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2022年05月06日 メールマガジン 広告 【第622回】地方のテレビCMのクオリティはなぜ低いのか?

世間はゴールデンウィーク真っ只中、本日はお休みという方も多いのではないでしょうか。

私たちビズアップは、カレンダーどおりの営業をしております。が、2日と6日は有給推奨日。多くのスタッフが10連休を満喫しております。

昔はまともに有給を取らせてあげることもできない会社でした。7〜8年前とかでしょうか。ブラックと言われてしまいそうですが、「有給?なにそれ食べれるの?」という感じでした。

そもそも私が新卒で入った会社もそんな調子だったので、まるでひよこが初めて見るものを親と思い込むかのように、初めての会社の風習が「そんなもん」と染み付いていたのでしょう。

6年間いましたが、有給を使ったのは1日あったかな?くらい。当時は二足のわらじでバンドも真剣にやっていました。あるとき、どうしても平日にライブが入りそうで、その日だけ有給を取らせてくれと上司(支店長)に伝えました。

すると「そんな理由では有給は取らせられないから、おじいさんかおばあさんが死んだことにしろ」というナゾのアドバイスをもらいました。当時の自分は上司に感謝しましたが、今考えるとおかしいですね(笑)。

そんなかつての会社は残業代は一切でず、「残業パン」と銘打たれたナゾのおやつが提供されていました。180円くらいで5〜6個入っているパック売りのパンひとり1個(1袋ではなく1個)。

金額にして30円くらいでみんな毎日夜10時とか11時、遅いと終電まで仕事をしている人だらけでした。

今となってはいい思い出です。そんな時代はもう来ないでしょう。いや、来るかもしれないな。もちろん喜ばしい意味ではなく。。。これからはどんなに厳しい環境、内容でもいいから頼むから働かせてくれと日本人が懇願する時代が来るかもしれません。

今の時代が相当おかしいということに30〜40代以上で気づいていない人は相当ヤバいと個人的に思っています。今までもヤバかったのでしょうが、今はあからさますぎます。国やメディアが言っていることがこんなにあからさまにおかしい、疑ってかからないと痛い目を見るような時代、私は経験したことがありません。

というわけで今週のコロコロニュース。といきたいところですが、あまり新しいネタはないですね。ゴールデンウィークなのでお休みということで。。。

とにかくみなさん、いろいろな情報に触れてみてほしい。ネットだからSNSだからとへんな偏見を持たず、幅広い情報に触れてみてほしいです。間違っても、「国が言っているから」「テレビが言っているから」とならないでほしい。そこに疑いを持たなかったら30円のパンで夜中まで働かされているのと変わりませんので。

さて、本日のお話です。本日はゴールデンウィークの真っ最中ということもありますので、かる~く、ゆる〜く。あまり役に立つ感じではないかもしれませんが、ちょっとおもしろいなと感じていただけるように(前回もそんな感じだったな。。。)。

本日は動画やテレビCMについてのお話。

 

●動画の情報量は静止画の◯◯倍?

最近では、You Tubeやニコニコ動画など、動画コンテンツプラットフォームが日本だけでなく世界的に流行っています。流行っているというか、もはや定番といってもよいのでしょう。

なぜ定番といえるまでこれらのプラットフォームや動画コンテンツが浸透したかといえば、動画には強力な効果があるからです。

このメルマガで再三お伝えしている「言葉と画(え)」、これを同時に伝えることができるのが映像です。一説には、動画は静止画の1000倍とも5000倍とも言われる情報量を伝えられるとか。。。

言葉と画(え)のみならず、音楽でもイメージを伝えたり印象付けることが可能ですし、画(え)に動きがつきますから、その動きも印象づけに大きな影響を及ぼします。なので乗算的に1000倍、5000倍になる可能性は十分あります。

少し難しく言いましたが、すっごく平たくいえば、動画は

  • 超わかりやすい

ということです。わかりやすくつくることが、言葉と画(え)だけよりもできるわけです。

単純に五感に訴える量が多ければ多いほど、相手に多く、強く情報を与えることができますから、新聞よりラジオ、ラジオよりテレビと普及してきたわけですね。

そして、今や場所を選ばなくなった動画プラットフォーム。その背景には「スマホ」があります。誰でもいつでも簡単に動画を見ることができるばかりか、撮影できるようになりました。

 

●効果は未知数!津久井が好きな映像CMをご紹介

さて、テレビCMに代表されるような映像による広告は、今やどんな企業でも打てるようになりました。

今回はゴールデンウィークなのでかる~く、ゆる〜くとお話しましたが、私が個人的に好きな映像CMをご紹介します。なお、広告効果があるかどうかはひとまず置いておきます(笑)。

 

【リクルート B-ing】

リクルートの「B-ing」は転職情報誌です。ワタクシ、このCMが好きでいまだにYou Tubeでたまに見返してしまいます。軽く前提をお話すると、仮面ライダーに出てくる敵の戦闘員「ショッカー」が転職したくなっている、という映像です。

映像は数本まとめてYou Tubeにアップされています。

B-ingのCM集

途中、ショッカーの心のつぶやきが出てきますが、おそらくこれは実際に転職を考えていたり今の職場に不満がある人へのリサーチを行って出てきた回答をもとにコピーと映像を考えていると思われます。

 

【リクルート ホットペッパー】

リクルート2連発です。ホットペッパーのCM、今から15年前くらいでしょうかね?これも好きです。

CMで狙った効果としては、おそらく認知度アップとクーポンという文化の浸透。そして「無料配布」。当時このような無料配布のクーポン雑誌は日本ではホットペッパーが初だったと思われます。

ホットペッパーのCM集

 

【日本建設工業】

日本建設工業はいわゆる建設業の会社さんですが、中でもエネルギー系の施設に関わる建設工事を得意とされているようです。営業品目を見ると、

原子力、火力、一般産業用プラント及び関連設備に係る機器及び電気計装設備の据付、定検・改造・補修・解体工事の設計及び施工管理、並びに配管・支持構造物・操作架台・ダクト等の設計、製作、据付、クリーンエネルギー(太陽光、水力、水素等)関連設備の製作、施工

とあります。社員数は465名、経常利益で72億もある大手企業が日本建設工業です。

そんな日本建設工業のCMをご覧ください。

日本建設工業CM

すごい好きです。日本犬もセツ子もウギョーもたまりません。ウギョーってなんだよ(笑)。しかも主人公らしきヒーローが最後のほうでは端っこに追いやられています(爆)。

ホームページだけ見るとすごいマジメな大手企業、よくこんな映像をOKしたなと本当にリスペクトします。

ちなみに認知度アップという効果だけで見れば相当あったはず。なにせ、この動画は400万回以上再生されていますから。

 

【株式会社雨宮】

シロアリ駆除や鳩、カラスなどの鳥害対策をしている会社、雨宮のCM。これも一時期かなり有名になりました。

このCMはナゾの中毒性を持っていて、私自身も何度も見てしまいましたし、我が家の子どもたちが小学生のころに見せましたが、CMの曲(?)をずっと歌ってました。。。

かなり意味が不明だと思いますので心してご覧ください(笑)。

♪鳩に困ったら雨宮〜

この動画を作成したのはac部というクリエイター集団です。ac部は他にもgroup_inou(グループイノウ)というテクノユニットやクリープハイプとったミュージシャンのミュージックビデオも作成しています。

この動画も再生回数がすごいですので、認知度はかなりアップしていると思います。が、果たしてターゲットに届いているかは不明(笑)。

 

【SANKO】

SANKOは転職斡旋の会社です。B-ingもそうですが、この業種はわりと融通が利くというか、柔軟な思考力をお持ちの会社が多いのでしょうか。古くは「オージンジ、オージンジ」で有名なスタッフサービスのCMも面白かったですね。

サンコーCM集

個人的に好きなのは切手のために汗をかく人です。

 

●地方の企業のCMはなぜさぶい?

私はすっかりテレビがキライになってしまいましたが、テレビCMを見るのが比較的好きで、今でもたまに1970年代〜2010年代などのテレビCMをYou Tubeで見たりします。他にも面白いCMはまだまだたくさんあると思いますが、ここでは当然紹介しきれませんのでこのあたりで話題を変えたいと思います。

つづいては、こちらをご覧ください。

中川家「中小企業のCM」

これ、面白くないですか?よく観察されているなって感じるんですよね。

中小企業、特に地方の中小企業のCMはなんでこうなってしまいがちなのでしょうね?子どものころにおじいさんの家(長野県)に泊まりに行ってテレビを見るたびに感じていました。

そこでYou Tubeで「地方のCM」と検索してみたところ、このようなCM集が出てきました。

全国ローカルCM傑作選

これ、今も流れているCMなのかどうかは不明ですが、「THE地方CM」が集まっている感じです。さらにその中でもクオリティが別れます。見てもらうとなんとなく感じると思います。

まず、古いか新しいかをなんとなく感じますよね。つづいて、ダサいかダサくないか(笑)。

これは人間に備わった認知機能のひとつですから仕方がないことですが、ロゴでもCMでも素人っぽいものや古臭いものは相手にわかってしまう、感じられてしまうわけです。企業側がそれをわかっていないと陳腐化してしまったり、印象を損ねてしまったりする。こういった感性に関わることは、思った以上にシビアで重要なことなんですね。

さて、なぜ地方のCMは素人っぽくなってしまうのでしょうか?私は映像のプロではないので詳しいことはわかりませんが、なんとなく以下のポイントがありそうだなと感じました。

  • 脚本が悪い
  • 役者が悪い
  • 機材や設備が悪い

これらのどれか、またはすべてに当てはまっている可能性が高いなと感じます。

「クラブ悪」のCMなどは何をしたいのかさっぱりわかりません。もしかしたらコンセプトは「ヤ●ザ」なんでしょうか?でも呑んでいる店がサラリーマン風情たっぷりの店だし、役者も普通のサラリーマンにしか見えない。なぜ英語なのかもわからない。

脚本が悪いし、役者も悪い。機材や設備もおそらくダメ。三重苦です。

同じ意味不明なら「鳩の雨宮」のほうが面白い。なぜでしょう?「クラブ悪」は何かを伝えようとしているのに伝わっていないからでしょうか。それに対して「鳩の雨宮」はもはや名前以外は何も伝わらなくていいという開き直りが面白いのかも(そういう意図が制作サイドにあったかは不明ですが)。

他にも犬の鳴き声を永遠と繰り返す静止画のCMとか、逆にシュール過ぎてある意味興味をそそりますが、なぜこれでいいと思ったのでしょう(笑)。ブルース・リー風の男が「オチャー!!」と叫ぶだけのお茶のCMはなぜこれでイケると思ったのか。。。不思議すぎて面白い。

個人的にヒットしたのは、葬儀の会社「天国社」のCMソング。「♪まだまだ逝かない 天国社」。最高です。逝ってもらわないと儲からないのに(笑)。とある墓石会社のキャッチコピー「今すぐ入りたくなるデザイン」と同じくらい素敵(笑)。

ただ、この天国社さんにはマーケティング的な戦略を感じますね。残りの人生を謳歌することを応援し、そのころから関係をつくる。これにより「死んだら天国社に」という選択を自然としてもらうようにという意図を感じます。

さて、「脚本が悪い」「役者が悪い」「機材や設備が悪い」ということがなぜ起こるかといえば、私はほとんどが予算の問題だと考えています。

逆にいえばここにビジネスチャンスがあるとすら感じます。少ない予算でも面白いCMをつくるにはどうしたらよいか。

私なら「機材や設備」に資金を集中投下し、脚本はアイデア力でカバーします。役者も素人のほうが面白い、または役者がいらないというような、そういう脚本をつくれないか。

そういう意味では、リクルートのB-ingやホットペッパーのCMは秀逸だと思います。映像使用料にいくらかかっているかがわかりませんが、それでも役者はいらない、なんなら設備もいらない。脚本の面白さとアフレコの声優さんのクオリティに集中するだけで面白いCMになる。

こういうクリエイター魂を感じたときにテンションがあがってしまうのは私だけでしょうか?

 

今回はここまでです!

津久井

投稿者プロフィール

津久井 将信
津久井 将信
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。

かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。

2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。

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