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2月最終日。早いものでもう今年も2ヶ月終わってしまいました。みなさん、2月はどのように過ごされましたか?
私は海外出張に行っており、昨日の朝、帰国しました。
出張というか、私が入っている経営者団体EOでは1年の間に必ず1〜2回はチームメンバーと旅行に行くというルールになっており、それに行ってきたところでした。
行き先は「スリランカ」。スリランカで会社を経営する日本人の方2名のお話を聞いてきました。
ご存知でしょうか、スリランカ。とってもエキサイティングな国でした。本日は、スリランカという国について、そして訪れた所感などをお伝えしたいと思います。
と、その前にコロコロニュース。
「財務省を解体しろ!」というデモが行われているのをご存知ですか?東京で今年になって3回、大阪や福岡でもあったそうですが、これをテレビはほとんど報道しません。
つい先日、やっとテレビ東京が報道し、その後フジテレビも少し触れたようですが、まったくといっていいほど国民に知らされません。
なのでここでお伝えします。
ほんと、日本もスリランカみたいになっちゃうよ。というとスリランカに失礼だし、何ならもう同じだと個人的には思っています(後述)。
というわけで本題です。なるべくただの旅行記にならないように、スリランカについてお伝えしてみたいと思います。
ちなみに過去の訪問先についてもコラムに載せています(載せていないものもありますが)。紹介します。
- 【第551回】知覧の特攻隊員とコロナウィルスの話(鹿児島県知覧市)
- 【第665回】幸せの定義、不幸の概念(フィリピン・マニラ)
- 【第695回】一次情報から読み取る「台湾有事は起こるのか?」(台湾・台北市)
- 【第710回】日本人しか泊まれないミクロネシアの無人島に行ったら、そこは◯◯でした(ミクロネシア連邦・JEEP島)
●スリランカという国について
「アルカイダに気をつけてください」
Instagramでスリランカに来ているという投稿をしたところ、友人がコメントで上記のように書いてきました。
本気なのか冗談なのかわからず、「ガチかジョークかわからんw」と返したところ、「ガチす。昔同じホテルにアルカイダいて冷や汗ものでした」という返信が。。。
「またまたアルカイダなんて〜」と思いましたが、翌日、現地の日本人経営者に聞くと、数年前に自爆テロがあったというではありませんか。
2019年にイスラム過激派による同時多発テロで250人以上死亡がなくなっているそう。首都のコロンボの高級ホテルなどが狙われました。私たちが泊まっていたホテルのつい数百メートル離れたところあたり。
では治安が悪い国なのかというと、実際はそれほど凶悪犯罪などはないということです。それは、仏教を信仰している民族だからではないかと言われています。
実際に2019年の同時多発テロは、ChatGPTによると、主な標的は以下の2つだったようです。
- コロンボの高級ホテル(シャングリラ、シナモン・グランドなど)
- キリスト教会(カトリック教会が標的)
お金持ちと、イスラムにとっての天敵(?)カトリックが狙われたというわけですね。とはいえ一般市民も巻き込まれますし、お金持ちやカトリックの人にも善良な人もいるので無差別テロはダメ。
ちなみにスリランカの場所、おわかりになりますでしょうか?
「ソレココ!スリランカ!(宇宙海賊のギャグ)」ということで、インドの右下です。赤道のすぐ上くらい。飛行機で行きは9時間半くらいかかりましたかね。日本との時差は3時間半。
さて、スリランカの大枠の歴史は以下のとおりです(ChatGPTによる)。
- 紀元前5世紀~16世紀: 古代王国の時代
- 16~20世紀:ヨーロッパによる植民地支配
┗ ポルトガル(1505~1658年)
┗オランダ(1658~1796年)
┗イギリス(1796~1948年) - 1948~1983年:独立と民族対立
┗1948年:イギリスから独立(セイロン)
┗1972年に国名を「スリランカ」に変更
┗民族対立が深刻化(シンハラ人 vs タミル人)
┗政府がシンハラ人優遇政策を進める。
┗1983年、タミル人武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が内戦を開始。 - 1983~2009年:スリランカ内戦
- 2010年~現在:現代
┗内戦終結後、経済が回復し、観光業が成長
┗同時多発テロ
┗ 経済危機(2022年)債務危機で財政破綻し、大規模なデモが発生
というわけで、わりとつい最近の2009年まで内戦をしていたし、2022年にはなんと国が財政破綻(デフォルト)しています。
ちなみに、「スリランカ(Sri Lanka)」という国名は上記にあるように1972年つけられましたが、その前は「セイロン」という名前でした。「セイロンティー」は多くの人が聞いたことがあると思います。
「Sri Lanka」はサンスクリット語で「聖なる輝く島」 という意味だそうです。これだけ聞くととてもポジティブな名前です。
しかし、今回ガイドをしてくれた現地のスランさんによると、「ランカ(Lanka)」とは古代のインドが使っていた「インドの周りにある島々」みたいな意味で、ちょっと属国っぽい意味合いを含んでいるんだとか。
スリランカはインドから何度も侵攻を受けており、そういう意味で「ランカ(Lanka)」をあまり良い意味だと感じていない人もいるということだそうです。
ちなみに今回旅をお手伝いしてくれたのが、スリランカ在住YouTuberのうっちゃんこと内海さんと、内海さんの紹介のスランさんです。
スランさんは日本語がペラペラ。単純なやり取りだけでなく、かなり抽象的な話もばっちりいけちゃうし、「〜〜的な」とか、普通に日本人が会話で使う口語もいけちゃう感じ。
驚きなのは、スランさんは日本に行ったことがないそう。なんなら日本語も勉強しはじめてまだ3年くらいとか。自国の言葉と英語はもちろん、スペイン語も話せるそう。たぶん天才です。
うっちゃんさんは「うっちゃんねる」というyoutubeチャンネルをやっています。「うっちゃんねる」ではスリランカのさまざまな情報を日本人向けに発信してくれています。
前述のとおり、今は決して治安が悪いわけではありませんし、思いのほか日本人旅行者が多くてびっくりしました。
私たちが泊まっていたホテルにもたくさんいましたし、シーギリヤという首都コロンボから車で3時間半くらい離れたエリアにも日本人観光客がけっこういました。
ちなみに交通事情ですが、イギリスの植民地だったからか、車は左側通行の右ハンドル車でした(アメリカだと右側通行の左ハンドルになると言われています)。
車はやはり日本車が強い。特にここ数年海外に行くたびに三菱自動車の車を日本よりも見かけます。スリランカもまさに。トヨタ、日産、ホンダ、スズキは普通に走っており、ダイハツは少ししかみなかったかな。マツダはもっと見なかったかも。
大型車になると日野自動車や三菱ふそうなどを見ましたが、スリランカでは大型車は日本車ではないケースも多かったです(フィリピンは大型もほぼ日本の自動車メーカーだった)。
アジアあるあるですが、道路はカオス。歩行者と車とバイクとトゥクトゥクが入り乱れています。
フィリピンのマニラに行ったときも似たようなものでしたが、フィリピンよりも信号が少ないスリランカでは余計にカオスでした。
すごいなと感じるのは、前の遅い車を追い抜くのが当たり前の文化になっているということです。たとえ片側1車線しかなくても、です。
つまり対向車が来るかもしれないのに遅い車がいたら追い抜く。「おいおい!前から対向車きてるぞ!」とこちらがヒヤヒヤしても追い抜く。
ひどいと反対車線でも追い抜きが行われていて、こっちの追い抜きとタイミングがあって片側1車線しかないのに4台ですれ違いそうになったりしました。
また、これもアジアあるあるかもしれませんが、特急電車が時間通りに発車しませんでした。キャンディという街までバスで行き、帰りは特急電車で帰るという工程があったのですが、15:00発車の電車が来たのが16:15でした。
スリランカは人口が2300万人と、日本の5分の1または6分の1程度です。そのうち300万人が首都コロンボにおり、200万人が第二の都市キャンディにいるとのこと。
通貨は「スリランカ・ルピー」です(インドの通貨が「ルピー」ですね)。だいたいですが、1スリランカ・ルピーで0.5円くらい。
●写真で見るスリランカ
ここでスリランカの雰囲気を味わっていただくために、写真を見ながらいろいろと解説します。
成田空港の免税店でタバコを1カートン買ったのですが、その際に店員さんに「スリランカの場合は向こうの税関で追加で税金を取られると思います」と言われていました。
ところが、イミグレを通過したあと、税関らしきものが見当たらず(?)なんの追加料金も払わずに空港の外へ。。。ウーバーをピックアップ。
手配してもらったホテルはこじんまりしてはいるものの、部屋は広くてきれい。
うっちゃんさんに両替をしたいと伝えると、怪しげなビルの中へ。。。
スリランカでは宝石屋さんで両替をすることが多いそう。レートが空港と変わらず、うっちゃんさんが交渉してくれたけど店員に逆ギレされた。
こちらのビールは「LIONビール」。味は美味しいが少し甘口かな。
初日の夜はチャーハン的なのをいただきました。すごいボリューム。これで1人前だけど、2人で食べても残した。
ホテルから見えるツインタワー。これがスリランカで一番のオフィスビル。手前のボロい建物との対比がすごい。
Uberトゥクトゥクでバスターミナルへ向かう。こちらはUberを使わないとへんな宝石屋とかに無理やり連れて行かれるそう。
バスターミナル。どれに乗ったらいいかわからない。。。
予約していたエアコンつきのバスでKANDY(キャンディ)というスリランカ第二の都市に向かう。マイクロバスで3時間半。補助席までパンパン。ちなみにエアコンつきだと少しお値段があがります。
スリランカの街並み。これは首都コロンボの発展しているエリア。
キャンディについて、予約していたガイドと合流。まずは植物園へ。スリランカは薬草や薬木が有名。
「こういうところって何か買わされそうだよね」などと友人と話しておりましたが、ここでは見事なオートマティック営業システムを体験することになりました。
まず、うら若きスリランカのおなごが植物園内をアテンドしてくれます。なんでもハーブの研究生なんだとか。ここでまず安心感を醸成されます(笑)。
ナツメグやコショウ、シナモンなど数種類見たところで、ちょっとしたおもてなし。写真のおばちゃんがココナッツの実を削ってスリランカのちょっとした料理を振る舞ってくれます。ここもまだ安心感があります。
その後、また別の場所に移動すると、おじさんがでてきます。ここでは日本語で書かれたプリントを配られます。「シナモンオイル」とか「〜〜オイル」とかいろいろ書かれていて、「どれに興味があるか◯をつけろ」と言われます。
ここで何かを買わされる気配が確定的なものになりますが、まだ「買え」と言われていないのでとりあえずプリントに◯をします。
最後に売店に連れて行かれます。そこではさらにいかついおっさんが出てきて、「どれに◯をしたんだ!?」と聞いてきます。「1つだけか!?」とか。
そしてナゾに精力剤を勧められます(笑)。日本人で買うやつが多いのでしょうか。なんか日本語でクロージングされました。
なんとか当初の予定のシナモンオイルだけを購入し、植物園の外へ。まあやはり買わされますよね。
その植物園に連れて行ったガイドがこちら。
「おれたちはもう何も買いたくない!」と伝えたところ連れて行かれたのがただの川でした(写真参照)。
その後、キャンディにある世界遺産のお寺へ。膝を出すのがNGとのことで、写真のような布をレンタルしました。500ルピー。
さすが世界遺産。スリランカとはいえ、入場はIT化されていました。ここでチケットを購入します。チケットが出てくるの、めっちゃ遅かったけど(笑)。
すばらしいな、と感じたのは、スリランカ人と外国人の入場料金が違うことです。これは日本の観光地もぜったいにやるべき。そもそも金閣寺の入場料金が400円とかおかしいだろ。
中はほとんどの場所で写真撮影OK。
帰りは電車でコロンボへ。電車の案内板。アナログだけどよく考えられていると感じました。しかし、15:00発の電車がホームに着いたのは16:15でした。
電車が遅れるということで、キャンディの街なかを散策。
なんだか、こういうオモチャ屋さんみたいなのがナゾにたくさんあった。問屋街なのか?
キャンディの駅。
やっと電車が来た。。。
電車は意外にも乗り心地が良かった。電光掲示板も着いてる。まあ、ちょっといい目の電車を友人が予約してくれていたため。
こちらはスリランカのちょっと高級目のレストランのランチ。おいしいけど、どれかわからなかったけどけっこう辛い。あとになって辛さが来る。
スリランカで会社を経営している日本人、石川さんのところにインターンに来ていた学生さん。彼女はまだ20歳だそう。意識超高い!私が20歳のころは麻雀しかしてませんでした。。。
コロンボの高級ショッピングモールのレストランのタペストリを見ると、価格が高い!プレートが普通に2200ルピーとかする。日本円で1100円。これは現地の人で食べられるのは一握りだろう。
このお店、もともとは石鹸屋さんっぽいんだけど、他にもいろいろなグッズが売っていました。デザイン的にめっちゃかっこよくて、ここでお土産をいくつか購入。
このデザイン、超イケてません??こういうのすごい好き。
ちなみにナゾの日本語店もあったので写真を取ってきました。日本人が経営しているのかどうかは、ChatGPTにもわかりませんでした。。。
ゲーセンもありました。海外でゲーセン見るの初かも。
何のプーさんかわからない人形。
スリランカの元国会議事堂。
ボロい建物とか、工事が途中のビルとかいっぱいあるのに、なぜかデジタルサイネージみたいなものもよく見かけました。新しいもの好きなのか?
日本食レストランにも行きました。こちらは日本で20年修行したスリランカ人のお店とのこと。
スリランカ人が日本で厳しい料理人修行をしているところを想像するとちょっとおもしろいけど(コントとかでありそう)、味は美味しかったです。
刺し身はどうしても少し水っぽく、かつ大味感は否めませんでした。ただ、もっとおいしくないと失礼ながら思っていたのでぜんぜんありでした。日本の安いチェーンの居酒屋よりはおいしいと思う。
スリランカのキャバレー的なところも試しに行ってみました。キャバクラではなくキャバレーね。キャバクラはたぶんない。
こちらでは席の眼の前にステージがあり、そこでスリランカ人の女性が踊ります。踊り終わると後ろの席に腰掛けます。
ひとつ1000ルピーとか2000ルピーとかの花の首飾りを座っている女の子にかけると、また女の子が踊るという謎システムです。ひたすら女の子の踊りを愛でながら酒を呑むという空間。
ちなみに「カンナムスタイル」がかかったときには我々も踊ってしまいました。スリランカにも「カンナムスタイル」は轟いていました。「APT」もかけてもらえばよかった。
スリランカでは、コカ・コーラよりもペプシコーラのほうが圧倒的に看板が多かったです。
それとこれ。日本ペイント。この看板、めちゃくちゃ見ました。日本のロゴとはちょっと違う様子。
ちなみにスリランカはロゴのクオリティが思ったよりも高くてびっくりしました。現地の日本ペイントのロゴよりも優れていると思う(失礼)。
それでも、信号がほとんどない街の看板を車の中から撮るのは至難の業で、あまりたくさんカメラに収められなかった。
普通にきれいなロゴ。造形のバランスがよい。
なんだろう。造形のバランスだけでなくアイデアもけっこうきちんと考えられているんだよなー。これなんか「S」と女性の横顔をうまくミックスさせています。
ちょっと切れちゃっているけれど、この魚屋さん?のロゴもよく見かけました。
女性を横顔で表現するケースを良く見かけました。
よく見たらこれもそうだな。なんでサロン系の写真ばかりきちんと撮れているんだろう。他にもいっぱい撮ろうとしたのに。。。
他にも、たった3本の線だけでカンガルーとわかるロゴとかもありました。これは相当すばらしいと感じましたが、やはり車の中から撮影するのは難しかった。
こちらも世界遺産の石窟寺院。この仏様は洞窟を削ってつくられています。
朝早く起きて、暗いうちからこういうところにも行きました。
画像はGoogle先生より
「シーギリヤロック」と言われる一枚岩で、登りきったところにまさにラピュタのような古代のお城の遺跡があります。
ここで御来光を拝もうと、深夜まで呑んでいたおっさんたちががんばって早起きして「気持ち悪い」とか「眠い」とかいいながら登ったわけですね。しかしながら雲が出て御来光は拝めず。
一応、動画でシーギリヤロックの遺跡を撮影しました。
写真だと壮大さが伝わらないかもしれませんが。。。
2018年に世界遺産登録されたときのやつ。
●スリランカでお会いした2人の経営者のお話
今回いろいろとお話をお聞きできたのが2名の日本人経営者の方です。
ひとりはスリランカで製麺の会社を経営している岡山さん、もうひとりはスリランカでソーシャルビジネスを行っている石川さんです。
スリランカに日本人会、特に日本人経営者会はあるのかとお聞きすると、おふたりとも「あるにはあるけど。。。」という回答でした。
日本人会といっても駐在者がほとんどで数年すれば帰ってしまう企業の人たちだし、じゃあ経営者の会となるともはや数えられる程度しか在スリランカの日本人経営者はいないそうです。
そんな数少ない日本人経営者のおふたりから、リアルなスリランカのビジネス事情をお聞きすることができました。
まず製麺業の岡山さん。スリランカでビジネスをはじめた理由が面白かったです。なんと、今回の我々のように視察で来たのがきっかけだったそうです。
そもそも東京で飲食店を数店舗経営していた岡山さん。なかなかに経営も厳しい中でスリランカの視察がありました。はじめはまったく興味がなかったそうです。
日本に帰ってきたあと、「スリランカに良い物件があるよ」という情報をもらい、さして思い入れがあるわけでもないのになぜか「やります」と言ってしまったのだそう(笑)。
海外でのビジネスなんてやっている場合じゃないというくらい日本での経営がたいへんだったようですが、やると決断したんですね。
当時(2015年前後)、東南アジア各国には日本の飲食店がすでに多く進出していましたが、スリランカにはほとんどなかったそうです。そういった部分で面白みも感じたそうです。
はじめは高級な日本料理店を開店しました。富裕層ターゲットです。しかし、次第に違和感を感じてきたということです。
「素材が良くなく美味しくないのに高い料金を取るのはいかがなものか」
スリランカで日本料理をやろうと思うと、調味料などはほとんど輸入になります。現地で生産されていないからです。また、食材も新鮮なものとなると高くなります。
そういう意味で日本では当たり前のおいしい日本食を海外でつくるのって大変なんですね。。。
その後いくつか高級日本食屋が入ってレッドオーシャンに。そのため岡山さんはターゲットを切り替えフードコートなどをはじめたそうです。
そうこうしていて起こったのが、2019年の同時多発テロ、そしてコ□ナ。これらはなんとか凌いだそうですが、2022年に政府がデフォルト。
3タテでこれらが起こり、一気に経営が厳しくなりました。
そんな折、やはり社会情勢の問題で製麺業を営んでいた知り合いがビジネスを辞めると。その際、製麺機を譲り受けたことから今のビジネスにたどり着きます。
麺は原材料からスリランカでもつくることができる。それなのに輸入していてめちゃくちゃ高かったので勝機があると感じたそう。
はじめはひとりでつくってひとりで営業をしていたそうです。今は複数のスリランカ人を雇用して生産しています。
そもそもスリランカで生麺をつくっている競合はいなく、乾麺も他社は輸入なので価格では絶対に負けない。つまり競合優位性が非常に高いビジネスになっているとのことです。
つづいて石川さんのお話。
石川さんはもともと(今いろいろと話題、問題になっている)JICAご出身とのこと。JICAでスリランカに来たのがきっかけでそのまま移住することになったそうです。
JICAのようなNGO団体では、主に貧困や環境問題などの社会課題の解決を行っています。
しかしながら、これは底なし沼。やってもやっても沼ります。
支援があるということは、支援を受けるほうに甘えが出て自助努力をしなくなる。そして「あーしてくれ、こーしてくれ」と次から次に要望が出る。これが沼る理由なんだそう。
そのため、石川さんは慈善活動ではなくソーシャルビジネスに移行していきます。社会課題を支援ではなくビジネスで解決しようというわけです。
石川さんはいくつかのソーシャルビジネスを展開されています。
たとえば、農家に有機栽培のトレーニングを行い、それを高値で買い取ってあげるなど。
連携農家数は85軒、43ヘクタールにも及び、栽培作物50種、店頭商品数320点、卸売先は12店舗だそうです。つくったものは全量買い上げてあげるそう。
石川さんはフードデリバリーサービスなども展開されていて、コ□ナのときには逆に儲かったそうです。スリランカはロックダウンをしたので、ほとんど人が家の外に出られなかったから。
ロックダウンのはじめのほうはまさに入れ食い状態。その後、大手のスーパーなどが2週間でオンラインショップを構築し、追随して来たんだそう。
さらに石川さんはマッサージサービスを展開されています。どんなマッサージかというと「あん摩」です。
日本では「あん摩さん」といえば目が不自由な方ですが、スリランカもまさに同じ。視覚障害者に指圧マッサージのトレーニングを行い、それで収入を得ていただく。
スリランカは全人口の2.7%が全盲または弱視で、人数にすると全盲が15万人、弱視が40万人。そしてなにより、この人たちの就職率は1%以下なんだそうです。
そこをビジネスの力で解決しようというのが石川さんのやられていることというわけです。
スリランカでは「マッサージ」はいかがわしい性的なイメージで認識されており、はじめはそれが障壁だったそうです。アーユルベーダとかのオイルマッサージ的なものが主流だからでしょうか。
しかし、「指圧」ならそもそも服を脱ぐ必要がありません。
アイデアマンの石川さんはラグビーのナショナルチームへの指圧マッサージのプロモーションなどを行い、少しずつ「あん摩」というものを認識してもらうことに成功しました。
主に富裕層や海外からの観光客をターゲットに展開しているんだそう。
ちなみに、スリランカでは大学進学率が13%しかなく、高卒でもそれなりに高学歴、大卒だったら「〜〜大卒」と自分の名刺に書いちゃうくらいのステータスらしいです。
そんな大卒5年目の公務員の給料が日本円で月25,000円くらい。そんな中、石川さんのあん摩ビジネスは視覚障害者の方の給与が6名で平均月4〜5万円。すごい。エリート公務員より高給取り。
次は聴覚障害者の方たちとネイルサロンをやるそうで、すでに動きはじめているそうです。マジですごい。
●スリランカの人々の国民性や政治など
スリランカでビジネスをやるというのはどういうことでしょうか。
そのうえで、スリランカの人々の国民性を知ることが重要でしょう。
スリランカ人は思ったよりはマジメに働くそうです。また、前述しましが、仏教国だからか凶悪犯罪などは少ないそうです。
実際に、一緒に行った友人が飲食店に財布を忘れるという海外では大失態を犯しましたが、中身も無事で帰ってきました。
性格としては、岡山さんいわく、スリランカ人は穏やかで奥ゆかしく何考えているかわからないとのこと。
加えて「人を信用していない」のだそう。これを聞いて「京都人?」と思ってしまいました(京都の方、すんません。。。)
やはり騙し騙されが多いからでしょうか?岡山さんが面接に来たスリランカ人に自分の短所を聞いたところ、「人を信じてしまうこと」と言われたことがあるそうです。
また、酒が入るとかなりはっちゃけるようです。奥ゆかしいのであまり表立ってわいわい酒を呑む感じではないようですが、実はウラで酒を呑んでいるとか。
そして一説には世界でもっとも酒を呑むといわれるドイツ人の次に酒を呑んでいるというウワサもあるそうです。
比較的マジメに働く国民性とはいえ、やはり採用は「マジメに働くかなどの見極め」が難しいそうです。
岡山さんの会社では、基本的に履歴書を見ずに採用して、1ヶ月とかマジメに働きつづけたらやっと話しかけるようにしているそうです。
人を信用しない裏返しなのか、スリランカ人はホロスコープ(占い)によく頼るんだとか。
何でも正月の時間は毎年微妙に違うそうで、それはホロスコープによって決まるんだそう。
結婚相手もホロスコープで決めたり、お店のオープン日もホロスコープで。ビジネスシーンにもホロスコープはかなり入り込んでいるようですね。
我々も受けてみたかったのですが、急に行って見てくれそうなところがなかったので諦めました。
一方、石川さんがいうには、スリランカ人は穏やかだけどキレると手がつけられないそうです。
2022年にはスリランカの財政が破綻し、大統領が追い出されています。
しかしスリランカ人は忘れやすい面もあり、追い出された元大統領は1年で帰って来て、元大統領ということで税金でのうのうと暮らしているそうです。
仏教国だからといって清廉潔白なわけではなく、政治や官僚は日本のように汚職だらけのようです。
スリランカは二大政党制のような形で、2つの政党を政権が行ったり来たりという感じ。しかも、どちらもずっと世襲制や同族政治のような形だそうです。
マヌンダという元大統領は、その親族で国家予算の8割を握っていたそうです。そして、その弟が国外に逃げたヤツなんだそう。
また、メディアも日本のようにコントロールされているようで、ガイドのスランさんは「ニュースはアメリカがつくっている!」と言っていて、「めっちゃ気が合うやん!!」と思いました(笑)。
マジメなジャーナリストはかなり殺されたそうですよ。まあ、日本もニュースにならないだけでかなり殺されていますけどね。
2024年で政治がだいぶ変わったようです。現在のアヌラ大統領によって。
彼の政党は、日本でいうれいわ新選組みたいな感じだそう。3議席しか持っていなかったけど、選挙で選ばれ大統領になりました。日本だと国のトップを選挙で選べないんだけどね。。。
アヌラさんが大統領になってすぐの選挙で、この党は225中159議席獲得と、圧勝したそうです。
それにしても役人の賄賂の要求がいまだにひどいそうです。石川さんは「政治家より役人が悪い」と言っていて、これも普段から私が言っている、「国は官僚とメディアから腐る」に通ずるお話でした。
実際に、石川さんは視覚障害者の協会から嫌われているそうです。「日本人が視覚障害者を見世物にして稼いでいる」と悪いウワサを立てられて。。。
彼らは視覚障害者が自立すると困ります。なぜなら、自立すると協会に頼らなくなるからです。
視覚障害者が協会を頼ってくれると、NGO団体から資金援助を得られます。そして視覚障害者に頼られると、協会は政治家とつながれます。
なぜなら、政治家は視覚障害者の票田を獲得でき、協会幹部はさまざまな甘い汁を吸えるからです。
視覚障害者が自立してしまうと、協会は存在意義がなくなり、政治家は票田獲得や賄賂の要求ができなくなるというわけですね。
スランさんは「NGO団体はひどいことばかりしている」と言っていて、これもまさに世間を騒がせている「USAID問題」に合い通ずるどころか、むしろそのものじゃないかと思う話でした。
●スリランカでビジネスをやるということ
スリランカは、外貨獲得のほとんどが繊維と紅茶によるのだそうです。あとゴムとココナッツ。
今はITにも政府として力を入れているそうです。スリランカはIT発展国だと自認しているそうですが、「スリランカのアプリを使うとイライラする」と岡山さん(笑)。こちらのエンジニアとかはまだまだ戦力とはいえないと思われます。
スリランカの銀行預金の金利は5%くらい。日本よりはるかにいい!!デフォルト前は10%弱あったそうです。大きめのお金を定期に入れたら18%くらいだったことも。
通貨のリスクはあれど、金利だけで見たらめっちゃ儲かりますね。
実際に岡山さんに「資金が潤沢にあったらスリランカで何をする?」と質問したところ、ビジネスではなく「預金(笑)」と返ってきたくらい。
前述したとおり、人を信用していないのでファミリービジネスが多く、資本の集約がされづらいそうです。つまり大企業にとって不利。
かといって中小零細が有利かというと、そうカンタンな話ではないです。
たとえば、スリランカ人は仕事やお金より家族のほうが大切という考えを持っています。
一見ステキな考え方のようですが、だからといって「家族を養うためにお金を稼がなくては!」という感覚はないらしい。
岡山さんの会社で実際にあったのは、「お母さんが病気になった」ということで、ヨメがつきっきりでそのお母さんを見ているのにもかかわらず、旦那も仕事を休むとか(長期)。
こんな国民性や価値観なので、まずもって「遠隔」とかはムリ。日本にいて遠隔でマネジメントなんて、絶対できないと岡山さんはおっしゃっていました。
それどころか、たとえば飲食店とかで多店舗展開するとかもムリだそうです。自分がべったりと店に貼りついていないとお金も盗まれるし素材も盗まれる(凶悪犯罪はなくても盗みはある)。
しかしながら、島国であることから、そしてスリランカ人の価値観や国民性から、言い換えるならば大企業はなかなか入ってこれない参入障壁があるともいえます。実際に岡山さんはそれで戦っています。
それでも、「稼ぐ」という目的においては、おそらくスリランカでのビジネスは相当むずかしいと思います。おふたりとも儲けるためならもっと他の方法や国がある、というスタンスです。
石川さんも「スケールさせるための資金調達は難しい。まだまだ儲けたい投資家の投資対象にはならない。」とおっしゃっていました。
おふたりともスリランカが好きでスリランカにたどり着いたというより、ひょんなこ゚縁からスリランカにたどり着かれた方です。
もしかしたらそのほうがスリランカではうまくやっていけるのかもしれません。
究極の「ランチェスター法則」という感じ。特に「弱者の戦略」のほう。細く長く生き残ることにおいてはめっちゃ強いのだろうと感じました。
さて、スリランカ、興味を持たれた方はぜひ行ってみてください。今回コラムでご紹介した方々は全員ご紹介可能です!
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール

-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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