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6月に入りました。
ワタクシゴトですが、明日誕生日です。ちょっぴりおちゃめな48歳、年男です。ビズアップを起業したのが30歳ですから、早18年。早いな。本当に早い。
2年半前からはじめた筋トレはがんばってつづけていますが、最近ちょっとゴツくなってきちゃいました。なので、やはり有酸素運動も必要だろうと、日曜日はマラソンをすることにしました(だいたい1時間走)。
で、この前の日曜日は少年サッカーの練習だったんですが、練習中に大雨がふり、途中で中止になってしまいました。そんな大雨の中でしたが、それでもがんばって、練習後に走りました。
雨もすごいし、キツくて当初の予定のコースの手前で折り返しちゃおうかと思ったのですが、誕生日を目前にふと思ったんです。
もうすぐ50歳。どんな自分になりたいか、なるべきなのか。その答えは意外にもすんなりと出てきました。それは、「自分がかっこいいと思える自分」でした。
「ここで折り返しちゃう自分はかっこいいのか?」という質問の答えは当然ながら「NO」。この想いで走りつづけることができました。
そして当初の予定通り代々木公園まで走ったところ、野外音楽堂で「爆風スランプ」がライブをやっていました(ベトナムフェア的なイベントの一環)。
サンプラザ中野くん(パッパラー河合くんもいました)
負けずに走った自分にご褒美をもらえた気分になり、名曲「Runner」を聞いたあと、流れる汗もそのままにまた走り出したのでした。
というわけで、今年のテーマは「自分がかっこいいと思える自分」としました。「自分がかっこいいと思える自分」は、何をする自分なのか、または何をしない自分なのか。
こんな想いで1年を過ごしたいと思います。
さて、いろいろあった48年ですが、まさか世界がこんなことになるとは思ってもみませんでした。
コ□ナにならなかったらとか、日本の政治がまともに機能して失われた30年がなかったらとか、いろいろ考えますが、まあそこは全員条件は一緒なので仕方ないですね。
気がかりなのは子どもたちの時代です。こんな時代になる前から、自分の子どもたちには「サバイバル能力を身に着けておけ」と伝えてきましたが、まさにこの能力が問われる時代となりました。
「サバイバル能力」というと抽象的ですが、「自分で答えを探そうとする力」と「選択したことを正解にする力」といえるのではないかなと考えています。
私は私で、「自分がかっこいいと思える自分」として、自分が正しいと思ったことをやっていきたいと思います。そしてその選択が正解となるように全力を尽くします。
というわけでコロコロニュース。
民法では絶対やらない内容を民法のニュース番組風に仕上げてて面白い
先週金曜日の大規模デモ、やはりテレビなどの大手メディアでは一切報道しなかったようですね。
コロコロニュースで何度もお伝えしていますが、この国を正そうと思ったらメディアを変えないとダメです。政治家や官僚はもちろん悪い。でもここを攻めても(責めても)おそらく日本は変わらないです。
メディアは「ウソをつく」ことももちろんありますが、これはメディア側にとってもリスクです。彼らがやる一番の常套手段は「報道しない」です。伝えなければ存在しないとの同じなのです。
スマホのニュースアプリからくる通知は、どうでもいいくだらない芸能人の話ばかり。私はテレビをほとんど見なくなってしまいましたが、おそらくテレビもそうなんでしょう。ほんと、声を大にして言いたい。「そんなことどーーーーーーーーでもいい!」。
なので、テレビばかり見てテレビの情報を鵜呑みにするということは、映画マトリックスのように仮想現実の世界にいるのと本質的には同じということです。何を食べるかで体がどうつくられるかが決まるのと同じで、どんな情報をエサとして与えられるかで脳みそがどうつくられるかが決まってしまうということですな。
ちなみにデモの参加者の人数は正確にはわからないですね。数十万人という人もいれば、4〜5万人という人もいますし、12,000人だったという情報もあります。
それでも戦後最大規模のデモであることは間違いなく、報道機関がこれをムシするのは「イカれている」と言わざるを得ません。4〜5万人だったらさいたまスーパーアリーナに入り切りませんからね。ほんと、予想通りですがムカつきますね。
というわけで、前置きが長くなりましたが本題です。
このコラムは主にロゴをご依頼くださった方向けに発信しています。
ところで、みなさんはなぜビズアップにロゴをご依頼くださったのでしょうか?
●「そういう問題じゃねーんだよ!!」
実は現在、長野県諏訪市に来ております。「ひとり合宿」ということで、来期の構想を練っています(今日帰りますけども)。
長野県諏訪市は私のおかんの実家があった場所です。じいさんもばあさんももうとっくに亡くなっていますが、年に1回墓参りもかねてひとり合宿で諏訪に来ます。
昔はもっと賑わっていたと思うのですが、街は閑散としていました。やっとみつけたBARにひとりで入ると、店は私以外に客がおらず、店長に「ノーヒットノーラン(売上0)になるところでした、助かりました」と感謝される始末。
そして、諏訪の街が今いかにさびれてしまったかをいろいろ教えてもらいました。
諏訪はなぜさびれてしまったか。コ□ナ(騒動)という直接的な原因の影響は大きいようですが、はたしてそれだけなのか。
以前、親戚のおじさんが亡くなったときに家族でお葬式に来たのですが(隣の茅野市)、その帰りに「霧ヶ峰高原」に家族で行ったんですね。「三菱エアコン」で有名な「霧ヶ峰」。
小学生、中学生と、長い休みがあるとひとりでじいさんばあさんの家に2週間くらい行っていた私は、冬になると霧ヶ峰高原のスキー場にじいさんに連れてきてもらっており、ここはとても思い出深い場所でした。
そんな霧ヶ峰高原に家族を連れて行って、おいしい高原牛乳を飲んだりソフトクリームを食べたり、子どもたちに高原にいる馬と触れ合わせたいと思っていたのですが、そこで大きく期待ハズレ感を味わうこととなりました。
平日だったとはいえ、霧ヶ峰高原は閑散としていました。それでもおいしい高原牛乳やソフトクリームが味わえるだろうと思っていましたが、それも叶いませんでした。
以前は機械からしぼりたてっぽい感じで注いでいた牛乳は、やる気も愛想もない棒立ちの兄ちゃんが、冷蔵庫から出してきたスーパーで売っていそうな牛乳を、アサヒのビールジョッキに客の眼の前で注ぐ形へと、ある意味効率化されていました(泣)。
牛乳を飲んでいるときに、「八十二銀行」という名札をつけた男性2人と、霧ヶ峰高原ドライブインの責任者?らしき男性に対し、偉そうな話をしているおじさんがいました。
そのおじさんは、どうやらコンサルタントのようでした。何か商品開発的な話をしていたようでした。
「まあせいぜいりんごジャムとかブルーベリージャムとかを乗せてプラス50円とか、そんな感じしかないと思うんですよね」
このおじさん(コンサルタント)は、私たちやここに来る人たちが「何がほしいか」をわかっていませんでした。
おじさん(コンサルタント)がそう指導しているのを聞いて、うちのヨメが相手に聞こえるくらいの声でひとこと言いました。
「そういう問題じゃねーんだよ!!」
それを聞いて牛乳を吹き出しそうになりました(失礼ですが金融機関が用意したコンサルなんてダメダメで使えないイメージが強いですね)。
ジャムを乗せてどうこうなる問題じゃない、この(さびれてしまっている)問題の本質がわかってない、それをヨメ(素人)にすら見透かされるという。。。でも、ヨメの言うとおりなんです。
これは諏訪の街がさびれてしまったことの象徴的なシーンなのではないかと思えて仕方ないわけです。
ところで、この人たちはいったい何を売っていたのか、売ろうとしていたのか?
●期待値のコントロール
何かを売る、というのはお客さまに2つの体験をさせることになります。
- 買う前の体験
- 買ったあとの体験
「買う前の体験」というのは、「買ってみてもいいかも」「ここに依頼してみようかな」と感じさせることです。
対して、「買ったあとの体験」とは、商品を購入して使ってみて、またはサービスを受けてみて感じる体験です。
ここには「期待値」というものが存在します。
「期待値」は正確には確率論などで出てくる数学チックな考え方ですが、ここではそこまで難しく考える必要はありません。
「買う前の体験」としては、お客さまに何らかの「期待」をさせることが必要になります。そして、「買ったあとの体験」としてその「期待」を上回ったかという答え合わせが行われます。
非常に難しいのですが、「買う前の期待」が高すぎれば、「買ったあとの答え合わせ」でそれを下回ることとなってしまい、お客さんをがっかりさせてしまいます。
結果、リピートや口コミに繋がりません。「買う前の期待」を確実に上回る必要があります。
しかし、だからといって期待値を上回るために「買う前の期待」を下げるような体験になってしまうと、そもそも「買ってみてもいいかも」「ここに依頼してみようかな」と感じさせることができず、結果売れません。
買う前にはある程度の期待を見せつつ、買ったあとにその期待を確実に上回るという、なかなかに難しいコントロールが必要になります。
たとえば、たまたま入った居酒屋がとても良かった場合、期待値はたいして高くないので、その期待値を超えてくる可能性は高いです。
かたや、東京の高いお寿司屋さんに行くとなると、期待値は高くなっています。確実においしい、けれど、また行くかといわれると、みたいなことはよくあるのではないでしょうか。私はあります。
以前、ホリエモンがやっている和牛のお店に経営者仲間と行きました。そこではみんな「うまい!」といって食事していましたが、私的には「この値段でまずかったら詐欺だろ」という感想しかでませんでしたし、それから行っていません。
これが、ホリエモンが店にいて話ができる、となると期待値を上回る可能性が高いです(私は興味ないですけども)。
また、このような店は「高い店で食事できる自分」というステータスを価値として提供している場合もあります。私はそのターゲットではなかっただけで、ある一定の人たちがそれにより期待値を上回る体験をしていることももちろんあります。
チェーン店のブランディングは、「不安払拭型ブランディング」と私は名づけています。「失敗する不安」を極力排除していることから、このように名づけました。
これは、「どこにある店に行っても、内装も料理もスタッフの対応も確実に【知っている】ものになっている」ことに人は(特に日本人は)安心感を感じることから成り立っています。
言い換えると、これは期待値をコントロールしていることになります。買う前の期待値と買ったあとの体験との答え合わせに大きなギャップがない、ということに価値を見出しているブランディングです。「確実に期待値どおり」ということです。
●「商品の向こう側」
ではどうすれば、「買ったあとの体験が買う前の期待を上回った!」とお客さんに感じてもらうことができるのでしょうか。
そのためには、私は商品そのものよりも、「商品の向こう側」に目を向けなければならないと考えています。
いつもお話していますが、「本当の差別化」とは「差ではなく違いを生まなければならない」わけです。
ちょっと話が飛びますが、私は中田敦彦のyoutube大学というチャンネルのファンでした。
が、類に漏れずお注射を勧めはじめたので、「あーあ」という引いた目で今は見ています(ちなみに相方の藤森慎吾は諏訪出身)。
そんな中田敦彦ですが、以前良いことを言っていました。それが「優れるな!異なれ!」です。私もこの言葉を彼が言っていたのは最近知ったのですが、まさに「差ではなく違いを生む」ということをキャッチーな言葉で表現していて秀逸です。
さて、なぜ差ではなく違いを生まなければならないのか、優れるのではなく異ならなければならないのか。これは、人はよっぽどの専門家でもない限り、差を正確に把握することがほぼできないからです。
私の師匠の伊吹先生が以前お話してくれたエピソードですが、某大手ビールメーカーの役員に銘柄を伏せた「利きビール」をやってもらったところ、自社のビールを当てられなかったらしいです。
商品に目を向けるとなると、どうしても「差」に着目しがちです。新しい技術を開発したなどの場合を除いて、「あそこのラーメンよりうちのラーメンのほうがおいしい」となりがちなわけです。
現代において、商品がよいのは何の強みにもならない場合がほとんどです(すべてとはいいませんが)。商品がよいのは、もはや強みでもなんでもなく「前提条件」であり、そこからさらにどうするかが問われています。
だからこそ「商品の向こう側」を考えなければなりません。
では、どうすれば「商品の向こう側」を知ることができるのか。それはたった2つのクリティカルな質問をお客さんにするだけで、ある程度その輪郭がつかめます。
それが、
- なぜ、その商品がほしいのか?(その商品にどんな期待をしているのか?)
- なぜ、それをうちから買おうとしてくれた(買ってくれた)のか?
です。
これらの質問の答えは当然ながら商材や業態によりさまざまでしょう。同じ業種業態でも違うことがあります。
たとえば、理髪店や美容院だと、「プロレス好き店長の床屋さん」というものがあります。
ここでは、「髪を切る」という「商品」ではないところに価値を置いています。その価値は「プロレス好きのコミュニティ」です。お客さん同士の横のつながりもあり、みんなでプロレス観戦にいくこともあるそうです(かなり古い例なので今も存在するか怪しいですが)。
同様に、鉄道オタクの床屋さんもあります。店内は古い駅を模しており、店長は駅長の格好で髪を切ります。待たせているお客さんを呼ぶときも、駅の構内アナウンスのような形で呼び出すようです。
かたや、カットで12,000円の美容院もあります。これはさぞかしアッパー層をターゲティングしているのだろうと思うかもしれませんが、お客さんは大学生や社会人になりたての男子。
ここでは、さまざまな人生相談をしながら髪をカットしてもらえるそうです。
「部活動や恋愛の悩みを相談することができた」
「誰にも言えなかった将来の夢について語ったら、心から応援してもらえた」
「入社したばかりの会社で感じた違和感について、一緒に真剣に考えてくれた」
こんな声が寄せられているそうで、この美容院の代表の方2名は、自社の「商品の向こう側」を次のように定義しているようです。
僕たちは「髪型」ではなく、スタッフの「経験と生き様」を売っている
同じ「髪を切る」サービスを提供していても、その「商品の向こう側」は違うものになっているということがわかると思います。
これらの例は、「商品とは違う価値を持つ」と誤解されそうですが、必ずしもそういうわけではありません。
ビズアップではお客さまの声をたくさん聴くことで、これらを明確にしています。その結果、私たちの本当の商品は「ロゴ」ではなく「ロゴをつくる体験」だと定義することができました(なぜそう定義できたかは企業秘密 笑)。
これが我々の「商品の向こう側」です。決して「ロゴ」という本流から外れているわけではないということです。
そして、多くのお客さまの期待値を超えることがありがたいことにできていると、お客さまからいただく感想文を読んでいると感じることができます。
私は霧ヶ峰高原に何を期待していたのか。それは、前述していますが、改めてお伝えすると
- ここ(霧ヶ峰高原)でしかできない体験を、子どもたちにさせたかった
となります。ジャムの乗った謎のお菓子は家でつくれます。牛乳が飲みたいのではなく、「霧ヶ峰高原の牛乳」が飲みたいわけです。「牛乳の向こう側」を感じたいわけです。
ジャムの乗ったお菓子を開発しようとすることや、客の眼の前でビールジョッキに牛乳パックから牛乳を注ぐことがいかに愚かな行為かわかると思います。
お客さまの期待値を上回るには、「商品の向こう側」に目を向けなければいけません。そして「商品の向こう側」は、お客さまが意識的に感じているとは限りませんし、ましてや言語化されていることはほとんどありません。
御社の「商品の向こう側」は何でしょうか。そこに目を向けない限り、お客さまの期待値を上回ることはできないと考えたほうがいいでしょう。
諏訪市にブランディングでなにか貢献できたらいいな。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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