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Logo column

2016年05月06日 メールマガジン ロゴデザイン 所感 【第329回】東京オリンピックエンブレム選考結果についての一考察

2016年07月15日掲載開始

こんにちは。
ロゴ作成専門ビズアップ 津久井です!
https://www.biz-up.biz
ゴールデンウィーク真っ最中ですね。
弊社はシフト制でお休みを
いただいております。
具体的には、
赤日ではない2日か6日どちらかを公休にし
連休を取る、というスタイルでして、
2日、6日どちらも必ずスタッフがいることで
会社としては稼働できるようにしています。
私はメルマガがあるので
本日ではなく2日を休みにしました
(ちょっと出社しましたけど)。
29日(金)もお休みでしたから、
6日(金)までお休みにしてしまうと
2週連続でメルマガをサボってしまう
ことになります。
ちなみに
今年のゴールデンウィークは
特にどこにも行かず。
もっぱら
長男のサッカーチームの応援や
お手伝いなどをしていました。
今年の頭に
小学校のクラブチームに
別のチームから移籍した長男。
小学校のクラブチームは
親も渾然一体となって(?)
チーム運営をしなければならず、
息子のサッカーの応援どころか、
運動会にも来たことがない父親のもとで
育った私にとってはなかなかの苦行です(笑)。
でも、
長男が試合でゴールを決めたときに
自分がこんなにうれしい感情になるとは
想像もつきませんでした。
そんなこんなで、
明日の夜は小学校のクラブチームの
お父さんとコーチだけ集まって呑み会。
明後日の朝は
お父さんだけ集まってサッカー大会。
午後、子どもたちの練習。
なんか生活スタイルが
変わってきたような。。。(苦笑)
さて、
本日出勤にしてメルマガをお届けするのには
もうひとつ理由があります。
ついに東京オリンピック2020の
エンブレム(ロゴマーク)デザインが
決定しましたね。
これについて、
話題が古くなる前に
一度触れておきたかったのです。
今回採用のロゴマーク、
あなたはどう思われますか?
テレビでは
最終4案に絞られた時点で
たくさんの番組が報道していました。
各局、街頭アンケートなどで
どの案が採用されてほしいかなど
一般の人へもリサーチしていましたね。
あなたはどの案が一番だと感じましたか?
自慢をさせていただきますと、私は
・A案が街頭アンケートでは一番不人気
・だけどA案が採用される
というところまで言い当てました。
なぜ言い当てられたかというと、
10,000社以上のご依頼をいただき、
さまざまなお客さまと接してきた
経験からくる独自のロジックがあるからです。
今回、
4つの最終候補案を見た人は
ざっくりと以下のとおりに別れます。
●1.A案を選ばなかった人
●2.A案をはじめから選んだ人
●3.A案の成り立ちを聞いて、良いと感じた人
さて、
あなたは1〜3の
どこに当てはまりましたか?
ひとつずつ解説してみましょう。
●1.A案を選ばなかった人
テレビの街頭アンケートでは
A案が一番不人気でした。
ということは、ほとんどの人が
このA案を選ばなかった1番に
該当するというわけです。
街頭アンケート結果の数字は
各社バラバラでしたが、
A案が一番不人気だったことは
間違いありません。
ネットで調べたところ、
アンケート結果の数字が出ているのは
神戸新聞のサイトだけでしたが、
そこではA案を選んだのは
・14.4%
だそうです。
ということは、
10人に聞いても1人か
多くても2人くらいしか
A案を選ばないわけです。
A案を選ばなかった1番の方の多くは
デザインに関わる仕事をしていない方だと考えます
(多少はデザイン関係者もいると思いますが)。
すごく乱暴な言い方をすれば
一般的な感性を持っている方々です。
もちろん、
それが悪いとは決していいません。
これは
来週のメルマガのネタにしようかと
思っているのですが、
音楽、お笑い、新しい技術などなど
デザインに限らず、多くのものには
「プロやマニア」と「一般の人」との間に
とある「ライン」があります。
たとえば、
お笑い芸人は楽屋での会話と
テレビで演じるのとでは
笑いに使い分けが必要です。
楽屋でウケたネタが必ずしも
テレビで受けるとは限らないわけです。
これも
プロとアマとの間にある
ラインが引き起こす現象です。
もっと言えば、
ゴールデン番組と深夜番組でも
狙う笑いを使い分けています
(僕は深夜番組の笑いが好きです)。
今回のオリンピックロゴに関しても、
A案と他の3案の間にはそのラインがあります。
だから、
A案が一番不人気だとわかったのです。
プロやマニアに認められるものでは
人気の最大値は獲得できないわけです。
なお、ここで言いたいのは、
では
プロやマニアの感性のほうが正しいのか、
というと必ずしもそうではない、
ということです。
それは
「ロゴの目的による」ということになります。
今回A案が選ばれたということは、
結果的には
「多くの人の賛同を得るためにつくられたロゴではない」
ということを物語っています。
もし審査委員会が
「多くの人の賛同をA案で得られる」
と思って選んだなら、
それははっきり言って選考ミスです。
そうなると問題の本質は
不人気のA案が選ばれたことよりも、
そもそも「ロゴの目的」が多くの人に
伝わっていないことですね。
この「ロゴの目的」については
プロである私でもはっきり言って
わかりません。
ここがはっきりしないと
1番の「A案を選ばなかった人」は
ずっと釈然としないと思います。
●2.A案をはじめから選んだ人
デザインが好きな方、
もしくはデザインに関わる
なんらかの仕事をしている方が
はじめから
A案を選んでいる可能性が高いです。
A案のロゴの特徴は
・単色でシンプルな色使い
・ソリッド(堅め)な印象
・シンプル(単純な形の組み合わせ)
と言えます。
こういったロゴは
デザインに詳しかったり
好きな方が好む傾向にあり、
ビズアップにご依頼をいただくお客さまでも
こういうテイストをご希望される方は
概ねデザインがお好きな方です。
私の好みの話で恐縮ですが、
私はこのA案はキライではありません。
ただ、
不人気だということはよくわかります。
個人的には
もう少し華やかな色使いはできなかったのか
(単色でなくても良いと思う)、
市松模様はとてもすばらしいけれども、
この形にすべきだったのか、
他の形はなにかないだろうか、
と思いますが、
色を除いた全体のテイストと
市松模様というアイデアは好きです。
さて、
ここで要注意なのは、
デザインが好きな人、
デザインに詳しい人が選ぶからといって、
こういったデザインが「正しい」という
ことにはならないということです。
はっきり言うと、
こういうデザインは今現在は
デザイン業界で主流であるだけです。
「主流」の「流」は「流行」の「流」。
つまり乱暴な言い方をすれば
私は流行りのひとつでしかないと
考えています。
この先10年、20年、
もっと先になったときに
このテイストのデザインが
主流であるかは個人的には
疑わしいと思っています。
音楽でも何でもそうですが、
流行りの音楽が好きな人もいれば
ハードロックなどのコアなファンも
いまだにたくさんいます。
若くても演歌が大好きな日本人だっています。
結局は「好み」。
「好み」に優劣はありません。
優劣を
つけるとしたら「目的」が必要です。
オリンピックロゴが
A案で「正しいか」どうかは、
やはり「ロゴの目的」がすべての鍵を
握っているわけです。
さて、
なんでA案が採用されると
はじめから分かったかというと、
審査委員会の半分が
デザイン関係者だからです。
そして、
デザインに関してはデザイン関係者
(しかも業界の重鎮多数)に言いくるめられたら
残る半分のスポーツ界での大御所たちも
おそらく聞く耳を持たざるをえないだろう、
こう考えたからわかったんですね。
ちなみにこちらが最終選考の結果です。
→ http://bit.ly/23tztJf
特質すべきは、20票中
A案が13票取っていることよりも、
街頭アンケートで一番人気だったB案が
1票しか入っていないことです。
このことからも
審査委員会でどんな会話がされていたか
なんとなく私は想像がついてしまいます。
●3.A案の成り立ちを聞いて、良いと感じた人
さて、
A案のロゴの成り立ちはご存知でしょうか?
このロゴですが、
オリンピックロゴ、パラリンピックロゴともに
同じ数、45枚の四角形が使われているのですが、
この45枚の四角形は実は
3種類しかありません。
3種類、計45枚の四角形だけで
2つのロゴが成り立っています。
また、
オリンピック、パラリンピックどちらのロゴも、
四角形の角度を変えずに(回転させずに)、
移動だけで(組み替えだけで)違う形を
表現しています。
こちらの動画を
見ていただくとわかりやすいです。
→ http://bit.ly/1ZkAjXG
さらにさらに言えば、
Twitterでは以下のようなつぶやきもあります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エンブレム、うちの教授が分析しとった。
大きな24角形とその対角線から出来る12角形。
それぞれの長方形は
その12角形の頂点をお結んだもの。だと。
見つけ出すのに3時間かかったって。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さてさて、
いろいろな謎がこのロゴにはあり、
一筋縄ではいかない構想、設計が
あったということがよくわかります。
この「ロゴの成り立ち」は
テレビやネットでもさんざん騒がれたので
ご存じの方も多いと思います。
3番目の方は、
こういった成り立ちに感心されて
それを持ってしてすばらしいロゴだと
考えられる方々です。
こういった方々は、
・ロゴができる上でのストーリー
・ロゴのコンセプト
などなど、
どちらかというとロジカルな面に
反応されて良さを感じられる
ケースが多いです。
たとえば
ロゴが好みのデザインだとしても
ウラのロジックがまったくないと
「良い」と判断しない、ということも
あります。
逆に、
あまり好みではないとしても
コンセプトやストーリーを聞いて
すばらしいロゴと判断することもあります。
今回のオリンピック、パラリンピックのロゴ、
前述のとおりとてもスゴい構想、設計があります。
しかし
気をつけなければならないのは、
こういったロジックを聞いた上で
「だから何??」
というリアクションもあるし、
決して間違ったリアクションではない、
ということです。
ロジックがあるから優れたデザインだ、
というのは本当でしょうか?
これには私は個人的には疑問です。
ロジックがなくても
すばらしいデザインはいくらでもあります。
ロジックがあるからすばらしいデザインも
またたくさんあります。
これは単純に好みの問題です。
なので、
審査委員会がもしもロジックが
すばらしいということを
選考結果の判断基準にしていたら、
それはどうかと思います。
あくまで判断基準の一要素として
あるのは良いのですが、
そのためにロジックがないデザインを
低く評価するのはちょっと的外れというのが
個人的な見解です。
理屈がなくても、またはわからなくても
感動する音楽や写真、絵画、小説等は
たくさんあります。デザインも同じです。
というわけで、
何が言いたいかというのが
わかりづらいメルマガに
なったかもしれませんが、
どのデザインが正しくて
どのデザインが間違い、というのはない、
あるとすれば
「ロゴの目的」が明確なときだけで、
今回はそこがわかりづらいのが残念だ、
というお話でした。
最後に余談ですが、
お笑い芸人、キングコングの西野さんがつくった
オリンピック、パラリンピックロゴ案、
個人的にはメッチャ好きです。
このロゴが
オリンピックのエンブレムとして
向いているかどうかは「ロゴの目的」次第ですが、
デザインとしてはメチャメチャ好きです。
キングコング西野さんがつくった
オリンピックエンブレム
→ http://bit.ly/24AX1OQ
今回はここまでです!
津久井
好評いただいてます。
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雑談レベルで構いません!
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   担当:津久井
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投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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