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「相席食堂」が面白い。関西ABCの番組で、千鳥の2人が司会。ロケに出ている出演者にツッコミを入れていくという番組です。アマゾンプライムビデオで見れますのでぜひ(Amazonの回し者ではありません 笑)。
Netflixも気になっているんですよね。全裸監督が見たいし、友人経営者がいうにはビジネス系ドキュメンタリー番組など役に立つものも多いとのこと。。。
しかし、Netflixまで入ってしまうと、もはやインプットだらけになってしまいそうで怖い。インプットしすぎると人は馬鹿になりますから(コラム588号より)。。。
さて、今週のコロコロニュース。このあたりですかね。
実際の投稿はこちら
それとコ□ナの状況も含めて世界中がキナ臭いですね。中国の巨大不動産会社のデフォルト危機、アメリカのインフレなど。台湾と中国も一触即発の雰囲気。リアルタイムで知っているわけではないですが、第二次大戦前もこんな様子だったと水木しげるのマンガで読んだ記憶があります。恐ろしい。
そうなってくると個人的にはロシアに移住したい。実はプーチンさんいい人説。コ□ナもロシアの人たちの中では終わっているみたいだし、ワク◯ソ強制もないみたいだし。でも移住するとなー。食事が心配。やっぱりご飯と味噌汁が最高ですからね。
さて、本日のお話です。
みなさんはパンをよく食べますか?私は実はあまり食べません。休みの日の朝食にヨメが出してくるものくらいでしょうか。平日は朝ごはんガマンしてますし。。。
なぜパンをあまり食べないかというと、
- お腹いっぱいになりづらい
- お腹いっぱい食べようと思うとわりと高くつく(コスパがあまりよくない)
- 小麦を食べすぎないようにしている
という観点からです。
小麦を食べすぎないようにしているというと、今流行りの「グルテンフリー」を意識していると思われるかもですが、特にそういうわけではありません。以前に人の顔色を見て内臓のどこが不調かを見抜くというSPEC(特殊能力)を持っている人に「麺類とか小麦系を食べすぎです、お米食べてください」と言われたことがあるからです(ちなみに本当は特殊能力ではなく東洋医学です 笑)。
また「足裏デトックス」的なものをやったときに、やはり「麺ばっかり食べてますよね?」とそこの店員さんに突っ込まれたこともあります。足の裏から小麦?がいっぱい出たみたいです(笑)。
SPECホルダー(特殊能力者)の方に言われて米食を増やしてから、気のせいかもしれませんが少し体調がよくなったんですね。米は炭水化物だからよくない、なんてことも言われますが、かたや日本人は米を食べないといけないという説もあって、自分的には後者がマッチしていると感じています。
麺類大好きだった私ですが、今では米食と麺類をはじめとした小麦系の食事との回数を意識するようになりました。米食4回以上で麺1回。夜呑み会が多い=夜に主食を食べないことが多い自分にとって、米4回で麺1回はなかなか。麺好きでしたが、今はうどん、そば、ラーメンのいずれかを週1程度ですね。そうするとより一層「パンの出番」はなく。
というわけで本日は栄養学についてのお話。。。ではなく。。。
パンは今では休みの日の朝にヨメが出してきたものくらいしか食べない、と言いましたが、女性ってパンがめちゃめちゃ好きじゃないですか?なんでだろう?うちのヨメ含め、女性が「どこどこのパン屋さんがおいしい」とか話しているのをわりとよく聞きますが、ごめんなさい、正直あまりおいしさの違いがわかりません。
以前のメルマガにも書いた「女性に好まれるが男性に理解できないもの」の1位が「花」、2位が「ディズニーランド」ですが、3位に「パン」が入るんじゃないかな(笑)。
そんなパン屋さんにも「進化系」が登場するようになりました。最近よく見ませんか?「食パン専門店」というお店。
「進化系」は今ちょっとはやりのブランディングのひとつみたいな位置づけですが、本日言いたいのは「食パン専門店(パン屋さんの進化系)、いいよね〜」というよりもむしろ、「食パン専門店、多ない??(なぜか関西弁)」ということ。食パン専門店が登場したばかりのときはよかったけど。。。
●そもそも進化系とは?
このコラムの熱心な読者さんであれば「進化系」をご存知かもしれませんが、改めて説明します。
今までも「コインランドリーの進化系」や「おせんべいの進化系」、「コーラの進化系」などをこのメルマガで紹介してきましたが、「進化系」とは旧態依然とした業界や商品に新しいイメージ、他にはないイメージを取り入れてバージョンアップさせたものです。主にデザイン(見た目)により今までにはないと「感じる」イメージを構築します。
コンセプトや見栄えを今までにないものに変えることで、その商品、業界が今までとは違った認識をされヒットするわけです。
時代は繰り返すといいますが、洋服や音楽も一周回って、みたいなことはよくありますよね。たとえば私が高校生のころはベルボトムのズボンが流行りましたが、それを見た父親に「パンタロンがまた流行っているのか?」と聞かれたことがあります。
実はこれ、ただ単に1周しているのではありません。ちょっとずつ形を変えている、つまり進化しています。考え方としては螺旋です。真正面から見るとただ単に1周したように感じますが、立体でとらえると少し進んでいるわけです。
では、進化系にするとなにがうれしいのか。
このメルマガで何度も登場する、私のデザインの師匠伊吹卓先生が考案した「メリコの法則」を使って解説します。
- メ:目立つこと
- リ:理解できること
- コ:好感が持てること
まず目立つかどうかといえば圧倒的に目立ちます。すでに知っているモノ、コトが新しくなって登場する。その際にまだまだ旧モデルが残っていれば残っているほど相対的に目立ちます。ギャップを感じさせることができるからです。「え?これがおせんべいなの?」「こんなコインランドリー見たことない!」となります。
理解できるかということに関してもアドバンテージがあります。すでに知っているから、「what(そもそも何なのか)」が一発でわかります。
そして好感が持てるかどうか。前述のとおりここでデザインが大きな役割を果たすのですが、進化系では「今までと違う」ということと「ステキだ」ということを表現するのがデザインであることがほとんどです。進化系では好感をもってもらうことが大前提ですから、メリコの「コ」に関しては当然ながら備わっています。
まさに売れる商品の条件「最適レベルの新しさ(MAYA段階といいます)」に見事に合致します。
また、今まであったものが目立って新しくて洗練されている、こうなるとメディアで取り上げられる確率は格段に上がります。そうすると時流を生み出すことができます。進化系が強いのはこの「時流を生み出せる」ことと言い換えてもよいです。
さらには、デザインをおしゃれにしただけではない進化を遂げた進化系もあります。コインランドリーの進化系「Baluko Laundry Place」はただ単にコインランドリーのイメージチェンジをしただけではありません。コインランドリーを使う人のニーズやウォンツを良く考えてクリーニング店を併設したりカフェを併設したりしています。
この「進化系」で注意しなければならないのが、「ほぼ早いもの勝ち」という点です。
進化系のポイントは、「知っているけど違う」という点であり、言い換えるならまだ誰もやっていないということです。「すでに知っている」では相対的に目立つことはできません。いち早く進化系として業界の「元祖」になり、消費者の脳内シェアを奪えるかどうか。二番煎じだと「パクリ」という評価をされてしまうことすらあります。
なので今お持ちの商品が「進化系」になれるならばすぐにでも行動を起こすべきです。
重要な注意点として、基本的にはBtoCの業界、商材であることが多いという点です。もちろんBtoBで成立しないわけではないと思いますが、今のところ事例で見かけるもののほとんどがBtoCです。
●それにしても多すぎる食パン専門店
それにしても、パン屋さんの進化系「食パン専門店」は多すぎます。
そもそも食パン専門店の元祖はどこなのでしょうか?ネットで調べる限りだと、「高級「生」食パン専門店 乃が美」が元祖のようです。私の記憶でもまさにそのとおりです。
高級「生」食パン専門店 乃が美
https://nogaminopan.com/
「パン」「食パン」といえば正確には「洋食」ですが、「乃が美」は和テイストのデザインでロゴも筆文字、パンの世界に新しい世界観をデザインを通して展開しました。店舗も和テイスト。でも「パン」ですから完全な和ではなく、そこはかとなく和洋折衷感が漂います。ステキなデザイン。
おそらくですが、次に有名になったのが「銀座」の地名を冠した「銀座に志かわ」。ネーミングセンスは抜群です。「銀座」は「コンセプトワード」です。「コンセプトワード」とは、人々の頭の中にすでにある特定のイメージを植え付けているワードです。「銀座」の「パン」と聞けば、誰もが高級なものをイメージするでしょう。また「に志かわ」は字面が良い。
銀座に志かわ
https://www.ginza-nishikawa.co.jp/
しかし、一体なぜ同じ「食パン専門店」で同じ「和テイスト」のデザインにしたのかが解せないですね。
もしかしたら「乃が美」よりも先に食パン専門店の進化系の市場=「食パン専門店といえば?」のユーザーの脳内シェアを奪えると考えたのかもしれません。「進化系」は前述のとおり早いもの勝ちの要素が強いですが、「乃が美」が大阪発祥に対し、関東に出てくる前に、または出てきても市民権を得る前に仕掛けてしまおうという思惑があったのかもしれません。
このあたりは「乃が美」がいつ多店舗展開(特に東京進出)をし、「に志かわ」がいつオープンしたのかの時系列がわからないとなんとも言えませんね。
とはいえ、現在は「食パン専門店戦国時代」とも言えるような群雄割拠の時代。他にもどんな食パン専門店があるか見てみましょう。
高級食パン専門店 嵜本
https://shokupan-sakimoto.com/
和テイストとは言い切れませんが、やはり「高級」押しということもあり、トーン&マナー(平たくいうとデザインの方向性とか雰囲気)は「乃が美」や「に志かわ」を意識していそうです。
高級食パン専門店 あずき
https://www.shokupan-azuki.jp/
ブランド名が「あずき」だけにやはり和テイスト。ただサイトの中には「Hello,Dear Japanese.」など英語が出てきて和洋折衷感あり。それにしても冠がまたしても「高級食パン専門店」っていうのが。。。
高級食パン専門店 北新地 忠み
https://shokupan-tadami.com/
また「和」。そしてまた「高級食パン専門店」。
最高級食パン専門店 レアノザン
https://tokyo-noarezan.com/
「高級食パン専門店」の次は「最高級食パン専門店」。もはやギャグなん?しかも横文字系の店名なのにやっぱりデザインのトンマナは和(和洋折衷)。ロゴなんか思いっきり和だし。
焼きたて食パン 一本堂
https://shokupan-ippondo.jp/
「最高級食パン専門店」の次は「焼きたて食パン」と来ました。ちょっとパンチが落ちるな(笑)。そしてやはり店名が和。そしてロゴも筆文字。サイトを見ると「乃が美」や「に志かわ」に比べ、和でもポップなテイストではありますが。。。
一本堂さんは店舗ごとにデザインが微妙に違うらしく(ロゴ以外統一されていない)、写真は看板のものをオフィシャルサイトから引用しました。
食パン専門 髙匠
https://www.shokupan-takasho.com/
やっぱり和じゃ!和はもうええんじゃ!(千鳥風ツッコミ)ちなみに「高級食パン専門店」→「最高級食パン専門店」→「焼きたて食パン」からの「食パン専門」はパンチが弱いんじゃ!ちなみに髙匠さんは私の自宅の近くにも最近できました。まだ行ってません。
なんかやっと普通のパン屋さんらしい感じのお店。ただし「進化系」と言えるのか。。。ただ、やはり商材を絞っている(と思われる)ことでデザイン的にはミニマルな雰囲気で、やはり「THEパン屋さん」というテイストとは一線を画しているといって良さそう。
俺のBakery
https://www.oreno.co.jp/sp/bakery/
「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」などを展開する「俺の株式会社」。創業者はブックオフの創業者でもある坂本孝氏(現名誉会長)です。パン屋さんまでやっていたのか。。。もう少し違う切り口(高級食パン専門店系ではない)だと面白いのに。。。
MIYABI
https://www.miyabipan.com/
こちらもやっぱり和テイスト。右の写真は大森店のものですが、五重の塔的な写真でもはや強引に和に引きずり込んでいる様子さえ感じる。。。変わっているのが、こちらも運営は「庄や」で有名な大庄グループ。
高級食パン専門店 偉大なる発明
https://idainaru.com/
急にテイストがかわります。和でも洋でもない。何なら食べ物屋さんじゃない。「なんじゃこりゃ」となるお店。実はこれは最近メディア等に引っ張りだこで有名、なパン屋さんのプロデュースを手掛ける岸本拓也氏が手掛けたお店。
岸本さんは他にもこんなお店をプロデュースしています。
高級食パン専門店 真打ち登場
https://shinuchi-toujyou.com/
高級食パン専門店 奇人と変人
https://kijin.info/
考えた人すごいわ
https://sugoi-bread.com/
高級食パン専門店 どんだけ自己中
https://jikochu.dondake-bakery.com/
うん間違いないっ!
https://www.un-machigainai.com/
高級食パン専門店 白か黒か
https://shirokakuroka.com/jp/
もうええ!(また千鳥)というわけでここからは写真をアップするのが面倒なので、岸本さんプロデュースの店の名前だけダイジェストでお送りします。。。
- あせる王様
- ツッパリの宿命〜肌の純愛物語〜
- すでに富士山超えてます
- 自分を誉めよう
- これは確かだ
- 君に惚れた
- おめざのメロディ
- 産まれたてのライオン
- なま剛力スタジアム
- 真面目になれない
- 記憶に刻め
- モチのロン
- 許してちょんまげ
- カレーパンだ。
- つめこんだ岐阜ト
- 私は食パーン
- 山のぱ〜ん屋 森のダンス
- あなたにくぎづけ
- 朝まで待てない
- Nice to meet you~あなたに逢えてよかった~
- 目尻がさがる
- ふくよか本舗
- 慣れないラブソング
- まばゆいオーラ
- 本当の贅沢
- 愛してる人きみだけ
- わがままなジュリエット
- 歯が踊っちゃうよ
- ベッドはいらない
- ぱふぱふ堂
- わたし入籍します
- たべたい
- 海部(あま)のくちどけ
- あの人はナルシスト
- 歓びのプレリュード
- め組の庭
- ボイン
- なるへそタンマ
- マリリンの秘め事
- 誰にもあげない
- ゴメンねエアポート
- バブリーいくよ
- 偉人の閃き
- はじまりのメッセージ
- お、おいしいっ。う、うまっ。
- まさかナンパ
- イケメン大集合
- エモいよ君は
- この街ありがとう
- この後どうする?
- ナウいでしょ
- 恋が愛に変わるとき
- なんていい日だ
- 遅刻のすすめ
- 小麦色のララバイ
- わたしのご褒美
- 小麦の学校
- 魔法はいらない
- 全米が泣いた日
- 毎日どうでしょう
- ルビーをつけながら
- ピッチャーとキャッチャー
- 並んで歯磨き
- 痛快こねこねマン
- 麦にシャララ♪
- あらやだ奥さん
- 今日もひとり占め
- キスの約束しませんか
- くちびるが止まらない
- 天才わっはっは
- もう言葉がでません
- 記憶に刻め
- えっ?どうなってるの?
- このカフェ半端ないって!
- 最高な普通
- もしもパン屋ができたなら
- パン工房 バオバブの木
- もしかして宇宙人
- あさラバしようよ
- そして僕らはパン星人
- おい!なんだこれは!
- スターの昼寝
- 罪な朝ほど粋な朝
- 題名のないパン屋
- チンパンジーOK
- 乃木坂な妻たち
- 朝起きたらママのママ
- リップを塗る前に
- 大地はドラムと優しい麦
- 振り向けばこの顔
- バナナパラダイス
- さすがにオテアゲ
- 告白はママから
- これは秘密にしませんか
- ちょっと待ってぇー
- 相合傘とイチゴちゃん
- 王道の王道
- 歴史は変わる
- 昨日を捨てよう
- 世紀の対決だ
- いつかの馬鹿ップル
- 朝のらしさ
- 大人はズルいと思いませんか?
- 暮せばわかるさ
- 泣かせてごめんよ
- 僕のパン屋 純情セレナーデ
- ここに決めた
- リンゴの次
- ついに来たね
- ねぇ分かったでしょ?
- 迷わずゾッコン
- 美味しくて、懺悔。
- 朝起きたら君がいた
- 不思議なじいさん
- まじガマンできない
- 本物はすごかった
- パンダが笑ったら
- 街がざわついた
- すごいパン屋
- 夜にパオーン
- アゴが落ちた
- 運命の一枚
- 生とサザンと完熟ボディ
- たし算とひき算
- だきしめタイ
- おいで信州
- 雪の麦
- 十八番麦蔵
- やさしく無理して
- つまりね。だから❤
- 別格
- ねえぇほっとけないよ
- これぞパンです This is a “PAN”‼︎
- 僕ができること。
- PainPati(パンパティ)
- 君は食パンなんて食べない
- セレブ工場
- こ令和(れは)すごすぎる件
- ホッペが落ち“マ〜ス”
- モノが違う
- おりひめandひこぼし
- 明日が楽しみすぎて
- くちどけの朝じゃなきゃ
- 午後の食パン これ半端ないって
- 非常識
- 清月堂
- まじヤバくない?
- うまい食パン
- やまびこベーカリー
- U.S.A.
- あっぱれ!家康
- THE MOST BAKERY&COFFEE
- 豪雪堂
- TOKYO BAKER’S KITCHEN
- 70factory1948
- でぶぱん
- あんバター∞えんバター
- クリームパン専門店kin・iro
- 松本幸司の世界観
- コッペんどっと
- (食)盛岡製パン
- 日本列島パン食い協奏
- ありパン -arina de
- 月刊アベチアキ
- BAKERY LINDA LINDA
- Cycle&Cycle(サイクル&サイクル)
- アヤパン
- カメオカハサムコッペパン
- 地ぱんgood〜TOTSZEN terroir〜
- Cafe&bakery GGCO.
- モーモーハウス大鎚
※注:パン屋さんの名前です(爆)
何屋さんかわかるネーミング(メリコの「リ」)が圧倒的に少ない!おじいちゃんおばあちゃん完全無視!岸本さんのプロデュースしたお店を紹介していたら、このコラムの趣旨が変わってしまった(汗)。
個人的には「なま剛力スタジアム」と「夜にパオーン」が好き(※注:何度も申し上げますが、パン屋さんの名前です 爆)。
とまあ、見てきたとおり(?)、パン屋さんの進化系はすでに激戦状態といっても良さそうです。
※ちなみにご紹介した写真はすべて各店オフィシャルサイトかインスタグラムから引用させていただきました。
●なぜこんなにも急激に増えたのか?
それにしてもなぜこんなにも急激にブランドが増えたのでしょう。しかも増えたのはブランド数だけではありません。店舗数も増えています。
たとえば「乃が美」は2013年10月の創業以来、今では全国の店舗数が241店あります。「銀座に志かわ」は今年の5月に100店舗に達成したようです。私の自宅の近くにある「髙匠」、ワタクシ恐縮ですがこのブランド知りませんでした。それでも全国に35店舗もある。他の業種、業態であれば35店舗もあったら大したものです。
実はここまでの急激な店舗増加とブランド数の増加には相関関係があるのではないかと考えます。
普通、パン屋さんってチェーン店だとしてもお店ごとにパンを焼いているケースが多いですよね。ところが、食パン専門店については、お店で焼いていないのではないかと推測します。
いや、もちろん焼いている食パン専門店もあると思うのですが、すべてではない。自宅の近くにある髙匠は、もともと駅前のみずほ銀行のATMコーナーを改良してできた小さい店舗です。とてもじゃないですが、食パンを焼くような機械を置くスペースはありません。
つまり、食パンに専門特化することでセントラルキッチン方式のように工場を別の場所に持てるのではないか。商品を絞っているからこそ、設備投資も配送含むオペレーションも普通のパン屋さんよりも圧倒的に楽なのではないか。つまり出店コストが低いのではないか。
これが急激な店舗増加の背景なのではないかと推測します。
これは取りも直さず「参入障壁の低さ」を表しますから、ブランド数が増加する原因にもなります。カンタンに言えば「パクられやすい」。
「競合優位性」とは、「競合との違い」というよりも「競合が追いつくまでの時間」と聞いたことがあります。なぜなら「違い」も見えるものであればすぐにパクられるからです。これがあっという間にレッドオーシャン的に発展した理由ではないかと思うのです。パクられる前に一気呵成に消費者の脳内シェアを奪えないと、こういう市場が形成されてしまうのかも。
「パン屋さん」の業界を「モノの時代、デザインの時代、色の時代」の3つの時代で見てみましょう。
「モノの時代、デザインの時代、色の時代」は師匠伊吹卓先生の理論です。その「モノ」がまだない、または出てきたばかりのときはつくれば売れます。しかしほどなく競合が出てきて、差別化するために主にデザインに力が入れられます。デザイン性に優れた商品が増えると、多色展開するなどでバリエーションを増やします。
たとえば冷蔵庫。それまで食べ物を腐らせずに保管する機械はありませんでしたから、出せば売れます。つくれば売れる。
ところが競合がそれを真似ることで、市場にはさまざまな冷蔵庫が出てきて比較されるようになる。そこで、デザイン性をもたせることで選んでもらえるように工夫します。
デザイン性に富んだ冷蔵庫が出尽くすと、色を変えるなどで多様性をカバーしに行きます。バリエーションを設けて、消費者の「個性を出したい」欲求に対応します。
時 代 | 消費者心理 | 打ち手 | デザイン |
モノの時代 | とにかく「それ」がほしい | つくれば売れる | 特になし |
デザインの時代 | ダサいのはイヤだけど人と違うのもイヤ | 差別化のためにデザインが用いられる | 大多数に嫌われないデザイン |
色(バリエーション)の時代 | 個性を出したい、けど人と違いすぎるのはイヤ | 多様化した欲求にバリエーションで応える | 色をはじめバリエーションをたくさん用意 |
これが1周するころには次の「モノの時代、デザインの時代、色の時代」がはじまります。「進化系」はまさに飽和した業界を1周まわって2周目の「モノの時代」に突入させる作用があります。「色(バリエーション)の時代」から、新しい「モノの時代」にステージアップさせるわけです。
ところが2周目は早い。あっという間に1周終わってしまう。なぜなら「進化系」は主にデザインを持ってしてそれが達成されることが多く、2周目の「デザインの時代」は長つづきしないからです。
岸本さんのお店などは、「色(バリエーション)の時代」の典型のように私は感じていて、いうなればこの業界の発展(パン屋さんの進化系)はすでに天井にあるように感じます。
というわけで、この業界は今から参入すべき業界ではないと私は思います。「進化系」はいろいろ研究していますが、このケースははじめてかもしれません。
今回はここまでです!
津久井
投稿者プロフィール
-
ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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