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こんにちは。
ロゴ作成専門ビズアップ 津久井です!
https://www.biz-up.biz
いよいよ本日午後から、Go Toキャンペーンが東京発着分も割引販売を開始します。
年末には年を越せない、越さない企業が大量に出てしまうと言われる中、経営をつづけることに対し希望を失わずにいてくれる経営者が少しでも増えることを願ってやみません。
まだまだどんな世の中になるかはわかりませんが、なんとか食らいついていきましょう。夜明け前が一番暗い。これを凌げば一段も二段も高いステージを目指せる会社になると信じて。
さて、今週のコロナプチ情報です。
インフルエンザの患者数が例年に比べてびっくりするくらい少ないらしいです。その数、なんと3人(汗)。2019年の同時期はおよそ3800人が発症していたことから、今年は例年の1000分の1だそうです。
これに対して各メディアは「新型コロナの感染予防対策が功を奏した」という論調ですが、私自身はそうは思っていません。PCR検査がいい加減で、新型コロナ以外の感染症も「陽性」になってしまうと言われるからです。つまりインフルエンザの感染者を新型コロナとしてカウントしている可能性が高いということです。
2月か3月ころに、フジテレビの「ワイドナショー」という番組で感染症の専門家が言っていたことが忘れられません。
当時はまだ武漢での感染も拡大中で、新型コロナに関しての注目は中国、つづいてヨーロッパでした(もちろん日本も)。そんな中、感染症の専門家が「アメリカの今年のインフルエンザ患者数がものすごい数になっている。そのうちの一定割合は新型コロナ感染者だと思う」と言ったのです。「キー局でそんなこと言って大丈夫なのか!?」と思ったものです。
もしそれが本当なら、アメリカでの新型コロナ流行はタイミング的には武漢での感染確認よりも前になります。
アメリカでも感染者を水増しすることで医者がお金をもらえるようになっていたりなど、さまざまな状況証拠から考えれば、インフルエンザの患者が新型コロナと診断されていると考えるほうが自然でしょう。ちなみにこの現象はインフルエンザに限らずアデノウイルスなどでも同様に確認されています(今年の患者数が異様に少ない)。
「いやいやそれでもインフルは今年は3人しか感染していないのに新型コロナは毎日数百人感染するんだから、やはり気をつけないとでしょ」
と思われた方、ちょっとお待ちください。実は考える基準が違います。本来、感染症は以下のポイントで数値を把握すべきです。
- PCR陽性者
- 感染者
- 発症者(患者)
- 重篤者
この4つの中で、新型コロナはなぜか「PCR陽性者」を「感染者」として行政が発表しています(まずはこれをやめさせないといけない)。しかし、厳密な定義ではまったく違います。「感染者」と呼ばれているのに大量に無自覚無症状が出るのはこのためです。そして、インフルエンザの「3人」は「発症者(患者)」です。
これって、経営にもまったく同じことが言えます。だいたいが
- 数値を正しく把握していない
- 比較対象を間違えている
ことにより必要のない失敗やピンチをいつの間にか招きます。でも数値を正しく把握できない人はイコール現状を正しく把握できない人なので、もしそれが経営者なら打ち手を間違えます。景気のせいにしたりなにかのせいにしたりする人もいるでしょう。
何週か前にもメルマガでお話しましたが、新型コロナ騒動を経営者なら「感染したらどうしようという恐怖(感情)に流されず、きちんと現状把握する(データを読み解く)ための訓練」と捉えるべきだと考えます。大切な社員やその家族、ひいては日本を守るために。
さて、本日のお話。本日は「ヒット商品」の法則についてお話してみたいと思います。
「MAYA段階」
という言葉を聞いたことはありますか?聞き慣れない言葉かと思いますが、ヒット商品を生み出すにはこの「MAYA段階」を理解することが大切だよというお話です。
●MAYA段階とは?
デザインにおいて、デザイナーと一般の方々(デザインに関わる仕事をされていない方とします)との間には、「感性のライン」とも言うべき境界線のようなものが存在するというのをこの仕事をする前からずっと感じていました。
ビズアップはのべ18,000社以上のお客さまからロゴのご依頼をいただいてきましたが、ビズアップ創業前の早い段階からこの「感性のライン」の存在を認識していました。そして起業したことで当時漠然としていたものが少しずつ輪郭を得るようになってきていた中、確証に変わったのが「MAYA段階」という言葉を知ったときです。
デザイナーの感性が行き過ぎると、一般の方々には理解ができません。
その行き過ぎた感性でパッケージデザインや広告等々をつくっても。一般の方々が理解できないので売上には貢献しません。パッケージデザインや広告は最終的には売上に貢献することがツールミッション(C)ですから。
なのでデザイナーの感性が正しいかというと一概にそうとは言えず、結果(売れたかどうか)を持ってしか正しさは証明できません。
この「感性のライン」、ずっと漠然と持っていてやっと輪郭を得てきたとお話しましたが、私がそれに気づくずっと前からすでにそれを提唱していたのが「MAYA段階」という言葉を考えたレイモンド・ローウィという昔のデザイナーです(すでに亡くなっています)。
当時、レイモンド・ローウィがデザインした商品はほとんどがヒットしていて、高額でのデザインの依頼がたくさん来ていました。
- シェル石油のロゴ
- 不二家のロゴ
- ナビスコリッツのパッケージ
- タバコのラッキーストライク
- タバコのピース
他にもたくさんあるんですが、こういったものが彼のデザインしたものでそのほとんどはまだマイナーチェンジ程度しかされていないものばかりです。
実はこのメルマガによく登場する私の師匠、伊吹卓先生は、このレイモンド・ローウィの最後の弟子と言われていたそうです。伊吹先生はデザイナーではありませんが、売れるデザインを研究するに当たり最終的に行き着いたのがローウィだったようです。
私自身、「MAYA段階」を知ったのはローウィについて調べようとWikipediaを見ていたときでした。その中に「MAYA段階」の表記があり、雷に打たれたような衝撃がありました(わりと大げさではなく)。
「MAYA段階」はある英文の頭文字を取ったものです(伊吹先生の「メリコの法則」も頭文字ですね)。
「Most Advanced Yet Acceptable」
この英文を訳すなら、「受け入れられるか受け入れられないかギリギリの前衛、先進性」みたいな意味です。Wikipediaには「消費者の中に潜む「新しいものの誘惑と未知のものに対する怖れ」との臨界点」とあります。
さて、「デザインの話か」と思われたらお待ちください。
これがどうやらデザインに限った話ではないということがわかってきたのです。
●「感性のライン」はデザインに限った話ではない
実は「感性のライン」がデザインに限った話ではないということも前からうすうすは気づいていました。
私は一応、元バンドマンでして名前を聞けば誰でも知っているような大手のレコード会社からフルアルバムをリリースしたことがあります(インディーズでしたが)。
私たちのバンドは、
- ミュージシャン仲間
- ライブハウスの店長やスタッフさん
- 音楽に詳しい人
- その他音楽関係者
などにかなり評価されていました(自分で言うのもどうかと思いますが)。でも、全然売れませんでした。評価してくれるのはその道の人ばかり。ちょっとマニアックだったんですね。
その時から感じていたんです。
自分たちがつくりたいものと、オーディエンスが聞きたいもの、2つの間には隔たりがあると。行き過ぎた感性は聴衆を「ポカン」とさせるだけだと。
デザインの話の例になりますが、師匠の伊吹先生は、
「売れるデザインが知りたければ、スーパーに1日立っとけ」
という人でした。
そこで、サラリーマン時代の私は仕事を抜けだしてスーパーが忙しい時間帯(夕方5時くらい)に売り場に数日立っていたことがあります(さすがに1日中はしんどかった)。当時の社長に「お前どこで何やっとんじゃ!」と電話で怒られたりもしました。
まがりなりにもデザインのディレクションをやっている人間です。
「何が売れるか = デザイン的な優劣(と当時思っていた)はわかるぜ」
と思っていました。
しかし、自分がデザイン的に良いと感じるデザインではないパッケージデザインの商品が売れていきます。正しいと思っていた自分のデザインセンスは、「売れる」という目的の前では正しくありませんでした。
この「ライン」は前述のとおり、デザインにかぎらず他の業種や商材にもある、と私は考えています。
たとえばお笑い芸人もそうです。
彼らが本当に面白いと思っていることとテレビの前のお茶の間の人々が笑うポイントは違うわけです。特にゴールデンタイムの番組の笑いは広く浅い層にウケるように出演者も放送作家さんも考えます。「楽屋ネタ」なんていう言葉があること自体がそれを物語っています。
アパレルで言えば、パリコレなどは完全に「感性のライン」のはるか向こう側過ぎて理解できません。「それ着て街は歩けないだろ」的な。
映画なんかもそうですよね。
プロや映画関係者、映画オタクが評価するからといって興行的に成功するとは限りません。
料理も同じではないでしょうか。
行き過ぎた感性の料理、たしかに食べたら美味しいのでしょう。でも、居酒屋のほうがお客さんの数は多いです。みんな、焼き鳥や煮込みが好きなんです。
家などの建築物もやっぱり感性のラインがありますよね。
渋谷駅の東急線の乗り場付近をデザインした安藤忠雄氏は、一時ネットでかなり叩かれていました。利用者の利便性より自身の感性(たいてい行き過ぎている)を優先させてしまったからです。
簡単に言えばビジネスに限っていえばこの「感性のライン」をギリギリ超えないところがヒット商品となるということなんです。
●御社のお客さまの「感性のライン」はどこにある?
御社の商材にもこの「感性のライン」はありませんか?それはどこなのでしょうか?
私はレイモンド・ローウィのことを師匠の伊吹先生から聞いていました。伊吹先生から聞く以外のローウィに関する知識はあまりありませんでした。
しかし、以前たまたま購入した本にローウィのことや「MAYA段階」のことが書いてあって、しかもヒット商品の原則は「MAYA段階にある」とまで書いてあってまたまたびっくりしました。
→ ヒットの設計図 ――ポケモンGOからトランプ現象まで デレク トンプソン (著)
本にはこう書いてあります。
人間はつねに
- 新しいもの好き
- 新しいものに対する恐怖
の両方を抱えている生き物で、心の中で常にこの2つの心理が綱引きをしている状態だと。
そして、
- 最適レベルの新しさ
を求めている、ということなんだそうです。
言い換えれば、「なじみ感」と「驚き」の両立です。ここが「MAYA段階」だということです。新しさは十分でも売れていなければ「なじみ感」が足りないということになり、「なじみ感」が十分でも売れていなければその商品には「驚き」が必要ということです。
先週のメルマガでお話した「進化系」についてもMAYA段階で説明できます。すでに受け入れたことのある商品がデザインやその他で「進化」しても、既知の範囲に収まっている可能性が高いから理解できる(=恐怖を感じづらい)。
この感性のラインをうまくコントロールしている日本の企業があります(私の推測ですが)。
日本人ならほとんどが知っているアパレル企業「ユニクロ」です。
私はわりと洋服が好きです(パリコレとかは意味がわかりませんが)。なので、そこそこ洋服屋さんに出入りします(メチャメチャ詳しい訳ではありません)。
オシャレな洋服のブランドやセレクトショップ、ファッション誌などは言い方を変えると実は「教育者」と言えます。
何を教育しているかというと、感性を教育しています。「新しいけど怖くないよ〜」的な。
これは社会全体の「感性のライン(MAYA段階)」を押し上げている、とも言えます。
アパレル業界の「教育者」たちが教育し、それを理解できる人が増えることで「最適レベルの新しさ」は少しずつ押し上げられます。
ではユニクロは教育者なのか?
私の推測では答えは「No」です。ユニクロは「刈り取る者」です。
人々が教育されてきたころを見計らって、同様のデザイン、シルエットの商品を安く大量に提供する。
そうして常にボリュームゾーンを取りながらターゲットに対しては「ハイセンスだ」と感じさせる、これがユニクロ手法だと考えます。
ユニクロが有名になりはじめたころ、店に行く前のはじめの印象は「安くてダサい服を売っている店」でした。「ユニバレ」という言葉があったくらいです。ユニクロを着ているのがバレることで、それが恥ずかしいことだと若者が感じる時代があったのです。
今は実際に行ってみると、
「お、こんな感じの服がこの価格なら買いだな」
と思わせる商品がけっこうあります。
ただ、私の個人的な感覚で恐縮ですが、「やはりユニクロはビミョーだな」と思わせる期間と、「ユニクロなかなかやるじゃん!」と思わせる期間が交互に来るんです。
洋服好きな人にとってこういう現象が起きるのは、ユニクロがタイミングを見計らって教育が完了した人(メインターゲット)を刈り取っているからだと考えています。
私のように少しファッションが好きな人は、そうではない人より教育されるのが早いです。なので、次のブームに行くのも早い。つまり私はユニクロにとっては正確にはメインターゲットではないわけです。
ユニクロはゆっくり教育される人、最後に教育される人をすべて刈り取ってから(こちらがメインターゲット)、次のブームがまた教育されはじめたころにそれと同じようなシルエット、デザインの服を安く売りはじめるのです。
「最適レベルの新しさ」をターゲットの教育され具合に合わせてコントロールしているわけです。
その証拠に、ユニクロはロゴに関しても同様のことをしています。
こちら、ユニクロの現在のロゴと少し前のロゴです。
どちらが好きか嫌いかの好みはあると思います。
特筆すべきは、どちらのロゴも同時期にできていたこと。
その際、デザイナー界隈の会話ではみんな口をそろえて右、つまり現在のロゴのほうがよいと言っていました。「なんでダサいほうを使うんだ?」というようなことをデザイナーの多くは言っていたのです。
しかし、そこがさすがユニクロです。
右のロゴはまだ多くのメインターゲットが感性的に追いついていない(教育されていない)MAYA段階のだいぶ先だった、つまり、ターゲットとなる人にとっては「新しすぎて怖い」と思われる可能性があった。だから左のロゴを採用した。
そして、数年前にそろそろよいタイミングだろうということでロゴをリニューアルしたと私は推測しています。
さて、
- 今の商品を見直す
- これから新商品をつくる
という場合は、ターゲットの求める「最適レベルの新しさ」がどこにあるのかをぜひ検討してみてほしいです。
どうやって「最適レベルの新しさ」を知るかは簡単です。
- 既存のお客さんや見込み客に徹底的に聞きまくる
- 商品が売れる現場を観察する
私が師匠の伊吹先生に教わった、時間はかかるけどとっても簡単な方法です(笑)
そして先ほど紹介した本を読むと、どうやらそれはレイモンド・ローウィも徹底的にやっていたことだったようです。
感性のライン「MAYA段階」は「最適レベルの新しさ」であり、ヒット商品の大原則だというお話でした。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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