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2023年05月19日 ブランディング マーケティング メールマガジン 人間の能力 本の紹介 法則・ノウハウ 【第672回】最新科学から見た、「脳」と「価格」の関係

本日は熱海に来ております。ビズアップの幹部3名+1名で。来期に向けての事業計画の合宿をしております。

熱海は久しぶり。昨年の合宿は小田原でした。関東近郊の温泉街に行くのが、経営合宿のなんとなくの定番です。

さて、最近読んだ本があります。

田坂広志さんの「運気を引き寄せるリーダー 七つの心得 危機を好機に変える力とは (光文社新書) 」という本。

 

私が所属する経営者会の仲間の間で少し話題になっており、読んでみようと。。。

この本は、ややもすればスピリチュアルな話に傾きそうな「運気」といった目に見えないものについて、量子論や超個心理学といった最新の科学を用いて解説した本です。

量子論というのは不思議な学問です。私もネットで過去に調べたり動画を見たりしました。

たとえば、量子論ではこんなことが言われています。あることが決定したのは「観測したから(≒意識したから)」。イミフ(意味不明)ですよね(笑)。

「二重スリット実験」と呼ばれるものがあります。だいぶ端折って説明しますが、これは観測したときとしないときで結果が変わるという不思議な、というか意味がわからない、けどたしかにそうなる、みたいな実験らしいです。

他にもあります。赤い玉と青い玉をそれぞれ箱に入れて、どちらか一方を宇宙に飛ばします。どちらの色の玉が宇宙に行ったかは、手元に残っているほうの箱の中の玉を確認すればわかりますよね。

ところが、量子論的には、手元に残っているほうの玉を確認するまで、どちらが宇宙に行ったかは確定していない、とするそうです。

「ちょっと何言ってるかわからない(サンドウィッチマン)」ですが、なんとなく「パラレルワールド」とかの存在を肯定しそうな理論です。

で、「観測(意識)」すると結果が確定するということは、量子論は脳みそとも密接な関係があると考えられます。「量子脳理論」なんてのもあるらしいですよ。

この世は思っている以上に不思議な世界です。自分が「そうだ」と思っていることが正しくなかったなんていくらでもあるわけです。

コ□ナやわくわくする注射も同じですね。「国がそんなことをするわけがない」というのはもはや絶望的なまでに間違った思い込みだったことに気づいてきている人は増えています。

映画「マトリックス」を見た人は多いと思います。あの映画は、一見、現実だと思った世界こそが「仮想現実」で、不思議な宇宙船みたいな中に主人公たちが乗っているほうが本当の現実でした。

あれって、SF映画だからああいう世界観を表現していると思うと思います。しかし、量子論的には本当にマトリックスの世界がこの世の中に存在している可能性が考えられます。

というかですね、そもそもですよ。テレビなどの大手メディアからの情報しか得られない世界に生きていたら、それはまさにマトリックスでいうところの「一見現実っぽい世界」で生きているのと変わらないと思うんです。

想像してみましょう。VRのゴーグルみたいなのをみんなが着けているとして、そこからはテレビの情報しか得られないとしたら、これは仮想現実にいるのと何が違うのでしょう?

今、特に日本人はほとんどこれと同じ状態だと思うんですよね。イメージとしては、「VRゴーグルをかけさせられた羊」です。

その「テレビというVRゴーグル」を一度外してみてほしい。これは思いの外かんたんにできます。テレビを見ないようにして、コ□ナなど何もなかったように生活するだけです。

というわけでコロコロニュース。

もうNHKにお金を払うのはやめよう

NHKを信用してはいけないことがよくわかる

知ってる人は知っている、知らない人は絶対見てね

というわけで、私は少しでもマトリックスの世界からみなさんを現実に引き戻すべく、微力ながらコロコロニュースを配信しております。

以上。

さて、私は脳とか脳科学とかが大好きです。好きなだけですごく詳しいわけではないですが、なぜだかすごく惹かれるのです。

今日はいわば、「ビジネスと脳」といったようなお話。

最近では、マーケティングとかブランディングが脳科学的にアプローチされてきているようです。「ニューロマーケティング」という言葉もあるそうですよ。

今日は以前購入した脳とマーケティング、ブランディングについて書かれた本の中から、ビジネスシーンで役立てていただけそうな内容のものを3つほどご紹介したいと思います。

少しアカデミックになるかもしれませんがご容赦くださいませ。

●脳と価格について
●脳と香りについて
●脳と印刷物について

 

●脳と価格について

「ニューロマーケティング」というものがあると言いました。

これはどういうものかというと、脳の活動をスキャンできる機械(fMRI)を用いて、実際にマーケティングやブランディングに関する実験を行い、それをビジネスに活かす、というものです。

つまり、今までは心理学者とかが一生懸命仮説検証を行ってきたことに関して、これからはfMRIなどを使って脳みそに直接聞いちゃおう、という試みなんですね。

たとえば価格に関して。

何かを買うという行為は、実は脳スキャンをしてみると脳の痛みを感じる中枢を刺激している場合がある、ということがわかったそうです。

買い物のすべてのケースではありませんが、買い物は「痛い」と感じることとと同じ場合があるということなんです。

そして、金額の大小よりも価格が「適正か」のほうが脳みそにとっては重要だそうです。

なので、たとえば車を買う場合に人は、それが適正だと思えばほとんど痛みを感じることなく付属品に何万円、何十万円も費やします。しかし、自販機にお金を入れても何も出てこなければ頭にきます。

200円のコーヒーと1000円のコーヒーがまったく同じ豆、製法からできているまったく同じコーヒーだと知ったら、1000円のコーヒーを出す店に腹を立てるかもしれません。

行き過ぎた心理操作みたいなことはどうかと思いますが、簡単に言えばこの「痛み」を上手にやわらげてあげることができれば商売はうまくいく可能性があるわけですね。

「セット販売」などはこの痛みをやわらげてあげる効果があるそうです。

また、人間ははじめに見たり思い浮かべた数字にアンカリングされてしまう傾向があります。アンカリングとは、脳に錨を下ろすがごとく、あるイメージを植え付けること。

たとえばこんな実験がアンカリングの恐ろしさを物語っています。

とあるコードレスキーボードの価格としていくらくらいがふさわしいかを調査する、と表向きにうたってやった実験です。

被験者、つまりキーボードの価格を回答する人たちに回答の前に社会保障番号の下2桁を思い浮かべてもらいました。

すると、キーボードの価格がいくらが適正かは以下のような回答結果になったそうです。

  • 下2桁00−19の人の平均:$16.09
  • 下2桁20−39の人の平均:$26.92
  • 下2桁40−59の人の平均:$29.27
  • 下2桁60−79の人の平均:$34.55
  • 下2桁80−99の人の平均:$55.64

わかりますでしょうか。下2桁の番号が大きいほど、キーボードの適正価格を高くしてしまう傾向があったのです!ひ〜、おそろしい!

しかし、痛みを感じるからといって、では安いものを売ればいいのか、というとそれは早計です。

ここが脳の複雑怪奇な部分ですが、高い金額を払った人のほうが商品に対する満足感や効果の実感が高くなるということも実験から明らかになっています。

ある実験では、高い金額を払って栄養ドリンクを購入した人は、同じ商品を割引価格で購入した人よりパズルにチャレンジさせたときに早く解けることが判明したそうな。

さらには、鎮痛剤を1回分2.5$と伝えて渡すと85%の人が痛みが軽減したと報告するのに対し、1回分10セントと伝えて渡すと61%の人しか痛みの軽減を報告しなかった、という実験の結果もあるそうです。

高額商品をむやみに値下げ、値引きしてはいけないという示唆に富んだ実験の結果ですね。

いや〜、これってすごいことですよ。私も最近お酒を呑む前に「ヘパリーゼ」を飲むようにしているんですが、ちょっと高いほうを飲んでますからね(なんのこっちゃ)。

でもどうせ飲むなら効きそうなほうを飲みたい。そして単純に高いほうが効くだろうと思い込んでいる。

たぶん高いほうが有効成分の量が多いのだと思いますが、多いからといってお酒の分解能力が上がるかまではおそらく保証されていないわけです。まあ、プラセボ効果みたいなのは働きそうですけどね。

 

●脳と香りについて

「人間は目の動物」というくらい、脳への情報はほとんどが視覚情報と言われています。

その数値は実験結果によりさまざまですが、7割以上とか、場合によっては87%などとも言われています。だからデザインはとても大切なわけです。

ところが最近の調査では、こと「感情を引き起こす」ということに関しては、実にその75%が嗅覚によって引き起こされている、という説が浮上してきました。

もちろん、だからといって視覚情報が重要でない、ということにはまったくならないですが、

「感情を引き起こす」

という点においては嗅覚に軍配が上がるようなんです。

たとえば、何かの匂いを嗅いだときに急に過去の記憶がフラッシュバックしてくることとかはありませんか?私は古い木の床の匂いを嗅ぐと、小学校1年生のときの、それも入学間もないころの映像が浮かんできます。

ちょっと小難しい話をしますと、脳は主に大脳新皮質と大脳辺縁系とに分かれていると言われています。

大脳新皮質は「新」とつくとおり人間にとってはわりと新しくできた脳のパーツです。主に言葉や数字などを扱います。大脳辺縁系は人類が言葉を発明するずっと前からあるパーツで、主に感情や本能的なことを扱います。

五感の中で、嗅覚刺激だけはこの大脳辺縁系に直接伝わると言われているそう。

「ふーん、だから何?」
「うちは匂いが関係する商売じゃないし」

と思われるかもしれません。では、こんな調査結果があるのを聞いたらどう思いますか?

ある実験で、まったく同じナイキのスニーカー2足を別々の部屋で消費者に評価させました。片方の部屋は花の芳香で満たされており、もう片方は無臭でした。

その結果、84%の被験者が、香りがする部屋で評価したほうがスニーカーが優れていると回答したそうです。

さらに、カジノで行われた実験ではフロアに良い香りを漂わせるとスロットマシンに入れる金額が45%増えたそうです。だからカジノっていい匂いがするんだ(汗)。

さらにさらに、あるシャンプーは機能はまったく変えず香りを変えただけで、

「泡立ちが良くなった」
「すすぎがしやすくなった」
「髪のつやがよくなった」

と被験者が感じることがわかったそうなんです。

さらにさらにさらに、今度はちょっと色っぽい話。

普通の映画を見た男性が着たシャツ、エッチな映画を見た男性が着たシャツ、この2つのシャツを女性の被験者に嗅いでもらうという、ちょっと変態っぽい実験(笑)が行われました。

結果は、ほぼすべての女性が「どちらのシャツも何も匂いがしなかった」と答えたのに、fMRIで脳を見てみると、性的に興奮した男性のシャツの匂いを嗅いだ女性の脳は、活性の仕方が明らかに違っていたそうなんです。

ここから言えるのは、聞き取りアンケートなどの結果が必ずしもアテになるとは限らない、ということです(もちろんなる場合もある)。

匂い、あなどりがたし!

独身男性は、女性とデートする前にエッチな動画を見てから行くようにしましょう(笑)。

 

●脳と印刷物について

ここ数年、デジタルシフトにより印刷物の需要は減っています。そして、成果物として差別化しづらい印刷業はより価格競争へと陥っています。

ペーパーレスが叫ばれて久しいわけですが、そんな中、デジタル広告と紙の広告の意外な関係性が脳スキャンからわかってきたそうなんです。

調査の結果、まずは印刷広告のほうが脳に「より深い痕跡」を残すことがわかりました。

たしかに、紙のほうが手で触ることができますから、五感のうちの「触覚」も刺激できます。

ところが、その点を考慮して補正を行ってもなお、紙などの有形媒体のほうが有利だったのです!

デジタル広告と紙広告、これらを見たときに脳のどの部分がそれぞれ活性化したかを確認すると、有形媒体のほうが脳にとって「より現実的なもの」であると認識するそうなんですね。

有形媒体のほうが物理的位置を持つので(簡単に言えば3Dなので)、脳内の空間記憶に関わる神経回路網も活性化するそうです。

たしかに以前から、紙で見るのと画面で見るの、同じものでも脳みその使われる部分が違うというのは聞いたことがありました。私はそれから、考えごとなどをするときは極力紙を使ってやるようになりました。

そしてさらには、有形媒体は被験者の脳内の感情的処理を増大させたそう。

どういうことか簡単にまとめると、紙媒体の広告の記憶のほうがより鮮明で、しかも何かしらの感情を伴って残りやすい、ということなんです。

だから、紙質を良いものにしてみたり、型抜きやエンボス加工などをしてみたり、といったことには十分な意味があるんです。良い感情を伴って御社が記憶される可能性が高まりますから。

その逆に、見た目をおろそかにしたり、名刺や封筒、パンフレットなどが安っぽいと、相手に悪い記憶(会社の印象)が強く残るわけです。

これに近い話ですが、私は常々「重さ」と印象は関係がある、と感じていました。

デジタルは重みを感じませんが、紙は感じますよね。

そこから発展して、我々の名刺印刷サービスは、一番安い価格のものでも他社と違い厚い紙を使っています。ペラペラの紙の名刺よりも厚くて重いほうが名刺交換時に絶対に印象が良い!そう思っていたんですね。

なぜそう思ったか。これは私がサラリーマンのときに遡ります。

このお話はこのコラムで何度かしていますが、当時の会社で、あるお客さまのサンドイッチの袋のデザインと印刷をいただいたときのこと。印刷素材の厚みについて、業者さんと打ち合わせしていました。

フィルム包装というのは何ミクロンという単位で素材の厚みごとに仕入原価がかわります。

当然、包装資材のコストは安い(=薄い)に越したことがない、そう思っていたのですが、そう思った私に、その業者さんはある話をしてくれました。

当時、セブンイレブンのサンドイッチがバカ売れしていました。他のコンビニよりもはるかにセブンイレブンのサンドイッチが売れていたのです。

その秘密は、なんと包装資材にあるとのこと。

セブンイレブンは原価が高くなることを承知で、もっとも厚いフィルムを使っていたのです。

そして、他のコンビニよりも20〜30円高くサンドイッチを販売していました。

手に取ったときの重厚感から、消費者が「質が高い」と判断したのでしょう。まさに今回のテーマを裏付けるようなお話です。

セブンイレブンの大ヒットに慌てた他のコンビニも、それを一斉に真似しました。

この話から、前述のように名刺は厚い紙を提供しているわけですが、そもそも人間は脳の構造上、重いものは高品質だと感じるケースが多いと私は仮説を立てています。

世の高級ブランドは広告やロゴ、包装資材になぜ黒や濃紺などをよく使うのか。それは色が重いからです。色から重さを感じるから。そして重いものは高品質だと感じるから。

こういうことをきちんと説明できるデザイナーはいません。なんとなく多くの人が(デザイナーですら)「高級=濃い色」と直感的に思っていますが、こういう理屈があったんです。

と、ここまでは私の理論であり仮説の域を出ませんでした。

ところが、今回ご紹介している本にまったく同様の記述が!脳スキャンをした結果、重量と重要性にはかなりの関係性があることがわかりました。

本にはこんな実験について書かれています。

とある就職希望者の履歴書を社内で検討する際、ある社員たちには軽いクリップボードに挟んだ履歴書を、また別のある社員たちには重いクリップボードに挟んだ履歴書をそれぞれ渡しました。

その結果、軽いクリップボードを持っていた人より重いクリップボードを持っていた人のほうが履歴書の人(応募者)がその仕事により真剣な関心を持っていると判断を下したのです。

デジタルは重みを感じづらいです。そういう観点からも紙媒体はまだまだ重要度が高いといえます。多くの企業がデジタルシフトしペーパーレスを実践すればするほど、差別化できる可能性が高まります。

ちなみに、重さから重要度を感じさせるためには読み手にレンガを持たせながら広告を読ませるだけでも効果があるそうです。

見るものと重さを感じるものが無関係でも、見ているものを重要と感じてしまうということです。すごいですね。

さて、いかがでしょうか。

こういう話は「小難しくてわからないという人」と「めっちゃ好き!」という人に分かれると思います。

もし好きということであればこちらの本をおすすめします。商売のヒントもありますが単純な読み物としても面白いと思います。

顧客の購買欲求を生み出す脳と心の科学【脳科学マーケティング100の心理技術】ロジャー・ドゥーリー著

今回のお話はこの本からの引用でした。

ちなみに、この本の帯には「知らない間に買っている」と書かれていますが、私はすでにこの本を1冊持っていることをすっかり忘れ、知らない間に2冊買っていました!!脳科学マーケテイング、おそろしい!(笑)

 

今回はここまでです。

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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