ロゴコラムLogo column
日本気象協会様は、設立1950年、職員580名(2014年7月1日現在)の気象情報のプロ集団です。2014年6月に、天気予報専門サイト「tenki.jp」(てんきじぇーぴー)の大規模なリニューアルを行いました。それに伴い、これまでのロゴも一新して、新たなスタートを切っています。このタイミングでロゴを変えた経緯や、ビズアップに依頼した理由を、今回のプロジェクトメンバーの一人、コンシューマ事業課の岡村智明様に伺いました。
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一般財団法人日本気象協会さまについて
――はじめに、一般財団法人日本気象協会さまについて教えてください。
日本気象協会は、1950年に財団法人として設立されました。業務は、気象情報の提供や、防災・環境などに係る調査コンサルティングを通じて、快適な日常生活や安全確保の支援、産業活動の発展や環境の保全など多岐にわたります。
過去60年間で蓄積した、データや知見をもとに、高度で専門的な情報から、花粉情報や天気予報などの身近な情報まで、幅広く対応出来ることが強みです。実は、皆さんもご利用されている大手ポータルサイトも、元になる気象データは日本気象協会が提供している場合があります。
気象情報は、多くの方の「安全」に関わるものですので、正確性というものを一番に考えています。
日本気象協会では、日本全国に5つの支社・支局を設けて、気象の専門家が日々、気象情報の調査と提供業務を行っています。
――ロゴを使用している「tenki.jp」とはどんなサイトですか?
インターネットをご利用の一般の方々向けに、気象情報を提供している天気予報専門サイトです。
「tenki.jp」は、公益事業の「防災気象情報サービス」として1997年にスタートし、気象庁の気象情報提供サイトが立ち上がった事を受け、2002年に収益事業へと転換し、現在の事業形態の「tenki.jp」へと大幅にリニューアルされました。その後、バージョンアップを重ね、現在のような豊富なコンテンツがあるサイトに育ってきました。
月間のページビュー数は、1億を超えることもあります。
「より広くより多くの人に、わかりやすく気象情報をお届けする」というコンセプトのもと、現在は、PC・スマートフォンの両方に対応しています。iPhone向けにアプリも出しています。
――岡村様のチームでは、どんなことを行っているのですか?
「tenki.jp」に関わる全ての業務を行っています。コンテンツの企画から運営、改善まで、多岐にわたります。
例えば、「tenki.jp」の収益は、主に広告収入なのですが、そのWEB広告の設定やタイアップ記事広告の企画、制作なども行います。そのため、「自分たちの手で作っているサービス」という感覚が強くありますね。
「tenki.jp」は、今後も高い成長を期待されている事業の一つですので、プレッシャーはありますが、チームで協力しながら業務を行っています。
大規模なリニューアル
――今回、ロゴを新しくしようと思われたきっかけは何ですか?
サーバの仮想化に取り組んだことがきっかけです。
「tenki.jp」は、サイトの性格上、天候によりアクセス数にばらつきがあり、台風や地震などの悪天候、災害時は相当なアクセス数があるサイトです。
以前は、データセンターにレンタルサーバを借りていたのですが、物理的なサーバでは限界にきていました。そこで、サーバを全て仮想化しピークアクセスに耐えうるシステムにしよう、というプロジェクトが立ち上がりました。
今から2年ほど前の話です。
それに合わせて、サイトをリニューアルして、ロゴも新しくすることになりました。
当時も「tenki.jp」のアクセス数は、右肩上がりで伸びていた状況でした。そのため、ユーザーの慣れ親しんだロゴを変更する事には、少し抵抗がありました。しかし、ユーザーからみた場合に、ロゴを変えることで「リニューアルした」ということが理解しやすいのではないか、という意見が多く、ロゴも新しくすることになりました。
――ロゴを新しくする上で、期待する効果はどんなものでしたか?
先ほどもお話しした「リニューアル感を打ち出す」という事の他に、若い世代のユーザー層が、今よりも増えることを期待しました。
ユーザー調査を実施する中で、「tenki.jp」のファン層は、年齢的に高い傾向にあることがわかっていました。お陰様でこれまでは、30代後半から50代以上の世代の方達に多く支持を頂いていました。
一方で、10代、20代、30代前半の若いユーザーを取り込めていない、という現状がありました。そうした背景から、若い世代にも受け入れられることを期待しました。
また、スマートフォンの限られた画面の中でも、アプリを置いてもらえることを狙いました。ここはかなり意識しましたね。いくら「専門性」というものを打ち出しても、新しいロゴが小難しいものになった場合に、スマートフォンの限られたスペースの中では、アプリを残してもらえません。そのためには、やはりキャッチーなデザインである必要がありました。
3つの選択肢を用意
――ロゴは最初からビズアップに頼もうと決めていたのですか?
いいえ、内部規定がありますので、複数社に声をかけて然るべきステップを踏んで決めていくことになっています。
今回ロゴ制作を依頼するにあたっては、3つの選択肢を用意させて頂きました。
それは、次の3つです。
(1)付き合いの長いデザイン会社さん
(2)クラウドソーシングサービス
(3)ビズアップさん
それぞれ、同じ条件で2週間という時間の中で、公平に決めさせて頂きました。
――3つの選択肢ですね。それぞれ特徴がありそうですね?
はい、1つ目の選択肢の「付き合いの長いデザイン会社さん」は、いつもお願いしているので、細かく説明しなくても、サイトの性格や色をわかってくれています。そのため、依頼し易いという点がありました。一方で、ロゴのデザインに特化しているという会社ではないので、ロゴに関しては違う視点も欲しい、という声もチーム内ではありました。
2つ目の、「クラウドソーシングサービス」では、2週間で70〜80個ほどのデザインがあがってきました。レベルはそれぞれですが、中にはとても良いデザインがいくつもありました。
3つ目は、「ビズアップさん」です。
実は今回、ロゴのデザインを専門にしている会社があるということを、初めて知りました。
ロゴ専門のデザイン会社があるのなら、一度、専門家の方に意見を聞いてみよう、ということになり、選択肢に加えさせて頂きました。
チームメンバーは、「tenki.jp」について、「自分たちの手で作っているサービス」という意識がすごくあります。そのため、ロゴ制作会社も自分たちの手で探してみたい、という想いを持っていました。
しかし、当初は予算も少なく、費用がかけられませんでした。
その点、ビズアップさんは、「最初のご提案が無料」でしたので、とてもお声がけしやすかったですね。
ビズアップを選んだ理由
――最初、どのようにビズアップの存在を知ったのですか?
ありきたりなのですが、Googleで検索をして知りました。
確か、「ロゴ デザイン」や、「ロゴ 制作」というキーワードで検索をしました。検索結果の上位に、ビズアップさんのサイトが表示されていて、存在を知りました。
――ビズアップのサイトはわかりやすかったですか?
わかりやすかったですね。わかりやすさの要素として、2点ほどあったと思います。
1点目は、ベタですが、サービスのパッケージがわかりやすく書かれていたところです。具体的には、「最初の2案無料」ということや、「ここから先は有料です」ということがしっかり書かれていました。
2点目は、実績がしっかりと書かれていたところです。実績はやはり、気になりみさせていただきました。ビズアップさんのサイトには、そこがわかりやすく書いてありました。
――ビズアップに、初めて声がけをする上で、不安に思ったことはなかったですか?
それはなかったですね。サイトに掲載されているロゴのデザインをみて、このレベルであれば、会社の知名度や規模は関係ないと感じました。
とはいっても、やはりサービスのわかりやすさや、実績という点は大切な要素です。
実は、他にも何社かサイトをみて検討させていただきました。
実際、サービスや実績がわかりやすく記載されている会社は少なかったです。記載されていたとしても料金が高くて、チーム内からはネガティブな意見が出ました。
その点、ビズアップさんは、サービスのパッケージや実績がわかりやすく記載されていて、お声がけさせて頂く際にも、特に不安はありませんでした。
――なるほど。今回は、3つの選択肢があった中で、ビズアップのデザインを選ばれた最大の「決め手」はどんな点でしたか?
決め手は、正直なところ第一印象ですね。
と言うのも、今回は、事前に打ち合わせの場を設けさせて頂き、こちらの要望を伝えさせて頂いておりました。
それを受けてご提案をいただけたので、かなりやりたいことに近いデザインを2案出していただけました。また、2つのデザインそれぞれが、ちゃんとこちらの意図を汲んで頂けていて、期待以上のものになっていました。
今だから正直にお話ししますと、、、最初のご提案は無料だったので、あまり期待はしていなかったのですが・・・(笑)
期待した以上のものが返ってきた、という印象がありました。
無料でのご提案でしたが、あがってきたデザインに全力感を感じましたね。しっかりとこちらの意図を汲んでくれて、さらに「プラスα」のものを返してくれました。
密なやり取りでこだわりを反映
――制作については、いかがでしたか。
ご担当いただいたデザイナーは、村松さんでした。村松さんの、対応は早かったと思います。「きっと出先から連絡してきてくれているんだろうなぁ」と感じる時もありましたね。レスポンスは、早かったです。
――修正はされましたか。
はい、細かい修正を何度かしていただきました。村松さんには、根気強くお付き合いいただきました。
――どんな点を修正されたのでしょうか?
例えば、「晴れマーク」のドット部分の微修正をお願いしました。ロゴの中に、「晴れマーク」のドット部分があるのですが、肉眼ではわからないレベルでちょっぴりズレている気がしました。
ロゴを掲載する「tenki.jp」では、他社との差別化のために、「専門性・正確性」という要素を打ち出しています。「専門性・正確性」ということを打ち出しているのに、ロゴに正確性が欠けるのでは本末転倒ではないか、との意見がチーム内で出ました。
それを村松さんにお伝えすると、ちゃんと反映してくれて納期までにあげてくれました。本当にわからないレベルの細かい部分だったのですが・・・。
村松さんには、細かい修正を合計で10回程やっていただいたと思います。大変だったと思いますが、粘り強くお付き合いいただけました。密に連絡をとっていただけたところも良かったですね。
今回、デザインを担当した村松 茂(Shigeru Muramatsu)氏からのコメント |
岡村様ならびに日本気象協会の皆様、デザインリニューアル作業大変ご苦労様でした。
今回、私は当該ロゴおよびメニューアイコンなどの素材デザインの制作面をすべて担当させていただきました。かなり幅を持たせたデザイン案を多数ご覧いただいたため、幾度となく侃々諤々の議論がなされたと伺いました。
そんな中、決してデザインの軸足を見失うことなくご決定に至った理由としては、スタッフの皆様の個人レベルでの強い目的意識、組織としての風通しの良さ、レスポンスの早さ等が挙げられるかと思います。 私が過去担当させていただいた、数多くの有名企業様や団体様とのお取引の中では、スケジュール進行のスムーズさにおいてトップクラスかと思われます。
本当にありがとうございました。
気象情報を提供する多くの競合企業の中にあって、日本気象協会様が新たなロゴデザインを打ち出す際の最大のポイントは、「専門性」と「親和性」のバランスでありましたね。結果として、見事に条件を満たしつつ、さらに大変ユニークなデザインにランディングを果たせたかと思われます。
今後、「tenki.jp」がさらに広範囲での老若男女に周知されんことを、ひいては一情報サイトの枠を飛び越えて、大きなブランドイメージを得られることを願って止みません。
新たなロゴを使って、より広く、より多くの人に情報を届けたい
――ロゴに込めた想いとはどんなものだったのですか。
今まで以上に、より広くより多くの方々に気象情報を届けたい、という想いを込めています。サイコロは確率をイメージし、膨大な観測データ・予測データから確率等で計算される天気予報技術の一端を表しています。
もちろん、デザインを依頼した段階では、具体的に「サイコロ」をオーダーしたわけではありませんが、こちらの意図を汲んで頂けたので、チーム全体でこのデザインに決めました。見た目はサイコロですが、中を開けたらぎっしり数式が入っていますよ、という意味合いを込めています。
――新しいロゴの社内の評価はいかがですか?
ロゴ変更のプレスリリースを出してすぐに、全国の支社から多くのコメントが返ってきました。
早速サイコロの実物をつくって「写真」を送ってきてくれたり、ブロック型のメモ帳などの、新たなグッズ制作の「アイデア」が寄せられたりしました。そういう意味では、評価は良いと思っています。
実際に送られてきた実物のサイコロの写真。若い世代の反応も上々。特に、若い職員が積極的にそういうコメントや活動を自発的にしてくれたので、内部的にですが、若い世代にも「届いたな」、と思いました。
当然、若干ではありますが、サイコロに対するマイナスな意見もありました。しかし、その意見も既に解消しています。いづれにしても、反応が無いのは困るので、反応があるということは、関心を持ってもらえている証拠だと思っています。
――なるほど。変更して3週間ほどですが、社外の評価や事業への効果はいかがですか?
社外の評価については、ある程度予想をしていましたが、やはり賛否両論ありました。
変更をして2週間ぐらいはTwitterやFacebook、アプリの評価でも、ポジティブな意見と同時に、ネガティブな意見も寄せられました。以前のロゴも良いものでしたので、それを惜しむ声や、サイコロに対するネガティブな意見が多かったです。
しかし、2週間ほどしてきて、ネガティブな意見も一通り出尽くして、落ち着いてきました。それと同時に、新たなロゴに対するポジティブな意見も日に日に増えてきています。
事業効果についてはこれからだと思っていますので、今後、より多くの方達に受け入れられることを期待しています。
――今後、新しいロゴをどのように活用していきたいですか?
「tenki.jp」というポータルサイトの使命は、より広くより多くの方達にわかりやすく気象情報を伝えることです。その入口やきっかけとして、今回のロゴを活用していきたいですね。
「ロゴをきっかけに、活力のある若い世代にも届けたい」と今後の抱負を教えていただきました。「サイコロといえば、「tenki.jp」だな」、「気象情報といえば、あのサイコロのサイトをみてみるか」と思って頂けるように意識付けをしていきたいです。
現在のファン層の方達に加えて、若い世代の方達にも、より広く「tenki.jp」を届けたいと思います。
結果として、サイトの集客数が増えれば、ビジネスとしても成長出来ますし、使命である、より多くの方達に情報をお届けする、ということも達成していけます。
ロゴを作ろうと考えている方へのアドバイス
――これからロゴを作ろうと考えている方へのアドバイスをお聞かせください。
実際にビズアップさんに依頼した感想としては、「あまりリスク無く頼めて、かつ頼んだら密にやってくれたので、頼む価値はあった」ということです。もし、迷っていて煮詰まっているのであれば、声をかけるべきかな、と思います。
ビズアップさんは、サービスのパッケージが「うまいな」と思います。最初は無料ですし、どこからが有料になるのかもわかりやすいので、気軽に頼みやすかったですね。トライアルとして依頼する企業さんも多いのではないかと思います。
――ありがとうございます。最後に、今後ビズアップに期待することをお聞かせください。
現在は、パンフレットの制作もお願いしているのですが、期待するのは、「企画力」ですね。どれぐらいの企画力をコンスタントに出してくれるのかな、というところが期待することです。
今回のロゴ制作では、こちらの期待を上回るものを返してくれたので、その感じで、今後もこちらの期待を「上に上に」超えていただけると助かります。
今後ともよろしくお願いします。
――岡村様、本日はお忙しいところ、貴重なお話をいただきありがとうございました。
※ お客様 一般財団法人日本気象協会のWebサイト
※ 取材日時 2014年7月 |
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投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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