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こんにちは。
ロゴ作成専門ビズアップ 津久井です。
https://www.biz-up.biz
一昨日、夜遅くから久しぶりに
グロービス・マネジメント・スクールという
ビジネススクール時代の仲間と呑みました。
昔つらい経験を共にした仲間はいいものですね。
みんな会社でそれぞれ活躍していて
そんな仲間を持てて誇らしく感じました。
某大手SNSサイトに勤めているひとりは
「足あと機能」がなくなったことを
みんなから責められたりしていましたが
(おわかりになる方はわかると思います)。。。
そして昨日は我々のお客さまでもあり、
同じ出版コンサルのもとで勉強した仲間でもあり、
いろいろと深い付き合いをさせていただいている方が
沖縄からいらっしゃり、やはり夜遅くから呑んで
熱い話をしました。
というわけで、
2日連続宿酔い気味です。。。
さて今回は、
前回に続きデザインのお話を。
こちらもメルマガ初期(2年前)に
書かせていただいた内容のリバイバルですが、
読まれていない方も
大勢いらっしゃると思いますので
書かせていただきます。
デザインを決定する際の「基準」について
1つのフレームワークをご紹介します。
ちなみに、
フレームワークとは考え方の枠組みです。
たとえば、
新規事業の戦略を組み立てる際に有効なのが、
・3C
というフレームワークです。
3Cは
・Customer(顧客)
・Competitor(競合)
・Company(自社)
の頭文字をとったもので、
顧客、競合他社、自社(の強み)で考えると
わかりやすくヌケモレ・ダブリが少ない状態
(この状態をMECE(ミッシー)といいます)
で検討を進めていけるというものです。
で、ここからが本題。
ロゴにしろ、
パンフレットにしろ
ホームページにしろ、
デザインを決定するのって、
意外と難しくないですか?
ひとりで考えれば
「本当にこれでいいのか」
と不安になりますし、
数人で検討すれば
なかなか意見がまとまらない。
社長や上司の選んだデザインが
「やめたほうがいい!」というものでも
なぜやめたほうが良いのかの理由を明確に説明できない。
こんな声を聞くことが本っ当に多いです。
なぜこんなことが起ってしまうか、
一番の理由は
・考えの基準を持たずに感覚だけで決めているから
です。
多くの人が感覚でデザイン決定を行っています。
残念ながらデザイナーですら、です。
その結果
・「なんとなく」でデザインが決まってしまう
・「決められないから保留」となってズルズルと長引く
のどちらかになります。
ご紹介したいのは、
デザインを決定する上でのフレームワーク、
「メリコの法則」
です。
まったく聞き慣れない言葉で、
「何だそれ??」
と思われたことと思います。
説明していきますね。
この「メリコの法則」は、
私のデザインの師匠である、
伊吹卓氏の提唱したものです。
伊吹先生は、
アサヒビールのスーパードライの
パッケージデザインをコンサルティングされた方です。
先生は、
デザインのノウハウだけでなく
商品開発や人材教育についてなど、
徹底して現場を見る、
自分で調べる、
聞いたことを試してみる、
というスタンスで
さまざまなノウハウを産み出してきました
(私もよくスーパーに2~3時間立ってました)。
もう80歳近いおじいちゃんで、
残念ながらつい先日引退されましたが、
それまでは中堅企業から名前を聞けば
誰でも知っているような大手企業の
商品開発やデザインのコンサルテイングをされてました。
そんな伊吹先生が考えた
「メリコの法則」をひとつずつ説明していきます。
●
メリコの法則の「メ」は「目立つこと」
デザインは、
その存在を知らせなければ意味がありません。
例えば、
・駅の広告で
・スーパーの売り場で
・商店街の看板の中で
・ポストの中のたくさんのDMの中で
より目立つこと、
その存在を知らせることが重要になります。
目立たないデザインは、
それだけで役割を果たしていないと言えるのです。
いくつかのデザイン候補があった場合、
より目立つ案はどれなのか、
という視点を持ちましょう。
看板であれば、
・ライバルより目立っているか
・風景に馴染みすぎていないか
スーパーに並ぶ商品であれば
・競合他社の製品よりも目立つパッケージになっているか
ホームページであれば
・競合のHPよりも印象にのこるか、また戻ってきてもらえるか
※ネットでは「比較」が常です。
などの視点で検討してください。
ただし、注意も必要です。
「出る杭は・・・」とはよく言ったもので、
目立ちすぎると嫌われる可能性もあります。
これを「悪目立ち」といいます。
嫌われてでも目立つか、
なるべく多くの人に嫌われずに程よく目立つか、
この部分は、
大きな話をするとその企業の戦略に関わってきます。
10人中9人に嫌われても、
1人に溺愛されることを戦略として狙うのであれば、
悪目立ちでもいいのでとにかく目立つことを
意識されるといいと思います。
その場合は、
高額商品を販売することが絶対条件といえます。
●
メリコの法則の「リ」は「理解できること」
その商品がどんな商品なのか、
そのサービスがどんなサービスなのか、
そのお店が何屋さんなのか、
これらが
デザインにより理解できることが重要です。
これは、
「~~っぽい」
「~~らしい」
という言葉で置き換えられます。
例えば、
「オレンジジュースっぽいパッケージ」
「エステっぽいパンフレット」
「焼肉屋さんっぽい店構え」
などなど、
直感的に何かわかってもらえる、
ということが重要になります。
これをデザインで表すには、主に2つ
・具体的なモチーフを使う
・それを表している色を使う
という手法があります。
オレンジをモチーフにデザインしたり、
オレンジ色を使ってデザインする、
またはその両方をするとオレンジジュースらしくなります
(話をわかりやすくするために超単純化しています)。
当たり前といえば当たり前ですが、
これも本当に重要なんです。
特に最近では、
デザイナーもデザインを依頼する人も
かわったことをやりたがり、
この王道を無視してしまう場合が多いです。
しかし、日本人は定番が大好き。
ですので、
この「理解しやすいかどうか」を
おろそかにするのは実はとても危険です。
余談ですがそういう意味では
デザインと同じかそれ以上に大事なのがネーミング。
特に導入期の製品
(まだ市場に認知されていないジャンルの製品)は
ネーミングでイッパツでどんな商品かを理解させることが
成功のポイントになります。
たとえば、小林製薬さんは
・トイレその後に
・熱さまシート
・なめらかかと
・ナイシトール
など、
一見ダジャレめいていて苦笑い、
といったものもありますが、
このポイントを押さえています。
●
メリコの法則の「コ」は「好感が持てること」
「メリコ」の中で一番重要なのが
この「好感が持てること」です。
これも当たり前といえば、
という話ではありますが、
問題はどうやって「好感度」をはかるか、です。
アメリカに、レイモンド・ローイという
有名なデザイナーがいました
(もう亡くなってしまいました)。
ローイは、よく知られているところだと
・シェル石油のロゴマーク(貝のロゴ)
・不二家のロゴマーク
・タバコのピースやラッキーストライクのパッケージ
・ナビスコリッツのパッケージ
※どれもいまだにマイナーチェンジのみ
などを手がけた人で、
彼がデザインをすれば売れないものはない、
と言われたくらいのものすごいデザイナーです。
当時の彼のデザイン料金は1億円以上です
(1ドル360円の時代)。
女性の方はよくわかると思いますが、
口紅やリップクリームのひねると出てくる
あの構造をつくった人でもあります。
実は、
伊吹先生は、ローイの最後の弟子でした
(伊吹先生自身はデザインはしません)。
そして伊吹先生いわく、
「ローイはこの『好感が持てるかどうか』を最重要視していた」
とのことです。
彼の使った手法は、
たくさんのデザイン案の中から
好きなものを選ぶのではなく、
嫌いなデザインを排除していく方法。
製品やサービスのターゲットに対し、
複数あるデザイン案を見せて、
「嫌いなものをすべて排除してください」
とお願いしました。
「全部嫌い」
と言われれば、すべて捨てて
新しいデザインを作ったのでした。
これを伊吹先生はローイ本人から学び
(というか目で盗み)、日本に持ち帰り、
何年か後に「不美人コンテスト」と名付けました。
このネーミングは天から降ってきたようだったと、
伊吹先生は語っています。
奇しくも、
伊吹先生がこの手法にネーミングをつけたその日に、
ローイはこの世を去りました。
ちょうど伊吹先生がネーミングを思いつき、
ローイに日本から電話をしようとしたときに、
ローイの娘さんから伊吹先生に連絡が来たそうです。
ちょっと話が脱線しましたが、
それにしても、なんで嫌いなものを排除するのでしょうか?
2年前にメルマガをお読みいただいた方は、
「は虫類脳」「哺乳類脳」といった話を
覚えていらっしゃるかもしれませんが、
伊吹先生いわく
「脳の構造上、人間は嫌いなものに1万倍敏感である」。
先生がこれに気づいたのは、
ローイのデザイン手法があったからでした。
1万倍は大げさだとしても、
プロスペクト理論なども
これを裏付けるものだと個人的に考えています。
さて、
この「メリコの法則」は
どれも難しいことはありません。
ただ、漫然と
「どのデザインにしようか」
「このデザインでいいんだろうか」
と考えるよりも、
「メリコ」という考えのフレームをもって検討した方が、
スムーズにデザインを決められます。
「これは目立つだろうか」
「これは理解しやすいだろうか」
「これは好感が持たれるだろうか」
という質問を、自分や周りの人、
できればターゲットに対して行うだけで、
効果的にデザインを決定することができますので、
ぜひ試してみてくださいね。
今回はここまででです!
津久井
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■発行者 津久井 将信 support@biz-up.biz
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投稿者プロフィール
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ロゴ専門デザイン会社ビズアップを2006年に創業。
かつてバンドで大手レコード会社よりCDリリースするも、大事なライブ当日にメンバー失踪、バンドは空中分解。その後「社長になりたい」と思いすぎてヨメの出産5ヶ月前という非常識なタイミングで、各方面から非難を受けながらも独立、5ヶ月でビジネスを軌道に乗せる。
2009年から毎週書きつづけているコラムでは、ブランディングやデザイン、クリエイティブについてかなり独特な視点で切り込む。レインボータウンFMでパーソナリティも務めている。
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