳類」と「みいちゃん」が両方出てくるようなものです。

なので、グルーピング化していく上で、微妙に抽象度のレイヤー(層)が違うものを上手に取り扱う(上位概念、下位概念をつけながらグルーピングする)必要があります。

前述のとおり「ブランディングとは選ばれるための施策全般」というのは抽象度がかなり高いため、汎用性はあるけど具体性に欠けます。そこで、KJ法を使ってもう少し具体化してみようというのが今回の試みなわけです。

余談ですが、私が本当に頭が良いと思っている人は、具体と抽象のキャッチボールが早くて上手な人です。右脳と左脳の行き来が早い(強い)とも言いかえられます。

 

●KJ法を活用した理由

「KJ法」は集団で考えるという点が重要なポイントだと考えています。ひとりで思考する方法もあれば集団で思考する方法もある。どちらも一長一短あると思います。

今回ビズアップで「KJ法」を用いてブランディングについて考察したのは、以下のような効果を狙ってのことです。

  • 津久井が思いつかない視点からの答えを見つけるため
  • 考えたプロセスをチーム全員で共通認識とするため
  • このコラムのネタになるから(爆)

「津久井が思いつかない視点からの答えを見つけるため」というのは、「KJ法」を使う最大のメリットでしょう。個人では視野が狭くなるのが人間です。集団で考えたときに、ある人が出した答えが

「え!そんな答えもありなの?じゃあこれもありだよね?」

といった具合に他の人の発想をアシストすることが往々にしてあります。

ひとりでは思い込みや思考のクセから勝手に考えの「制約条件」を設けてしまいがちですが、集団でやることでこういった制約条件をスムーズに外すことができるわけです。

つづいて「考えたプロセスをチーム全員で共通認識とするため」というのはどういうことか。

これは、ブランディングについて津久井がすべて言語化して構築するよりも、そのプロセスを社員に体感してもらったほうが、納得度やその後の記憶の定着が格段に上がるということです。そして納得度や記憶への定着が強いほど、実践でそれを活用する可能性が高くなります。

津久井がつくったものを覚えて活用するのは「勉強」のイメージが近いでしょう。対して自分たちで体験・体感したものは自発性がそこにあるので、勉強よりもむしろ遊びやスポーツの感覚が近いと考えます。

実際に私を除く5名が「KJ法」に参加しましたが、全員がやらされ感ではなく楽しみながらやっていました。

さて、最後の「このコラムのネタになるから(爆)」に関してはコメントを差し控えさせていただきます(笑)。

 

●どんな答えがでたか

では、ビズアップが行った「KJ法(テーマはブランディング)」はどのような答えが集まり、どのようにまとまったのでしょう。先ほどのホワイトボードの写真だけだと文字が見えないと思いますので、以下にテキストとして載せてみたいと思います。

もっともこれらは最終でまとめる前のもの(ホワイトボードの写真の状態)ですので、「こんなアイデアや答えが出たんだ」程度の参考にサラッと読み流していただければと思います(少し読みづらいですがご容赦を)。ブランディングに関する総括は後述します。

★差別化
┗ 差別化
┗ポジショニングの明確化
┗ 人と違うことをやっている
┗ 独自のサービス展開
┗ ポール・ギルバート
┗ タレントやキャラクターを利用している
┗ レディオヘッド
┗ 専門
┗ ダイソン
┗ らしさの表現
┗ 芸能人そのもの
┗ たけし
┗ タモリ
┗ ダウンタウン
┗ 原石を磨く
┗ 進化
┗ 強みは何かを理解する/強みをつくる
┗ らしさの表現

★歴史・文化をつくる
┗ 歴史をつくること
┗ 継続すること
┗ 名物
┗ 山梨のシャインマスカット
┗ コシヒカリ

★ジャンルをつくる
┗ 音楽
┗ ダフト・パンク
┗ ゴールデンボンバー
┗ 京アニ
┗ ディズニー
┗ プルデンシャル生命

★在り方
┗ スタンス
┗ 自社とはの追求
┗ 会社のCIをつくる
┗ ビジョン
┗ ミッション
┗ 理念

★権威/評価
┗ すごい実績をもっている
 ┗ チーム
  ┗ ニューヨークヤンキース
  ┗ レアルマドリード

★洗脳/信者化
┗ ビジョンに共感する
┗ 仲間を見つける/育てる
 ┗ キングコング西野
┗ 宗教
 ┗ ウソ
 ┗ 想像
 ┗ 偏見
┗ 教育
 ┗ お客さま
 ┗ 社員
┗ 叶えたい世界を実現するための手段を明確にする
┗ ハイエンドであること
 ┗優位性
 ┗ 高級/高級感
  ┗ ハイブランド
  ┗ エルメス
  ┗ マルジェラ
  ┗ ルイビトン
 ┗ 高級車
  ┗ フェラーリ
  ┗ ベンツ
  ┗ マセラティ

★効果
┗ 経営を支える
┗ 売上や利益を上げる
┗ 広告費効率が高くなる/広告費がいらない

★付加価値
┗ ロゴだけで売れる
 ┗ シュプリーム
┗ 会員制/「誰でも」ではない

★機能美
┗ 機能美
 ┗Apple

★媒体価値
┗ ディズニー
┗ 少年ジャンプ
┗ 売れる芸能人
┗ 銀座
┗ 六本木

★ファン化
┗ 関係性をつくる
┗ ファンをつくる
 ┗ ディズニー
 ┗ ハーレーダビッドソン
┗ ヨコに広げる
┗ かけ合わせる
┗ 佐藤可士和

★時流
┗ 美しい
┗ かっこよさ
┗ ターゲティングの構築
┗ かっこいいデザイン
┗ おしゃれなデザイン

★表現方法のひとつ
┗ デザインの一貫性
┗ トンマナをそろえる
┗ 世界観をつくる
┗ 自社を言語化する
┗ 同じものを身につける
┗ 見え方のコントロール
┗ 習慣

★想いを形にする
┗ ロゴをつくる
┗ パンフレットをつくる
┗ ホームページをつくる

★失敗しない/妥協させる力
┗ 安心感が高い
┗ 品質が高い
┗ しまむら
┗ ユニクロ
┗ 「とりあえず〇〇」

★記憶に残っている
┗ 考えずに選ばれる
┗ 習慣化させる
┗ 記憶に残っている
┗ 記憶
┗ 第一印象
┗ 印
┗ 引力
┗ キャッチフレーズが頭に残る
┗ 多くの人に知られている
┗ みんなが知っている
┗ 目立つ
┗ 何かしらで目立つ
┗ 想いを伝える
┗ 広告


いかがでしょうか。これ、私含む6名が15分くらいでポストイットに書き出していったものです。たった15分ですが、けっこうな量のアイデア、答えがでるものなんですね。ダブりもありましたから、ポストイットの数は実際はもっとたくさんあったということになります。

 

●選ばれるための施策(ブランディング)にはどんなものがあるか

さて、ここからさらにまとめていきます。まとめるとは、抽象度の高低やカテゴライズを整理するということです。

と、その前に。。。ブランディングの大前提をお話します。ブランディングには以下の2種類があります。

  • 内向きのもの:インナーブランディング
  • 外向きのもの:アウターブランディング

「アウターブランディング」という言葉は実際にはほとんど使われていなくて、いわゆるみなさんが想像する一般的なブランディングがこれにあたると考えて差し支えありません。

対してインナーブランディングというのは、企業のコーポレート・アイデンティティを策定したり、社員教育をしたりといった、社外ではなく社内に対して行うものです。

これらはもちろん両方大切です。会社をひとりの人間に例えるとわかりやすいです。

インナーブランディングは、メンタル(心)、性格を磨くものだとお考えください。どういう自分でいるべきか、人に対してどう在るべきかなどです。

対してアウターブランディングは身なりや身だしなみを整えるとお考えください。人間であればもちろんイケメンであるとか美人であるなど、素材そのものが良いことも十分ブランディングになります。なのでバチェラーはイケメンなのです(悔)。

身なりがよくとても美人だとしても、性格が悪ければ付き合いたくない、結婚したくないという人が多いですよね。対して、どんなに性格が良くてもやはり自分の好みの見た目ではないとお付き合いはちょっと、という人も多いはずです。

つまり、内向きにも外向きにもブランディングをしっかりするというのは、人間でいえば内面も外見も自分を磨き上げるということにほかなりません。そう考えると必要性を感じていただけるのではないでしょうか。

また、人によってはそれこそ弁護士や医師となりセルフブランディングをする人もいるでしょう。社長になるというのもそうかもしれません。

これも企業も同じで、たとえばISOを取得するとか上場するとか、小さいところではプライバシーマークを取得するなど、一見デザインと関係ないこともブランディングの要素になりえます。

それを踏まえて、「ブランディング=選ばれるための施策全般」には以下のものがあるということになります。インナーブランディングに寄与する、アウターブランディングに寄与する、どちらにも寄与する施策があります。

★差別化する(「差」ではなく「違い」で勝負する)
┗ポジショニングの明確化
┗ 他社が扱っていないことをやる
 ┗ 独自の商品展開
┗ 専門になる
┗「らしさ」を表現する

差別化とは、「あそこのラーメン屋よりうちのほうがおいしい!」ではなく、「あそこのラーメン屋とうちのラーメン屋は明らかに違う」ということを明確にすることです。

ライフネット生命は、営業マンを入れずにネットだけで集客し、営業マンの人件費を価格に反映させるというポジションを取りました。ビズアップは創業当時から「デザイン会社」ではなく「ロゴ専門デザイン会社」として他社との違いを出してきました。

また、他社と同じ商材を扱っていても「らしさ」を磨いて表現することで他社との違いを出している企業もあります。面白法人カヤックやWEB制作のLIG、アババイといった会社がこれにあたります。

★歴史・文化をつくる・活かす
┗業歴の長さを活かす
 ┗ 例
  ┗創業100年
  ┗明治◯年創業
  ┗Since 〇〇年
┗文化をつくる
 ┗例
  ┗「謝罪はとらやの羊羹」
  ┗ハーレーダビッドソン
┗名物になる
 ┗例
  ┗ご当地グルメ
  ┗B級グルメ
  ┗コシヒカリ
  ┗山梨のシャインマスカット

「(業歴が)長いだけで十分ブランディングになる」とは、独立前にメンター的な人に言われたセリフです。日本には伝統ある企業もたくさんあり、たしかにそれだけでブランディングになっています。文化をつくるのはなかなか一筋縄ではいきませんが、これがつくれると非常に強いです。

「名物になる」もこのカテゴリに入るでしょう。ご当地グルメなどは自社だけでなくエリアで協力することも可能です。

「ハーレーダビッドソン」は先ほど「ファン化」のカテゴリで記載しましたが、実際は「ただの高級バイク」ではない(ある種コミュニティ化されている)のでもはや文化だなと。

★ジャンルをつくる/ジャンルになる
┗例
 ┗2.5次元ミュージカル
 ┗ディズニー
  ┗ランド
  ┗アニメや映画
  ┗キャラクターやそのグッズ
 ┗京アニ

ジャンルになる、ジャンルをつくるのは、これも一筋縄ではいきませんがブランディングとしては強力です。2.5次元ミュージカルは、元ネタはマンガなどの2次元でありこれをミュージカルという3次元で舞台化したことからこのようなコンセプトでもありネーミングとなりました。

また、ディズニーは一見やっていることがバラバラです。アニメをつくっているのか、テーマパークをやっているのか、ぬいぐるみなどのグッズ屋さんなのか、はたまた。。。通常であればあれもこれもと手を出してそれを同じブランド名で行うことは、ブランディングとしては悪手と言われます(アル・ライズというブランディングの大家の理論)。

ところが、ディズニーはもはや「ディズニー」というジャンルとしてブランドが認知されているためうまくいっていると考えられます。

★権威になる
┗圧倒的な実績を持つ
 ┗例
  ┗業界No1
┗難しい資格を持つ
 ┗例
  ┗弁護士
  ┗医師
┗メディアに出演する
 ┗例
  ┗専門家

人間は権威に弱いです。

特に日本人は弱い(今回のコロコロ禍でよく分かったと思いますが)。政治家や弁護士、医者といった権威の代表格みたいな職業の人には残念ながらとっても弱いし、子どものころには「学校の先生」や人によっては「親」なんかも権威の象徴だったかもしれません。

つまり「あえて権威になりにいく」というのは有効なブランディングのひとつといえます。自分や自社が「業界の第一人者」となれる業種、商品は何か、という視点から逆算して事業を起こすのは有効でしょう。

★高級・高価にする
┗例
 ┗ハイブランド
  ┗エルメス
  ┗マルジェラ
  ┗ルイビトン
 ┗高級車
  ┗フェラーリ
  ┗ベンツ
  ┗マセラティ
  ┗マイバッハ
 ┗腕時計
  ┗ロレックス
  ┗ウブロ
  ┗リシャール・ミル
  ┗パネライ

いわゆる「ブランド」と言ったとき、多くの人がこのカテゴリを連想すると思います。「高級・高価であること」こそがブランディングだと思っている人も少なくありません。

しかし、私から言わせると、これはブランディングの手法のひとつでしかありません。人間は自然と価格で品質を思い込みます。高いものこそ質が良いと(上記の例のブランドはもちろん質もよいのでしょうけど)。

上記のようなブランドは、ここまで来ると広告を打たなくてよい、もしくは広告の費用対効果を考えなくてよい、というレベルです。ここまでブランドを育てるのはもちろんたいへんですが。。。

日本人は権威に弱いので、「海外の知る人ぞ知る高級ブランド」といえば一定数が反応しそうです(昔歌手の逆輸入が流行ったことがありますが、同じ構図)。

★信者化する
┗仲間を見つける
 ┗ビジョンを明確にする
 ┗ビジョンを見せる(共感させる)
┗育てる/教育する
 ┗お客さま
 ┗社員
┗ファン化する
 ┗ロゴだけで売れる
  ┗例
   ┗シュプリーム

「ブランディング」と聞いて、少し勘の良い人だと「ブランディングとはファンをつくること」とか「お客さんを信者化すること」と答えます。これもブランディングの重要な要素のひとつです。有名な話ですが「儲かる」とは「信者」と書くくらいですからね。

宗教なんかも言い方によっては「ブランド」です。キリスト教なら十字架というロゴマークもあります。聖書というのは優秀なブランディングツールで、ブックマーケテイングで広まったのがキリスト教ではないかと推測します。あとは賛美歌なんかもブランディングツールのひとつ。会社なら「社歌」ですね。

★希少性を出す
┗お客さまを選ぶ(「誰でも」ではない)
 ┗例
  ┗会員制〇〇
┗お客さまをランク付けする
 ┗例
  ┗航空会社
  ┗クレジットカード
┗限定にする
 ┗数量限定
 ┗予約限定

会員制高級クラブなどはお客さまを選びます。高級車マイバッハなんかも普通の人だとカタログすらもらえないと聞いたことがあります(かなり昔なので今はどうか知りませんが)。航空会社は利用頻度に応じてお客さまをランク付けしますし、ブラックカードなどもやはり一部の人しか持つことを許されません。

人間は「選ばれたい」「特別扱いされたい」「重要な人物と思われたい」という欲求がありますので、お客さまを選んだりランク付けしたりえこひいきするのは、ブランディングにとっては実はかなり効果的。

生産数をあえて絞るのも有効ですし、予約が来年まで取れないお寿司屋さんなどは、少ない席数で1日2回転くらいしかさせないなどの策で希少性を出しています。

★媒体となる/媒体(価値)を利用する
┗媒体となる/媒体価値を高める
 ┗各種メディア
  ┗芸能人
  ┗場所・土地
   ┗銀座
   ┗六本木
   ┗ショッピングモール
┗媒体(価値)を利用する
 ┗各種メディアに出る
  ┗テレビ
  ┗新聞
  ┗雑誌
 ┗芸能人を使う
  ┗広告に芸能人を起用する
  ┗芸能人が購入、来店する
  ┗社長が芸能人と仲が良い
 ┗土地の価値を利用する
  ┗例
   ┗銀座に出店する

ブランディングの大家アル・ライズは「ブランディングはメディアに出て完成する」と言っています。媒体というのはものすごく強力なのです。

今回のコロコロ騒動も然りですよね。メディアによって世論はいくらでもコントロールできてしまうため、政治家は国民ではなくメディアを向いて仕事をしなければならず、国民は政治家を責めても何の意味もありません。国を支配しようと思えばメディアを支配すればOK。そのくらい強力。

で、ここでポイントなのは、何もテレビや新聞などだけが媒体ではないという点です。

わかりやすい例で言えば「土地」。銀座や六本木はそれだけでブランドです。この媒体価値を利用するならば「銀座や六本木にお店を構える」となり一定の効果があります。地方の人にとっては「東京」そのものがブランドだったりもします。

逆に東京の人間にとっては地方そのものがブランドです。「東京」のブランドイメージと方向性が違うだけで、地方も立派なブランドなわけです(北海道などを連想するとわかりやすいでしょう)。

他にも芸能人はもはや媒体そのものとも考えられますので、「芸能人御用達」なども効果が高いです(特にBtoCにおいては)。

★「失敗しない」を提供する
┗みんな一緒
 ┗例
  ┗しまむら
  ┗ユニクロ
┗大成功はないが失敗はしない
 ┗例
  ┗ファミレス
  ┗大量生産のお土産
┗失敗してもたかが知れている
 ┗安売りで選ばれる
  ┗例
   ┗100円ショップ

実はこれ、あまり気づかれていないのですが日本人にものすごく効果的なブランディングの手法です。日本人は「ムラ社会」「みんないっしょ」「失敗が怖い」「嫌われたくない」という傾向がとても強いです。

たとえば、はじめていく土地でおいしいかどうかわからない入りづらそうなお店とその隣にファミレスがあったとすると、多くの人がファミレスに入ります。大成功はないけども失敗もないことを知っているからです。旅行など、好奇心や冒険心が高ぶっている状態であればまだしも、はじめて行った営業先の知らない土地で昼食を食べる、などの場合はその傾向は顕著です。

お土産なども同様で、渡す人との関係性にはよりますが、大抵の場合、より無難な「一定基準を満たした大量生産のお土産」が選ばれます。「好かれもしないけど99%の人に嫌われないお土産」とも言い換えられます。

★好感を持たれる
┗見た目に好感を持たれる
 ┗デザイン
  ┗美しい
  ┗かっこいい
  ┗おしゃれ
 ┗機能美
 ┗一貫性を持たせる(トーン&マナー)
 ┗コンセプトをつくる
  ┗世界観をつくる
┗メッセージ(言葉)で好感を持たれる
 ┗自社を言語化する
  ┗タグラインを作成する
 ┗コンセプトを明確にする
  ┗世界観をつくる

これも「ブランディング」といったときに多くの人が思い描くイメージです。「これ」とは「見た目を良くする」「言葉をつくり、磨く」=「好感を持たれる」ということ。実際にこれらはビズアップの仕事の主要な部分でもあります。

抽象度の整理という点でいうとここが少しむずかしいというか。。。デザインや言葉をつくることは、今まで挙げてきたカテゴリ、たとえば「差別化する」とか「高級・高価にする」などのための「手段」なのか、それともデザインを良くしたり言葉を磨くことそのものが「目的=カテゴリ」となりうるのか。

答えは「どちらもある」ということになります。なので整理が難しい。デザインや言葉を磨くことはブランディングにおいては「手段」であるとともに、それそのものが「目的」でもあるというわけです。

ちなみに人間は「好感」を持つものに対して信用、信頼をしたり品質が高いと感じる性質を持っています。これがデザインや言葉を良くすることが「目的」となる理由です。

 

以上となりますが、まだまだ他にも「ブランディングとは?」の答え(カテゴリ)はあると思います。今後も随時追加していきたいと思います。

ちなみにおわかりかと思いますが、これらはどれかひとつだけで成り立っているということは少なく、複数の要素が絡み合っていることがほとんどです。たとえばフェラーリなど一部の高級車は「高級・高価」「希少性」の両方の要素を利用しています。

一応これらをまとめたマインドマップの画像を載せておきますね(見づらいと思いますが)。。。

さて、思いの外長いコラムになってしまいましたが、今回はテーマが大きく2つありました。

  • 思考法/発想法
  • ブランディングとは

ひとつのコラムにテーマが2つ、これはあまり良いことではないのです。「キーメッセージはひとつ」がこういったコラムや企画提案のプレゼンなどで効果的な言葉の使い方です。が、今回はあえてチャレンジしてみました。

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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