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突然ですが、目がかゆいです。異常にかゆい。
ワタクシ、毎年この季節になると目がかゆくなります。Facebookで自動的にあがってくる昨年の自分の投稿を見ると、まったく同じ日に目がかゆかったことがわかります。
今までは花粉症だと思っていたんです。季節外れの。「ひのきだと思うよ」なんていろいろな人に言われていたので、人に言うときは「高級なほうの花粉症です」と伝えていたんです。
でも、最近違う気がしてきた。「黄砂」なんじゃないかって。
私の場合は目ですが、喉をやられている人も多いし、喘息が出たとか、熱を出す人なんかもチラホラまわりにいます。
というとりとめのない話でしたがコロコロニュースを。1つだけ。
今までは打たなければ問題なかった。今度は自分が打たなくてもおかしくなる世界初の注射です。日本でつくっています。
しかし大企業もここまでくると志を失うんですね。
私たちは「お金がないと生きていけない」という前提を疑う時期に来ているかもしれません。でないと、生活のために人に迷惑をかけたり人の命を脅かすことをしなければならなくなるわけですから。
さて、本日のお話です。
最近、「サトマイ」というYouTuberのチャンネルをよく見ています。
サトマイさんは「統計のお姉さん」というコンセプトで活動していて、今や36万人の登録者を誇るYouTuber。ビジネス系、教育系でこの登録者数は相当すごいのではないかなと思います。
で、本日はサトマイさんとその師匠が出ていた動画が面白かったので、というか私が普段からこのコラムでいっていることとかなり被っていたので、そのあたりを紹介します。マーケティングやブランディングの話です。
●社内のメンバーの心理的安全性を計測する方法
前述のように、サトマイさんは「統計のお姉さん」というコンセプトで活動するYouTuberですが、どんな動画を配信しているかも含め、見せてしまったほうが早いですね。こんな感じの人です。
結構強烈なサムネイルが並んでいますよね。キャッチーでとてもよく考えられていると思いますし、私がどの動画を視聴したかもよく見るとバレます(恥)。
サトマイさんは話もわかりやすくてとてもおもしろいです。
私は1年前くらいからこのチャンネルを知っていてたまに見ていましたが、お注射を勧めるようなタイトルの動画を見てしまい、敬遠していました。
ここ1週間くらいでまたよく見るようになりましたが、やはり統計やデータをもとに話している回は面白い(たまにデータ含めて根拠が若干弱いなと感じることもあります)。
見ていて非常に面白かったし学びになった話がいくつかありますので、ここで少し紹介してみたいと思います。
ちなみに私は今、マネジメントにハマっていて、というかめっちゃ勉強するようにしていて、マネジメントよりの話が多いですがご容赦ください。
サトマイさんの動画で知ってさっそく実践したのが、「社内や部署内の心理的安全性を調べる方法」です。
これは1〜3分程度で終わるような7問のアンケートに答えてもらうだけのかんたんな方法で、それでその会社のメンバーが心理的安全性を感じている程度や傾向がわかるというものです。
アンケート内容は以下のとおり。
次のアンケートに1点から7点の点数をつけてください(よく当てはまる場合は7点、当てはまらない場合は1点)
- ミスしたら、決まって咎められる。(R)
- メンバーが困難や難題を提起することができる。
- 他と違っていることを認めない。(R)
- 安心してリスクを取ることができる。
- 支援を求めにくい。(R)
- 私の努力を踏みにじるような行動を故意にする人は誰もいない。
- 私ならではのスキルと能力が高く評価され、活用されている。
メンバーに点数をつけてもらったら、それを集計します。「(R)」となっている設問は、点数をひっくり返します。たとえば、1問目の点数が「6点」だとしたら、(R)なので(おそらくリバースの略と思われる)「2点」になるというわけです。
これ、とてもいいです。全体の点数を見るもよし、設問ごとに切り分けてみるもよし。部署間で差異があるかを調べるのも有効です。
みなさん、やってみてください。自分の会社がどの程度なのかは他社と比べないとわからないので、比べっこしましょう。
ちなみにうちの会社は4問目の「安心してリスクを取ることができる。」が低かったです。仕事柄ミスは許されない(印刷物などでミスったら大変)ということもありますし、私がとても厳しいと思われているのかもしれません(汗)。
もうひとつ、サトマイさんの動画で知ったマネジメントにおいてみなさんに役立ちそうなものをご紹介。
ノースウエスタン大学の研究で「チームのパフォーマンスに影響を与える要因」というものがあったそうです。
その研究でわかったこととして、チームの生産性に影響を与える要因は3つあると。それは「心理」「行動」「認知」だということらしいんですね。
で、それぞれ解説すると、「心理」は「モチベーション」という言葉に代表されるようなもので、メンバーのメンタルを高めたり、落ちているメンタルをフォローしたり、それこそ心理的安全性を高めたりといったものです。
「行動」は「行動管理」で、メンバーが決まった数の「〇〇」をしているかを管理することです。「〇〇」は「アポ」だったり「訪問」だったり、「電話」だったり、です。
たとえば、アウトバウンドコールのマーケティング会社であれば、「ひとり1日200本の電話をさせる」などがそれにあたり、マネージャーはなんとしてもそれをメンバーにやらせ切ります。これが「行動」。
で、生産性に一番影響を与えたのは、「心理」でも「行動」でもなく、最後の「認知」だそうなんです。その差は、「心理」「行動」に重きを置くチームの生産性の2倍以上。
心理的安全性を調べるアンケートを紹介しておいて恐縮ですが、生産性を高めようと思ったらそこ(心理)じゃないと。。。
もちろん心理的安全性が大事なわけじゃないし、高いに越したことはないですが、それだけだと生産性ががっつり高まるわけではないということなんですね。
では「認知」とは何なのか。動画の中では「自分たちはどこに向かっていて、どんなフェーズにいるのか?なぜこの取り組みをしなければならないのか?」だと解説しています。
まさに、経営理念やビジョンの言語化であり、経営陣とメンバー間でのこういった「認知」のズレをなくすことが生産性向上につながると。
で、私はこれは何も経営理念やビジョンなどだけのことではないと考えています。私がよくコラムでいっている「フワフワ語」などもそうですし、じゃあ「生産性」って何を指すの?どういう状態ならいいの?などもそうです。
たとえば、「営業とは?」とか。売っている商材や業態、業界などにより、一口に「営業」といってもその解釈は様々なわけです。認識がマネージャーとメンバーの間でズレていたとしたら、成果が上がりづらいことは想像に難くないですね。
他にも、同じ仕事をさせてみたらAくんは10分で、Bくんは30分でそれを終えた、みたいな場合、当然Bくんのほうは「仕事が遅い」です。
しかしながら、Bくんは自分の仕事が遅いという認知をしていない(だから30分かけてしまう)というケースもあります。
この場合、基準値をつくるなどして、認知をあわせます。「この仕事は10分が基準だよ」と名言化するわけです。そうしてはじめてBくんは自分の仕事が遅いと気づき、10分で終わるように自分の仕事ぶりを改善しようという意識が芽生えるわけです。
先ほどの心理的安全性のアンケートもそうです。「安心してリスクを取ることができる」とありますが、では「リスク」とは何なのかの認知がきちんとされているかは重要です。
おそらく「失敗」と「ミス」の違いが正しく認識(認知)されていないから、「怖くてリスクが取れない」ということなんだと私は考えています。言葉って本当に大事。
ちなみに動画の中では、「スタバはサービスマニュアルがなく、新人研修にかける80時間のうちの多くの時間をミッションやバリュー、行動指針の理解を促すことに割いている」と伝えています。
より高次というか、抽象度の高い、経営の本質に近いところの認知の共有に時間をさいているのがスタバということですね(私はスタバ行かない派ですけども)。
●サトマイさんの師匠が、私とほとんど同じことを言っていた件
で、今回はサトマイさんの動画の中でも師匠と対談している動画をご紹介したいと思います。
サトマイさんの師匠はどうやらマーケティングとかブランディングのプロのようです。
今回ご紹介する動画は、「サトマイさんがYouTuberとしてなぜ成功したか」や「YouTuberで成功したいならこうしろ」的な動画ですが、これがなかなかどうして、YouTuberとしてだけでなくすべてのビジネスに共通するような話なんですね。
簡単に言えば、師匠がアドバイスしサトマイさんが実践したことは
- 市場規模やトレンドがあるかを調べた
- 見た目(第一印象)をしっかり整えた
- 切り口、ポジショニング、差別化をした
ということでした。ざっくりですが解説してみたいと思います。
まずは「市場規模を調べた」です。私、YouTuberのことはあまり詳しくないですが、今だとやはりYouTubeの中での市場規模(検索数など)を調べてくれるツールがあるそうですね。
YouTubeでは20万回以上の平均再生数(アベレージビュー)がある語句は市場が大きいまたはトレンドがあると判断できるようです。
これはリアルビジネスでも同じですよね。時流に乗っている業界なのかや市場規模がどのくらいあるかを知れば、うまくいったときにどのくらいの成果が出せるかがシミュレーションできます。
これらをYouTuberの業界でもデータとして取ることが今の時代はできるということですね。
ちなみにサトマイさんの師匠の方は、「データに基づいた判断はなんだかんだいって外さない(打率が高い)」と言っています。その中で面白い例を出していました。
スーパーなどの店内BGMのBPM(曲の速さ、テンポ)が遅いほうが売上が上がるんだそうです。曲のテンポが遅いと、人々は歩く速度も遅くなるそうです。その結果、店舗滞在時間が増えて、購買につながるんだそうですね。オモロー。
つづいて、見た目、特に第一印象を整える、です。
この話は私が普段からこのコラムでしている話とほとんど同じことを言っていてびっくりしました。たぶんサトマイさんの師匠はこのコラムを読んでいるな(笑)
どんなことかというと、ミシュランを取ったシェフがつくった料理を、ひとつは紙皿に、ひとつは高級なお皿に盛り付けて同じ値段で売ったとき、どちらが売れるでしょう、というもの。
当然後者なわけですが、これはいつも私が言っている「デザインの無拒否性」の話です。「超高級レストランのシェフがつくった料理でも、ビニール袋に無造作に放り込まれていたら人は残飯だと思う」というものです。
行動経済学的には結局は見た目、パッケージが大事と動画で語られています。これも普段から私が伝えていることと同じ。
商品やサービスを体験するまでは見た目しか判断基準がないから、見た目をおろそかにするのは機会損失ですよ、とこのコラムでお伝えしてますね。
で、YouTuberの場合はその見た目、第一印象は「チャンネルのホーム画面」だそうで、ここを徹底的に磨くんだそう。なぜなら、ユーザーはチャンネル登録しようか悩んだ際に、まず最初にこのページを見るからだそうです。
これもです。私が普段言っていることとまったく同じです。「お客さんが自社のどこに一番最初に接触するか?」を見つけ、それを「入口デザイン©」と名づけ、入口デザイン© から徹底的に磨け、と私は以前からお伝えしてます。
3つ目が「切り口、ポジショニング、差別化をした」ですが、これもまったく同じことを言っていました。
先週のコラムでも、それ以前のコラムでも何度もお話してますが、「本当の差別化は、差ではなく違いを出すこと」というのを「師匠」も動画で語っています。
で、サトマイさんの場合はその切り口、ポジショニング、差別化ポイントが、「女性なのに統計学」という点にあるということでした。
統計学といえば確かに男性のものに感じますよね。「男性名詞」という感じ。余談ですが、私は言葉には性別があると思っています(一部の言語には名詞には性別がありますよね)。
それはまさに「統計学は男」みたいなことです。「ビール」も女性も呑むにも関わらず男性名詞。なので、ビールのデザインはたとえ女性も呑む、女性が買うとしても男らしいものでないと売れません。
話を元に戻すと、女性が統計学について語るというギャップ、違和感は差別化ポイント(違い)になると、だからチャンネルがうまくいくと、師匠はこれをわかっていてはじめからこのチャンネルがうまくいくと感じていた、ということだそうです。
では、この差別化のポイントになるようなポジショニングや切り口はどのように生まれるのでしょうか?
それには「ラテラルシンキング」が必要だと動画では語られています。
●体がトカゲ、顔はおっさんというキャラをどうして思いつけるのか?
「ラテラルシンキング」とは何かというと、私もあまり聞いたことがない言葉だったので調べたのですが、「固定観念や既成概念にとらわれない、水平思考による物事の考え方」だそうです。
たとえば、動画の中では「ひとつのりんごを3人で均等に分けるにはどうしたらよいか?」というラテラルシンキングの例題が紹介されていました。
サトマイさんはロジカルシンキング(統計学)が得意なだけあって、「重量を計測する」と回答。これはド直球なロジカルシンキングなわけですが、ラテラルシンキングになると「ミキサーでジュース状にして分ける」となるそうです。
これって私は「ジャンプシンキング」という言い方をしていましたね。
動画では「考え方は3つ、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングとラテラルシンキングだ」と語られていますが、私の中ではクリティカルシンキングはロジカルシンキングの中のひとつで、ラテラルシンキングはジャンプシンキングだと解釈しています。
で、ラテラルシンキングには9つの切り口があるそうですが、どの切り口だとしても前提となるのが「前提を疑え」ということなんだそう。
これもこのコラムで散々言ってきたことなんですよね。
ちなみに「前提を疑え」ということではクリティカルシンキングも前提を疑います。ロジカルシンキングは与えられたデータが「絶対に正しい」として考えを進めていきますが、クリティカルシンキングは「そもそもそのデータ、本当に正しいの?」のように、「その前提でほしい答えに本当にたどり着くの?」とか、「だったら前提から見直そう」、「問題の再設定からしたほうがいいのでは?」というもので、どちらもロジカルには考えるわけです。
対して、ジャンプシンキング(ラテラルシンキング)は、あらゆる制約条件を取っ払ったり、一見ありえないような馬鹿げたことでもテーブルの上に出して考えを進めます。ロジカルシンキングやクリティカルシンキングが数珠つなぎに思考を進めるのに対し(この2つはチェーンシンキングともいう)、ジャンプシンキングはまさにぜんぜん関係ないところに思考を飛ばします。
よい切り口やコンセプト、ポジショニング、差別化を考える際には、ジャンプシンキング(ラテラルシンキング)のような思考が必要というわけです。まあ、両方必要だと思いますけどもね。
で、この「ラテラルシンキング」がめちゃくちゃ得意な人たちがいます。それがお笑い芸人です。特に時代やカテゴリをつくってきたお笑い芸人はこの傾向が顕著です。
その代表格は松本人志(まっちゃん)でしょう。
私はお笑い近代史的には時代は3つあると思っています。で、それぞれにコンセプト(名前)をつけています。
- ズッコケ(家族団らん)の時代:ドリフターズなどに代表される
- 悪ふざけの時代:ビートたけしやとんねるずがその代表
- シュールの時代:ダウンタウンがその代表
まずは「ドリフ大爆笑」や「8時だよ!全員集合」に代表されるような、家族揃って見る番組で、かつボケたらズッコケる、というのがお笑いの主流だった時代があります。
その後「天才たけしの元気が出るテレビ」や、とんねるずの「生でダラダラいかせて!!(通称生ダラ)」などの時代に移ります。
悪ふざけの時代は私の青春時代でもありました。今ではたいていのドッキリは芸人がかかるものですが、当時は「素人にここまですんのか!」というくらいのドッキリを仕掛けていた、まさに悪ふざけ度合いがすごい時代でした。
素人を素っ裸にしてゲレンデをソリで滑らせたり(「更衣室からソリで露天風呂に滑って行く」とダマされている)、狭い路地を100人で津波のように押し寄せて素人をパニックにさせたり、入れ歯でヨボヨボのおじいさんを肝試しで驚かせたり(エンペラー吉田)、今では放送倫理で引っかかるのではという悪ふざけで本当に笑い転げていた、まあある種不適切な時代でした。
ここまではわりとチェーンシンキングというか、ズッコケの延長に悪ふざけがあるという感じです。
そしてダウンタウンが登場します。当時のまっちゃんはまさにジャンプシンキング、ラテラルシンキングの天才のような人だったと思います。
だって、それまでは「体はトカゲ、顔はおっさんの生き物がホームレスをしている」なんていう設定は誰も発想できないわけです。料理の先生が教えるポルトガルの家庭料理の名前が「スタンディングインフォメーション」とか思いつかないわけですよ。「アフリカの国の国歌斉唱が延々とつづく」のがなんで面白いと思えるのか(つまりコントとしてやろうと思えるのか)、当時の芸人たちには理解不能だったと思います。
なので、「ラテラルシンキングを学びたければお笑い芸人」というのは、あながち間違っていないのではないかというのが私の仮説です。
で、サトマイさんはこの発想が苦手なようですね。やはりロジカルシンキングの人。
たとえば動画の中で「インターネットの動向として、文字→音声→動画、次に来るのは?」という質問には回答ができていませんでした(答えは「AI」です)。
与えられたデータをもとに分析をすることはできても(もちろんこれはすばらしいスキル!)、「前提を疑う」ことが弱いとどうなるか。
それは「統計学的にお注射を推奨する動画」をつくってしまったように、「与えられたデータが正しい」という前提に囚われてしまうということです。「厚労省のデータだから正しい」とかね。
クリティカルシンキングやラテラルシンキングができると、ここを上手に疑えるんですけどね。
とまあ、言いたいことがけっこうとっ散らかった回になってしまいましたが、統計学は個人的には最強の「観察」だと思っています。注意点として「前提を疑う」を忘れないこと、ということです。
ぜひサトマイさんの動画を見てみてください。ビジネスのヒントがたくさんあると思います。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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